『新チカラめし』としてリニューアルした新宿西口1号店の「ミスジの焼き牛重」 『新チカラめし』としてリニューアルした新宿西口1号店の「ミスジの焼き牛重」

2011年のオープンとともに店舗急拡大。一躍、ブームとなった「東京チカラめし」も先月、ついに池袋の1号店が閉店。残る店舗は5店舗となった。時々食べたくなるあの味。復活を願って、応援します!

■チカラめしはまだ死んでいない

10月に池袋の1号店が閉店し、ついに全国で5店舗となってしまった「東京チカラめし」。最盛期には132店舗まで拡大し、焼き牛丼ブームを巻き起こしたチェーンを応援すべく、いま一度その魅力を見てみよう!

まずは、東京チカラめしがどのような歴史をたどってきたのか。飲食チェーン店トラベラーのBUBBLE-B(バブル・ビー)氏に聞いてみた。

「2011年オープン当初は、焼いた牛肉を米の上に乗せた新しいスタイルの牛丼『焼き牛丼』がB級グルメ好きにウケ、ネット上で話題に。一躍人気店となりました。

その後、急激な店舗展開を行ないましたが人気は長く続かず。徐々に閉店を進めるなか、14年には数十店舗を一気に他社へ売却。直営の数店舗だけが残され、それもじわじわ数を減らしているのが現状です」

残り5店舗となった「東京チカラめし」 残り5店舗となった「東京チカラめし」

ということは、このまま絶滅の危機も?

「いや、必ずしもそうではないようです。19年には新たに大阪・寺田町店がオープン(現在も営業中)。経営母体が同じ居酒屋『金の蔵』では、営業時間外の昼を利用し、『間借り営業』として焼き牛丼やカレーの販売をしている店舗もあるようです」

前向きな話題もあるようでひと安心。また、生き残り店舗でもさまざまな施策が行なわれているようだ。

「新宿西口1号店は今年5月に『新チカラめし』となってリニューアルされました」

どのあたりが、従来の東京チカラめしと異なるのだろうか。運営する三光マーケティングフーズの広報担当者に話を聞いた。

「従来の丼ではなく、『お重』の開発をいたしました。肉をあらかじめ低温調理し、お客さまから見える場所に設置した焼き台で焼いているところがポイントです。お重で提供するほうがシズル感も増すと思うので、今までチカラめしにはそそられなかったという方々にもぜひ一度ご来店いただきたいです」

というわけで、新宿西口1号店限定の少しリッチな「ミスジの焼き牛重」(850円)を実食してみると。まずは肉の柔らかさに驚き! 大判で食べ応えもあって、お世辞ではなくファストフードのレベルは超えていた。

今年5月に新チカラめしとしてリニューアルオープンした新宿西口1号店 今年5月に新チカラめしとしてリニューアルオープンした新宿西口1号店 名物はミスジの焼き牛重(850円) 名物はミスジの焼き牛重(850円)

さらに、東京では異彩を放つ店舗も生き残っている。東京で一、二を争う地価の高さを誇るビジネス街にある「半蔵門店」。店舗は半蔵門駅出口の目の前で、マンションの1階に入居している形。ガラス張りで明るく清潔感があって、誰でも入りやすいような印象だ。そのためか、店内には女性数人のグループも。話を聞いてみると。

「この辺りは安いチェーンがあまりないんです。コンビニか、1000円以上のランチのどちらかになってしまう。なので、ワンコインで牛丼を食べられるこの店は重宝しています」

広報担当者にも半蔵門店が生き残り続ける理由について聞いてみた。

「店の上が高級マンションのため、排気が上に行かないよう他店舗に比べてよりしっかりした造りになっています。強力なダクトを使用しているため、洋服や髪ににおいがつきにくいという点もサラリーマンや女性のお客さまにご好評いただいています。常連さんが多く、週4、5で通ってくださる方や、一日に昼、夜2回来てくださるお客さまもいらっしゃいます」

■わざわざ行きたくなる理由

続いては、チカラめしに行きたくなる「焼き牛丼をさらにおいしく食べる方法」を、定食評論家の今柊二氏に聞いてみた。

「牛丼+カレーの組み合わせはほかのチェーンでもありますが、焼き肉+カレーはレア。100円で追加できる『ちょこっとカレー』を注文して、丼半分ほど食べたところでカレーをかけるのがオススメの食べ方。

また、卓上にソースが常備されているのも牛丼チェーンでは珍しい。焼き牛丼にちょっとかけて、コクを足してみるのも楽しいですよ」

人気サイドメニューはちょこっとカレー(100円)。タレとカレーが意外とマッチする。半分ほど食べたところで投入しよう 人気サイドメニューはちょこっとカレー(100円)。タレとカレーが意外とマッチする。半分ほど食べたところで投入しよう

ほかにも、今氏が大きな魅力と語るのは。

「甘酸っぱいガリの存在が実に偉大。焼き肉でこってりした口の中をさっぱりさせてくれます。紅しょうがが主流の牛丼業界でガリを採り入れたのはさすがです」

卓上のタレやドレッシング、ソースなどで味変できるのも魅力 卓上のタレやドレッシング、ソースなどで味変できるのも魅力 紅しょうがではなくガリがつけ合わせなのもポイント 紅しょうがではなくガリがつけ合わせなのもポイント

さらに、テイクアウトでちょっと豪華なアレンジも可能。紹介してくれたのは飲食トレンドリサーチャーの山口えりこ氏。

「ネギや納豆を合わせてスタミナ感をアップさせたり、簡単なアレンジでもおいしく仕上がるのが焼き牛丼の魅力。タレの味がしっかりしているので、パクチーなど香草系を合わせるのも通な食べ方です。

少し手間をかけるなら、トマトをカットして、チーズをかけてレンジでチン。野菜も取れるので罪悪感は半減です。ほかには肉の部分だけをうどんに加えて、肉うどんにするのも意外と合います」

それでは最後に、広報担当者に今後の展望について聞いてみた。

「チカラめし復活を願う声は多くのお客さまから頂戴しております。私たちはそういったご要望にお応えすべく、オペレーションや焼き牛丼のあり方を再度見直し、新たなフォーマットで店舗展開を考えております。

また、ご自宅でチカラめしを簡単にお召し上がりいただけるよう、冷凍の焼き牛丼の具やカレーも弊社通販サイトで販売を始めました」

まだまだ多くの人に愛されている東京チカラめし。今後の劇的な復活に期待!

公式オンラインストアで焼き牛丼の具&カレーを販売開始。牛丼の具はうどんに入れてもよし 公式オンラインストアで焼き牛丼の具&カレーを販売開始。牛丼の具はうどんに入れてもよし