みなさん、こんにちは。旅をおあずけされた旅人マリーシャです。わん。
旅への禁断症状からか最近、無性に異国情緒あふれるものが食べたくてたまらない。独特な香りの香辛料とか、謎の豆類とか、なんでそれ食べようと思った?みたいなそういう料理を見たい食べたい感じたーい!
というわけで、今回の「おうちで世界飯」では、アラブの国エジプトの国民食「コシャリ」を作ってみたいと思います!
コシャリとは、米とマカロニやスパゲティなどのパスタ、ヒヨコ豆やレンズ豆をミックスし、フライドオニオンとトマトソースをかけた料理。
炭水化物盛り盛りのエジプトB級グルメなんですが、現地では日本でいうところのラーメンくらいポピュラーな国民食なんです。それにしても、なんか名前がいいよね。「コシャリ」って。
東京メトロのCMで石原さとみが食べていたものの、まだまだ日本では知名度の低い世界の料理。私がこれを知ったのは、まさにエジプトに行った時だった。
トルコからなんと5千円という破格の航空券を見つけ飛んだのは、エジプトのハルガタという街。ハルガタはダハブに次ぐエジプト随一のリゾート地で、世界一美しいといわれる「紅海」に面したダイビングの聖地だった。
旅人の間ではエジプトは「世界一安くダイビングのライセンスが取得できる」と有名で、私ももれなくPADIのアドバンスド(水深30m潜水可能の資格)を取るべく、見参した。
しかし、深さ30mへの緊張からか腹痛になったり、体調不良で潜水を辞退しようとする始末。そんな私に、現地エジプト人インストラクターがくれたのが、コシャリだった。
「これを食べたら元気が出るさ! 明日は一緒に海に潜ろう!」
テイクアウトのカップの蓋を開けてみると、なんだか赤くてぐちゃぐちゃした食べ物との初顔合わせ。
「なんだこれ......」
正直、第一印象はあまり良くなかった。そして、付属のプラスティックフォークでかき混ぜてみると、出てくるわ出てくるわ、米とマカロニとスパゲティの炭水化物3種!
「え、なにこれ、そば飯......?」
そのインパクトある"エジ飯"を一口しか口に運ぶことができなかったが、無事に海から上がった後に完食し、その後もエジプト生活では何度もお世話になった。お値段100円程度と安くて、腹持ちが良く旅人にパワーを与える、そんな世界飯である。
それでは料理にいってみたいと思うのですが、コシャリは現地でも決まったレシピがないんだそう。つまり、お店や家庭によって具材もソースの味も千差万別!
というわけで、私が実際に食べたものや調査をもとに、週プレ読者さまにも簡単に作れるバージョンにしてお届けしたいと思います!
豆は水で戻す面倒な作業を省くため水煮缶を使い、フライドオニオンは既製品で揚げ物もなし! 味の決め手となるのはほぼトマトソースですが、今回はトマトパスタ用のアラビアータソースでチートします! いぇい!
こちらがレシピです! どん!
<材料> 1~2人分
・米...一合
・スパゲティ..30g
・マカロニ...30g
・トマトソース...150~200gくらい(今回はトマト系パスタソースを使用)
・クミンパウダー...3~6振り(異国感がアップします!)
・ひよこ豆(水煮缶詰)...30g
・レンズ豆(水煮缶詰)...30g
・フライドオニオン...適量
*味変用調味料
・タバスコ
・酢
*メモ
・トマトソースは、基本レシピはトマト缶から作るのですが、ニンニク・玉ねぎ・塩・胡椒などの味付けが必要になるので、今回はトマト系パスタソースを使っちゃいます!
・豆類、フライドオニオンはカルディなど輸入系スーパーで手に入ります。豆類はスーパーでも見かけるミックスビーンズなどで代用可。
・クミンはカレーにもよく使われるエスニックな香りをもつ、エジプトなどが原産のセリ科のスパイス。最も古くから栽培されているスパイスのひとつで、紀元前16世紀の古代エジプトの医学書にも記載されているとか。
<調理>
1.炊飯器でお米を炊く
2.鍋で湯を沸騰させ、6等分に折ったスパゲティとマカロニを茹でる(それぞれの所要時間に合わせて8~12分ほど)
3.小鍋にトマトソースとクミンパウダーを3~6振りほど入れて温める(クミンが多いほど異国感アップ)
4.マカロニとスパゲティが茹で上がったら、ザルにあげて水を切っておく
5.器に炊けたお米、マカロニとスパゲティ、トマトソース、豆類、フライドオニオンなど全ての食材をよそう
6.最後にトマトソースをかけたらできあがり♪
「え! もしや、これまでのレシピの中で一番簡単!?」ってほど簡単です。
あまりにシンプルで簡単なのは良いのですが、これは世界一"映えない"料理と言っても過言ではありません。が、それでも盛り方でだいぶマシにはなります。
パセリとか入れたら色合いも良いだろうけれど、なるべく本場に忠実でいたいので(チートしてるけど)、今回は使いません。できる限りきれいに盛ったら、あとは器の中でごちゃ混ぜにして口にかきこみます(結局ぐちゃ飯)。
それではいざ、実食。
米とパスタの混ざった感じはやはりそば飯を彷彿とさせるが、味を司るのはトマトソース。そしてクミンパウダーが異国感を漂わせる。今回は既製のパスタソースを使ったため、味がわりと完成されているので間違いない。
それからサクサクと軽快な食感を演出するのはフライドオニオン君! ふりかけのようにしてかければお手軽のウマウマです。
今回ちょっとした自己流アレンジはしているが、シンプルな料理なだけになかなか本場と近いデキな気がするぞ!
「それにしても、この料理、何かに似てるな。タ、タコライス......!?」
エジプトで食べた時は気がつかなかったが、改めて食べると、ご飯にトマトソースというコンビがタコライスを思い出させた。
そして炭水化物がドドンで一見アンヘルシーだが、豆類にはタンパク質、ビタミンB、鉄分などの栄養が豊富。言ってみれば"納豆ごはん"みたいなもん!?
そしてヴィーガン(完全菜食主義)料理でもあるので、お肉やお魚を食べない人、宗教的に食材を選ぶ人も食べられるんです。
最後に、お好みで味変用のソースを足しましょう。エジプトでは2種類。唐辛子ベースの辛いソース「シャッタ」と酢ソースの「ダッア」がありますが、これらもまた店によって味が異なるそう。ここではタバスコと米酢で代用します。
ピリ辛スパイシーでよりタコライス感、そしてご飯に酢も、酢飯に慣れ親しんでいる日本人には親近感!
とても自由なエジプトの国民食コシャリ。いろいろ具を変えて、オリジナルコシャリを考えてみるのもおもしろそう!
★旅人マリーシャの世界一周紀行:第292回「おうちで世界飯。北スペイン・バスク地方の伝統料理『ピルピル』はドヤれる一皿!」
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。コラム連載は5年間半を超える。Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】