カップケーキの新・食べ方提案。左がビフォー、右がアフター

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、彼女が発案した新しい「食べ方」を紹介する。

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ハンバーガーを取り上げた回で、市川オリジナルバーガーをご紹介しました。チーズを肉の下に敷くのがポイントのひとつ。この配置によって、舌に直接触れるチーズの面積が増えてクリーミーさが高まる上、下側のバンズと肉の間に壁ができてバンズがビシャビシャになりにくいのが狙いです。

同じ理由で、お店でいただくチーズバーガーを逆さまにして食べるのもオススメしました。より分厚い上側のバンズがよけいな肉汁を吸収するし、肉の重みがレタスなどを安定させることによって構造健全性が得られ、きれいに召し上がれます。

ささやかな提案でしたが、挑戦した人はいらっしゃったでしょうか。宇宙空間で発表したかと思うほど反響ゼロでしたが、めげずに、ここでさらなる食べ方を発案します。食のニューノーマルを目指して、いざ提唱!

まずはスパゲティ。この食べ方は、ミートソースやナポリタンなど、日本風の非アルデンテのスパゲティにオススメです。ポイントは、粉チーズ。別名「天使の落としもの」。

全体に振りがちですが、より濃厚なチーズらしさを味わうには、何ものっていないフォークに振りかけます。フォークにチーズが満遍なくかかったら、通常どおり麺を巻いて召し上がってください。スパゲティの熱で粉チーが少し溶けて、さらに最後に口の中で広がるので濃いソースに負けません。

ナポリタンもミートソースも味がしっかりしているので、表面にチーズをかけるより、フォーク上の"隠し粉チー"の味が映えます。

なお、チーズの量をひと口ごとにコントロールできるので、粉チーなしのゾーンも最後まで楽しめます。ちなみにこの食べ方は幼少期からしており、大人たちによく怒られていましたが、グルメ雑誌『dancyu』の編集長の植野広生(こうせい)さんも実践しているのを知り、最近胸を張って外食先でもやっています。お試しあれ。

続いての新・食べ方提案は、カップケーキ。カップケーキといえば、てっぺんにこんもりのっているクリーム。理想では、ひと口ごとに均等な量のケーキとクリームが欲しいですが、実際はうまくいきません。クリームが多すぎる前半戦と、ケーキオンリーの後半。形状上、仕方ありません。

そこで、最初に本体を上下ふたつにちぎります。クリームとケーキが均等なくらいな上半分、そしてケーキのみの下半分。その下側をクリームの上に再配置し、クリームサンド的な形に組み替えます。このサンドイッチスタイルだと、どこから食べてもクリームとケーキの配分が完璧ですし、口周りがクリームだらけになるのも防げます。ぜひ。

そもそもカップケーキを食べないって? そんな方には「パイの実」の新・食べ方はどうでしょう。

私は昔から、上下に割って食べています。ねじりながらうまく上下に割ると、チョコ入りの下側と、甘くて香ばしいサクサクの上側の2枚に分かれます。まさに、バイ(倍)の実。

失敗するとチョコも上側に持ってかれてしまい、おいしさがすべて詰まった側と、いいとこなしの薄いカス側の悲惨な結果になるので、自己責任でどうぞ。ちなみにパイの実にあんこをのせるのも最高です。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。愛知県名古屋市出身、米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。ポッキーのチョコを先にはがしたり、オレオを分解して食べるタイプの子供だった。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!