ホンダがコロナを蹴散らす、怒涛の新車攻勢を展開。100万円台のバイクが売れに売れているという。いったいどんな新型? モーターサイクルジャーナリストの青木タカオが、その人気の秘密と実力にガシガシ迫ってきた!
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■発売直後のモデルが早くも完売寸前!
――ホンダの新型が飛ぶように売れているってマジ?
青木 ええ。3月11日に発売されたばかりのレブル1100の人気が爆発しています。
――具体的には?
青木 国内の年間販売計画は3000台ですが、すでに予約だけで2600台以上の受注が入っているんです。
――価格は100万円台と決してお安くないのにスゴいスね!
青木 そうなんです。正直、国内で増産するかどうかは現時点では未定です。もしかすると一瞬で完売になる可能性も。レブル1100が気になる人はお店へダッシュです!
――そもそもレブル1100ってどんなバイクなんスか?
青木 レブルシリーズは250cc、300cc、500ccをグローバル展開しています。年販は約2万5000台で、まさにホンダのドル箱です。そのフラグシップが今回発売されたレブル1100になります。
――試乗した感想は?
青木 完全新作のパイプフレームはシート部にかけて大きくくびれて、700mmという極端に低いシート高を実現しています。私は身長175cmですが、両足のカカトが地面にベッタリつきます。足つき性は非常に優れています。ビギナーや若者、女性にも大人気のレブル250cc同様、乗り手の体格を選びません。
――誰でも気軽に乗れる大排気量車に仕上がっていると?
青木 はい。それでいて、ベテランもうならせるエンジンフィーリングが持ち味です。アフリカツイン1100譲りのパラレルツインエンジンを搭載していますが、コイツがビートの効いた鼓動と脈打ちを生み出しているんです。ゆったり流すと本当に超気持ちいい!
ハーレーのVツインが大きな和太鼓をドッカンドッカンゆっくり鳴らすようなフィーリングだとしたら、レブルはバスドラをドコドコドコと連打したかのような小気味よさです。乗り手はライディング中、コンパクトなソロシートを通じて、ビッグツインならではのパルス感を堪能してほしいですね。
――どうして、そんなに気持ちいいんスか?
青木 開発責任者に聞いたら、質量を32%増やしたフライホイールで慣性モーメントを増加させ、心地いいと感じるパルス感を強調。さらに低中速のトルクを極太にし、サウンドチューニングも施してあるそうです。
その結果、低回転数では乗り手とエンジンがシンクロし、スポーツ走行で高回転まで引っ張り上げれば力強いパルス感を誕生させると。
――なるほど。乗り味は?
青木 今回、私が乗ったモデルはクラッチやシフトチェンジ操作が必要ないDCT(デュアルクラッチトランスミッション)仕様でした。はっきり言って、大型初心者でもラクに運転できます。
実は電子制御によるライダーモードも搭載されており、スポーツモードはエンジンを高回転まで引っ張ってキビキビ走れ、レインモードなら濡れた路面も駆動輪が滑りにくくなるんです。
――すぐ完売しそうスね?
青木 時間の問題かと。
――そして発売が近い新型GB350も話題を集めています。
青木 このGB350は二輪市場が急拡大しているインドで、昨秋、「ハイネスCB350」の名前で先行デビューしているんですが、わずか4ヵ月で販売台数1万台を突破した超注目のモデルなんです。
――マジか!
青木 GBといえば、1983年にGB250クラブマン、85年に400や500が登場したホンダのシングルスポーツの伝統ブランド。90年代後半以来の国内復活になります。
――実車に乗った?
青木 発売前の発表だったので、試乗はかないませんでしたが、穴があくほど見て触って跨(またが)ってきました。鉄フレームに載る単気筒エンジンはマジでタマりません。直立したシリンダーには冷却フィンが刻まれ、本当に美しかった。
――日本でも売れる?
青木 まだ詳細が未発表なのに、販売店には問い合わせが殺到しているそうです!
●青木タカオ
モーターサイクルジャーナリスト。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。現役の二輪専門誌編集長だ