茨城県出身・カミナリの竹内まなぶ(左)、石田たくみと、同じく茨城県出身の磯山さやか 茨城県出身・カミナリの竹内まなぶ(左)、石田たくみと、同じく茨城県出身の磯山さやか

「日本一魅力がない県」として知れ渡っていた茨城県。しかし、今年はその定位置を栃木県に明け渡した。いったい、何があったのか? その理由に迫った! 本当は最下位でいたかったんじゃないの?

■最下位脱出してごめんね、ごめんねー

「茨城県が魅力度ランキングで最下位から脱出!」

民間調査会社のブランド総合研究所が10月14日に発表した今年の「都道府県魅力度ランキング」。昨年まで7年連続47位(最下位)だった茨城県は、「当然、今年も......」と思われていたのだが、その順位は予想外の42位。この展開に多くの人は驚きを隠せなかったようだ。

そのため朝日新聞、読売新聞、日経新聞などの大手紙や民放各局、NHKまでもが報道する大ニュースとなった。

茨城県出身で「いばらき大使」を務めるタレントの磯山さやかさんは、42位という順位をどう受け止めているのか。

磯山 「素直にうれしいです。『最下位のほうがおいしいでしょ。ネタになるでしょ』とか言われがちなんですが、あまり長く最下位でいると、みんな『ああ、また最下位ね』と慣れてしまい、関心を持ってもらえなくなる気がしますから」

同じく「いばらき大使」で茨城県出身のお笑いコンビ、カミナリはどうか。

まなぶ 「これまで、最下位関連でのお仕事もあったのですが、最下位が浸透しすぎて7年連続だった去年は、最下位関連のお仕事がありませんでした」

「最下位のほうがおいしい」と思われがちなのだが、実際、最下位が長く続くと、そのうまみもなくなっていくようだ。

では、なぜ最下位から脱出できたのか。

磯山 「最近、茨城県の観光名所などがクイズ番組で"難問"として出題されたりするんです。例えば『袋田の滝』の写真が映し出されて『茨城県のこの観光地の名前は?』という問題。袋田の滝は日本三名瀑(めいばく)のひとつで、県民なら誰もが知っている場所です。

それが"難問"として出されるのにちょっと違和感を感じますが、いいPRになっているのかなと思います。

あとは、やっぱり県や地元の方が精力的にPR活動をしたのが大きいと思います」

地道な努力が実を結んだということらしい。そんな最下位から脱出した茨城県で、今、オススメの場所や食べ物は?

磯山 「袋田の滝は、秋は紅葉がきれいですし、冬は滝が凍る氷瀑(ひょうばく)が見られます。

大洗磯前(いそさき)神社の『神磯の鳥居』もすてきです。岩の上に鳥居が立っていて、インスタ映えするスポットなんです。特に朝日が昇る時間や夕焼け時は、とても幻想的ですよ。

その大洗磯前神社の北(9㎞ほど)にある『酒列(さかつら)磯前神社』は、お参りすると高額当せんの宝くじが当たる神社だと噂になっています。そして、このふたつの神社をお参りすると御利益がすごいと評判のようです。

食べ物は、今の時期なら私も大好きな『常陸(ひたち)秋そば』。けんちん汁におそばをつけて食べるんです。これが本当においしい! 実は茨城は、そばの収穫量が北海道に次いで全国2位なんですよ」

大洗磯前神社の神磯の鳥居。神様が降り立った場所といわれている場所。徳川光圀公も訪れたという 大洗磯前神社の神磯の鳥居。神様が降り立った場所といわれている場所。徳川光圀公も訪れたという

茨城県の郷土料理「常陸秋そば」。秋から冬にかけてがシーズン。そばをけんちん汁につけて食べる 茨城県の郷土料理「常陸秋そば」。秋から冬にかけてがシーズン。そばをけんちん汁につけて食べる

まなぶ 「実家の『スーパータケウチ』には、他県ナンバーの車が来るようになりました。刺し身がうまいので、刺し身を買って駐車場で食べていく人もいます」

たくみ 「僕の実家はメロン中心の農園(山一ファーム)で、JAとか直売所に出荷してるんですけど、うちに来て直接メロンを買いたいという人もいます。それで、来たお客さんにメロンを直接買ってもらえるように今、実家の物置を壊して受付みたいな場所を作っていると聞きました。ちなみに茨城は、メロンの生産量が日本一なんですよ」

日本一の生産量を誇る茨城のメロン。最近は「オンラインメロン狩り」もできるようになったという 日本一の生産量を誇る茨城のメロン。最近は「オンラインメロン狩り」もできるようになったという

まなぶ 「茨城には納豆ワッフルがあります。ワッフルの生地に納豆が練り込んであるんです。これはタピオカみたいな大ブームになりますよ」

たくみ 「僕らはオムライスとかラーメンとかチャーハンとか、なんにでも納豆をかけて食いますからね。ワッフルに納豆を入れても全然違和感はありませんよ」

こうして最下位を脱出した茨城県だが、逆に最下位になった栃木県に対しては、どう思っているのか。

磯山 「栃木県出身のU字工事さんと番組で共演すると『茨城、今年も最下位だったね』みたいなことを言われるんですよ。だから、栃木県というより、U字工事さんに会ったら『最下位脱出して、ごめんね、ごめんねー』と言いたいですね(笑)」

たくみ 「茨城vs栃木という構図は、U字工事さんが『茨城のやつらは』みたいな漫才でつくったと思うんですよ。この対決がまた盛り上がればいいなと思います」

まなぶ 「2組の"ケンカ"で楽しんでほしいです」

たくみ 「それは、あるな」

■意外と知られていない茨城県のデジタル戦略

ここで専門家の意見も聞いてみよう。産業能率大学兼任教員で、地方創生に詳しいジャーナリストの嶋田淑之(しまだ・ひでゆき)氏が語る。

「そもそも首都圏などの巨大経済圏の周辺にある県は、存在感が薄くなりがちです。茨城、栃木、群馬といった北関東3県は今年のランキングでもすべて40位台でした。しかし、茨城県は日本を代表する『優等生県』です」

ピーマン、レンコン、小松菜、水菜など収穫量全国1位の農作物は15品目あり(令和元年)、マイワシ、ウナギ(内水面)、エビ類(内水面)なども漁獲量全国1位(令和元年)なのだ。

「ただ、こうした産品のひとつひとつにインパクトがない。

また、メジャーな観光資源という面から見ても水戸黄門や水戸納豆などがイメージされやすいが、それを目的に茨城県に行こうというほどのキラーコンテンツにはなっていない。それが魅力度ランキングの万年最下位につながっていたということです。

しかし、この"万年最下位"を逆手に取って、自虐的ともいえる情報発信を意識的に行なってきたことで、茨城県の存在が広く全国に知れ渡り、最下位脱出につながったのではないでしょうか。

一例を挙げると、今年3月に台湾の人気ユーチューブチャンネルとコラボしてできたのが『外国人ズズ、日本一魅力の無い県に行く。』という観光動画でした。これは19万回視聴数を超える人気コンテンツになっています」

実は、茨城県は数年前からデジタル戦略を強化していた。

2018年には地方自治体で初となる茨城県のPRをする公認Vチューバーをデビューさせたり、2019年には都道府県初となる茨城県の公式TikTokを始めている。

また、茨城県が運営する動画サイト『いばキラTV』は、チャンネル登録者数13万人を超えて、都道府県が運営する動画サイトでは4年連続で日本一だ。茨城県が最下位を脱出できたのは、最下位という状況をうまく利用して、最新デジタル戦略を進めたからではないだろうか。

最後に今回、最下位となった栃木県出身のU字工事に感想を聞いてみよう。

栃木県出身・U字工事の福田薫(左)、益子卓郎 栃木県出身・U字工事の福田薫(左)、益子卓郎

福田 「最初、『茨城が最下位脱出』と聞いて良かったなと思ったら、『最下位が栃木』って知ってズッコケましたよ」

益子 「俺のところにたくみ君から『栃木、最下位になりましたね』ってメールが来たんですよ」

福田 「その後、まなぶ君が『栃木も茨城も大好き』ってツイートしましたが、あれは栃木ローカル局でテレビ番組を持っているからで、本当は栃木を好きじゃないと思います(笑)」

益子 「え、『最下位は実はおいしいんじゃないか?』ですか。ははははは。その質問にはノーコメントです」

福田 「でも、ありがたいことに最下位になって、お仕事が増えてるんですよ」

来年の魅力度ランキング、茨城が最下位に"返り咲く"のか? 栃木がその座を守るのか? ちょっと楽しみだ。

●茨城県出身・カミナリ
竹内まなぶ、石田たくみ。茨城県をPRする「いばらき大使」として活動。レギュラー番組に「カミナリのチャリ旅!」(とちぎテレビ・毎週月・23時30分)など

●茨城県出身・磯山さやか
茨城県をPRする「いばらき大使」として活動。ユーチューブの『磯山さやか いそちゃんねる』を開設して、茨城県のメロンを食べる動画をアップした

●栃木県出身・U字工事
福田薫、益子卓郎。栃木県の魅力を伝える「とちぎ未来大使」として活動。レギュラー番組に「U字工事の旅!発見」(とちぎテレビ・毎週木・19時)など