「現代はある意味、SNSによって生き霊が可視化されている時代なんだと思います」と語るシークエンスはやとも氏「現代はある意味、SNSによって生き霊が可視化されている時代なんだと思います」と語るシークエンスはやとも氏

幽霊が視(み)えすぎる芸人として、『ホンマでっか!?TV』や『行列のできる法律相談所』などに出演して話題を呼んでいるピン芸人、シークエンスはやとも

昨年12月に『霊が教える幸せな生き方』を上梓(じょうし)した彼が、霊の真実、そして霊が視えるからこそわかる、健全に生きるすべを明かす。

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――殺人現場を目撃したことがきっかけで、霊感があることに気づかれたんですよね。

はやとも そうなんです。向かいのマンションから太ったスキンヘッドのおじさんが頭に包丁が刺さった状態で出てきて、後ろからもうひとりの男性が追いかけてきてめった刺しにするのをベランダから見て......。小学3年生の頃の話です。

――ショッキングな光景ですね。

はやとも 翌朝、目を覚ますとその刺されたほうのおじさんが隣にいました。日中はおんぶするように僕にもたれかかってきて、ずっとついてくるような状況だったんですけど、1週間ほどして、父に「おまえ、それ取れないのか?」と言われて。父は僕以上に霊感の強い人で、無事取ってもらえました。

そのときに自分に霊感があることに気づいたんですけど、父には「もともと視えていたけど、気づいてなかっただけ」と言われて。僕は幽霊と生きている人間の区別がついていなかったんですよ。大人になってからもなかなか人間と幽霊の区別がつかなくて。

吉本に入った1年目の頃は「おかしなやつがいる」と噂されたこともありました。先輩や社員さんと幽霊の見分けがつかずに、誰もいないところに向かって元気に挨拶していたんです(笑)。幸い、今はメガネをかけることで意識的にオンオフを切り替えられるようになりました。

――幽霊というと、血まみれとか白装束とかを想像しがちですけど、実際は普通の人と変わらない格好なんですよね?

はやとも そうです。まず前提として、霊には「死霊」と「生き霊」があって、このふたつはまったくの別物です。死霊はいわゆる幽霊や亡霊のことで、死んだ人間が肉体のない別の姿になって現れること。

死の直後は自分が死んだことを理解できず、死体に重なるように寝ていることが多いのですが、お葬式の頃になると状況を理解し、火葬後は過去の思い出の場所をさまよい始めます。

自分が一番楽しかった頃の姿で現れるので、ホラー映画で見るような幽霊はいないし、この世に心残りがあってさまよっているだけなので悪さをすることもめったにないんですよ。誰かへの強い恨みを持ってこの世にとどまっている怨霊や悪霊とは全然違うし、そういうのはごく一部なんです。

一方、生き霊は生きている人が誰かに対する強い気持ちを飛ばしてしまう「念」のようなもの。宿るべき肉体がない死霊よりもよほどマイナスエネルギーが強く、生き霊がつくと悪影響を受けやすくなります。

霊視で人の心の状態をたくさん視てきた僕からすれば、死霊よりも生き霊のほうがずっと怖い......。考えてみてください。SNSや匿名掲示板を見ていると、他人のことを攻撃する人間がめちゃくちゃ多いですよね? 

――確かに。「どうして会ったこともない人をこうも悪く言えるんだろう?」って思います。怨念すら感じるというか。

はやとも 実際、誹謗(ひぼう)中傷で自殺する人もいるじゃないですか。だから、現代はある意味、SNSによって生き霊が可視化されている時代なんだと思うんですよね。しかも、嫌いというマイナスエネルギーは好きというプラスエネルギーよりも1000倍くらい強いので、心に受けるダメージも大きくなってしまいます。

――結局、幽霊なんかより人間のほうが怖いと。

はやとも ですね。一方で、幽霊につかれやすい人がいるのも事実です。そういう人たちは「幽霊の存在を信じている」「優しい」「精神的に弱っている」という3つの特徴を持っている傾向があります。幽霊は気づいてほしくてさまよっているので、近づきやすくて、心が弱って死に近づいている人は格好のターゲットになるんですよ。

僕は「霊体」を視ることで、その人が今どんな状態なのかがよくわかります。霊体というのは「魂のような固まりが真ん中にある球状のもの」のことで、人に対するマイナス感情が強い人は霊体が黒く、逆にプラス思考でポジティブな人は霊体が白くなります。

電車で移動中にいろんな人の霊体を視ているんですけど、少し前までは十人十色だったのに、コロナ以後は「不安で仕方ない」という人と「全然大丈夫」という人で完全に二極化しているんです。時代の影響ですよね。

――本書では霊を遠ざける方法も書かれていますが、男性にとって一番お手軽なのがエロ動画を見ることなんですね。

はやとも 「性」は「生」なので、そういうものに触れると心が生きる方向に向くんですよ。エロ動画を見て、「あのコとのセックスはよかったな」って思い出すことあるじゃないですか。

そうなると、幽霊も自分への意識がどんどん遠のいていくのを感じるので。大事なのはエロに意識が向くこと。僕はスマホのボイスメモにあえぎ声を入れているんですが、幽霊に遭遇するとイヤホンで聴くんです。

そうすると幽霊も自然と遠ざかっていきます。まあまれに性欲の強い幽霊もいて、そういうタイプはエロ動画を止めると逆に怒るんですけど(笑)。

――早く成仏しろって感じですね(笑)。話を聞いていると、幽霊って全然怖い存在じゃないと思えてきました。

はやとも そうなんです。ホラー映画や怪談では、どうしてもおどろおどろしい幽霊が出てきますけど、そもそも人が一番幽霊を信じるのって大切な人が死んだときですよね?

「父が死んでから家の中で心霊現象が起きて怖いんです。父は私たち家族を恨んでいたんでしょうか?」というようなDMがたまにくるんですが、きっと大切な家族に気づいてほしいだけなんです。そもそも、「心霊現象=怖い」ってわけじゃないと言いたいですね。

――幽霊は怖がらせたいわけじゃなくて、ただ気づいてほしいだけだと。

はやとも 僕の場合、愛犬のラガーが亡くなって幽霊になったんですけど、とてもうれしくて1年半も一緒に過ごしました。だから、幽霊が来てくれてうれしいと思えば、素直にその感情で迎えればいいと思います。

●シークエンスはやとも(SEQUENCE HAYATOMO)
1991年生まれ、東京都出身。吉本興業所属。"霊がよく視える"ピン芸人。iPadで行なう「生き霊チェック」による霊視が話題。YouTubeチャンネルやニコニコ動画を中心に心霊話を配信中

■『霊が教える幸せな生き方』
(KADOKAWA 1400円+税)
生き霊のつき方で、性格や生き方、幸福かどうかなどを見抜く「生き霊チェック」が話題のピン芸人、シークエンスはやとも。しかし、霊感があることを公言するようになったのは芸人になってからで、それまで十数年間は秘密にしていたという。そんな生い立ちを明かしつつ、「死霊と生き霊なら怖いのは圧倒的に後者」「幽霊には足がある」など、気になる心霊のアレコレを実体験をもとに説明。視えるからこそ伝えられる、心霊的生き方論!

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