みなさん、ヤーマン! 旅をおあずけされた旅人マリーシャです。わん。
旅人でも作れるカンタン世界飯シリーズ「おうちで世界飯」第10回。今回、挑戦するのはレゲエの聖地ジャマイカのソウルフード。ボブ・マーリーも愛した(?)「ジャークチキン」です!
ジャークチキンはご存知、鶏肉をスパイスに漬け込んで焼いたジャマイカの郷土料理。英語で「ジャーク(jerk)」と言ったら、「最低野郎!」という意味もあるので要注意ですが、料理の由来としては、乾燥塩漬け肉を意味する南米のケチュア語「charqui」が語源となり、スペイン語化、英語化したもの。つまりジャーキーのこと(諸説あり)。
また、「ジャーキング(Jerking)する」と言って、肉をハーブやスパイスなどに漬け込むという意味で使われるそう。
この料理の原型は、ジャマイカのマルーン(逃亡奴隷)によって作られたとか。野生のイノシシを捕まえ、山に自生するスパイスを使って長期保存させていたのだ。そんな背景があったとは。
私が本場ジャマイカでジャークチキンを食べたのは、第2の都市モンテゴベイに行った時のことでした。
そこは、同国でも最も透明度の高い美しいビーチが点在するリゾート地。ですが、治安はやっぱりジャマイカで、私が空港近くにある宿の周りを歩いていると、
「タイマ? フレンドよ、タイマ?」
と声をかけられました。危うくオトモダチができそうになりましたが、旅人スキルで上手に振り切り、どこからともなく聞こえるレゲエミュージックとBBQの香りを頼りにジャークチキン屋さんにたどり着きました! そこには、炭火で焼かれて焦げの付いた美味しそうな鶏肉の姿が!
「おお、これが本場のジャークチキン!」
私は焼き立てを美味しく頬張ったのでした。
さて、日本では輸入食品スーパーなどでジャークチキンのシーズニングが売っているので、それに鶏肉を漬け込んで焼けば作れちゃうという、すごく簡単な料理。ですが、今回はせっかくなのでスパイスから作ってみたいと思います!
ジャークチキンに欠かせない食材は次の3つ。
・オールスパイス...クローブ、シナモン、ナツメッグなどをミックスしたような深みある香りのスパイス
・スコッチボネット...ジャマイカのトウガラシで見た目や辛さはハバネロ似。ジャマイカ最大の輸出農産物
・エスカリオン...ジャマイカのオニオン
さて、オールスパイスは購入するとして、あとはチリパウダーと玉ねぎで代用しますか!
それでは、レッツクック!
<材料> 2人分
・鶏肉(モモやムネなど)...300~400g
・玉ねぎ...1/2個
・ニンニク...1片
・生姜...小さじ1/2(ニンニクと同じくらい)
・オールスパイス(ナツメグ・シナモン・クローブ)...小さじ1/2
・タイム...小さじ1/2
・コリアンダー...小さじ1/2
・クミン...小さじ1/2
・パプリカパウダー...小さじ1/2
・チリペッパー...小さじ1/2
・塩...小さじ1/2
・胡椒...小さじ1/2
・砂糖...小さじ1/2
・ライム汁...1/4個
・オリーブオイル...大さじ1
<ワンポイントメモ>
※付け合わせに生野菜やライス、カットライム、ケチャップやBBQソースをお好みで。
※タイムはシソ科のハーブで独特の清々しい香り。魚介類との相性が良く「魚のハーブ」とも呼ばれていますが、ジャークチキンにもよく使われている。
※ハーブ系のスパイスは原型でもパウダーでもOK! 私はタイムのとクミンは原型タイプを使ったよ!
<調理>
1.ニンニク、生姜、玉ねぎをすりおろす。(大根おろし器や、ミキサーにかけてもOK)
2.ボウルまたはジップロックなどのビニール袋に鶏肉以外の全て(1.とスパイス、ライム汁など)を入れて混ぜる。漬けダレ完成。
3.鶏肉の厚い部分が平たくなるように切り開き、味が染み込むように切り込みを入れたり、フォークで穴を開ける。
4.漬けダレに鶏肉を入れて揉み込む。(ボウルでもビニール袋でもOK)
5.食品用ラップやジップロックなどで密封にし、冷蔵庫で最短1時間~一晩漬け込む。(長く漬け込んだほうが味がしっかり染み込むよ!)
6.クッキングペーパーを(あれば網も)敷いた天板に鶏肉を乗せ、200℃に予熱したオーブンで30分焼く。(他の焼き方も後ほどご紹介します!)
7.焼いたら食べやすいサイズにカットし、皿に盛り付けたら出来上がり!
<実食>
まずはレゲエミュージックをON! そしてボトルビールにカットライムを差し込んだら、一口飲んでから、レッツイート!
本場では炭火焼きだけど、おうちでやるわけにもいかないので、今回はまず電子レンジのオーブン機能を使用。すると、出来上がりの見た目がすでに違う。
本場ジャークチキンのようなワイルド感は全くなく、優しいキツネ色。焼きが足りなかったのか、焦げ付きがないのでなんか物足りない。正直別の料理ができましたという感じだ。でもしっかりとスパイスは香っているので、
「ジャ、マイッカ!」
と気を取り直して、パクリ。
すると、数種類のスパイスの香りがお口に広がり、少しのピリ辛がビールを誘う。そして肝心の肉はというと、しっとり柔らかくジューシーで......こんなこと言ってはなんだけどジャークチキンよりも質感的には好みであるが、ジャークチキンというには違和感がある。うーん、本場に近づけるには、もっとゴリゴリに焼き焦げを付けたい!
なんだか悔しいので、意地になって他の方法でも焼き方をトライしてみました! 鉄フライパン、コーティング加工フライパン、スキレット(鋳鉄製のフライパン)、焼き網の4パターンです。
お肉は冷蔵庫にあった鶏ムネ肉を使用。調理方法は全て、皮目から中強火で焼き目をつけるように10分程度、ひっくり返して弱火でお肉に火が通るまで焼きました。
さて、今度こそ全部の肉に焦げが付いて、美味しそうかどうかは別として、見た目はさっきよりもワイルドな雰囲気が出てきました。
ライムを絞り、いざ味比べをしてみると、どれもそんなには大差がないように思えるが、強いて言うなら、焼き網が一番それっぽい。やはり直火が良いのだろうか。おうちに焼き魚グリルがあればそれで焼くのも良いかもしれない。
そんなことよりも、私はムネ肉よりもモモ肉が好きなことを確信した。筋トレ強化月間以外は脂がジューシーなモモ肉を食べようっと。
今回の実験(実験なの?)は本場を再現とまではいかなかったけれど、なんだかんだスパイスのおかげでジャマイカ感を演出できました!
「ジャ、マイッカ! ピース! ワンラブ!」
って感じですが、結論としてはジャークチキンはやっぱりワイルドさが大事! 調理のポイントはスパイスと焼き方だなと。次はスパイスをもっと自分好みに調合して、炭火焼きで焼いてみたい! キャンプで周りをあっと言わせるぞ!
ジャークチキン、コマゲンです!
(Come again!=レゲエ用語で「もう一度!」)
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。コラム連載は5年間半を超える。Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】