ハーブとナンプラーが香るスパイシーな挽肉サラダです!

みなさん、サワディカー! 旅をおあずけされた旅人マリーシャです。わん。

なななんと! 気付けばついに連載300回となりました! 読者の皆さまや編集部に支えられ、ここまで続けて来れたことは本当に感謝しかありません。みんな大好き! コップンカー!(ありがとう!)

というわけで、今回の旅人でも簡単に作れる「おうちで世界飯」第12回は、初心に帰ってバックパッカーの聖地・バンコクのカオサン通りで食べたタイ料理「ラープ」をお届けしたいと思います!

ラープはラオスやタイ北東部の料理で、挽肉を赤玉ねぎ、ハーブ、炒り米、唐辛子などと和えてナンプラーで味付けをしたスパイシーな肉サラダのこと。

タイ料理は日本人にもなじみがあり、ラープの中でも特にラープガイが有名かと思いますが、「ラープ」はラオス語で「幸運」、「ガイ」はタイ語で「鶏」のこと。豚肉ならラープムー、牛肉ならラープヌアと言い、他にもアヒルや魚を使ったりと、ラープはバラエティ豊かな料理なんです。

サラダといえど、現地で食べる本格タイ料理はなかなかの辛さ。口に運んだら汗が止まらずビールが手放せません!

私がこの料理に出会ったのは、旅を始めた最初の頃。その後の世界一周に必要なワクチン(狂犬病、黄熱病、A型肝炎など)を安価に打つため、カオサン通りを根城にしていた時でした。

ワクチンを打ちに赤十字病院へ。きゃー! 打たれるー!(現在は撮影禁止)

ワクチン打たれるところを自撮り(現在は撮影禁止)

ブスブスと4本のワクチンを打ったダル重の腕をぶら下げて夕刻のカオサン通りへ繰り出すと、街はざわめき始め、通りは屋台や露天商、飲食店のテーブルや椅子でいっぱいに。

夜になるとカオサン通りはざわめき始める

飲食店や屋台などが通りに飛び出し、テーブルや椅子が設置される

湿気で体がじっとりと汗ばむ中、私はある飲食店のプラスティックの椅子に座りグリーンカレーとラープガイ、そしてビールを注文。

店主はマジックの得意なマックという日本語が堪能な男性で、旅人の間では有名な店でした。彼の笑顔と手際の良いマジックを見ながら、ヒーヒー言って食べるスパイシーな料理とビールは最高としか言いようがない。毛穴から汗が大放出です!

マジック上手な店主のマック

タイで食べたラープガイ

あれから数年、コロナ禍で彼の店は一時閉店していたとの噂でしたが、復活しているだろうか。またあの味を食べたいなぁと、懐かしい旅を振り返りながらレッツクックです!

材料:(左から)ナンプラー、砂糖、チリパウダーor唐辛子、レモン、挽肉。(白いバット内、左上から)赤玉ねぎ、パクチー、ミント、万能ねぎ、キャベツ、ニンニク、生姜、鶏ガラスープの素、米

今回のポイント食材は、ミントも捨て難いけどやっぱりフライパンで炒った自作の炒り米! これがあるとないとでは味も食感も違う。香ばしさとクリスピーさを演出する大事な役目を果たしています。本場ではもち米を使いますが、そこは普通のお米(無洗米)で代用! これぞ旅人でも作れるおうちで世界飯よ!

ポイント食材は炒り米! 米粉にして使います!

<材料> 2~3人分

 ・挽肉(鶏でも豚でも)...200g

 ・赤玉ねぎ...4分の1個

 ・万能ねぎ...2、3本

 ・パクチー...2、3束

 ・ミントの葉...ひと掴み(茎は取る)

 ・ニンニク...1片(省略可)

 ・生姜...ニンニクと同量程度(省略可)

 ・米(無洗米)...大さじ2

 ・ナンプラー...大さじ1

 ・チリパウダーor唐辛子...小さじ1/2~お好みの辛さ

 ・砂糖...小さじ1

 ・鶏ガラスープの素...小さじ1

 ・水...大さじ3

付け合わせ

 ・レモン...一切れ

 ・キャベツ...数枚

<ワンポイントメモ>

*ハーブは香りを失わないよう、和える直前に刻む!

米を炒る時に岩塩を少し入れると焦げにくい!(分量外)

<調理>

1.赤玉ねぎをスライスし、辛味を抜くため水にさらした後、水を切っておく。

2.ニンニクと生姜はみじん切り、万能ネギは小口切りにする。

3.フライパンで米を黄金色になるまで中弱火で炒る。岩塩を少し混ぜると焦げにくいとか!(分量外)。

4.炒り米をすり鉢で粗挽きにする。(フードプロセッサーで砕いてもOK)

5.フライパンで挽肉を色づくまで炒める。

6.ニンニク、生姜、鶏ガラスープの素、水を入れる。

7.肉に火が通り水分が少なくなったら火を止めて、赤玉ねぎ、万能ねぎ、炒り米、ナンプラー、チリパウダー(or唐辛子)、砂糖を入れて全体を和える。

8.パクチーとミントの葉は香りを失わないよう、和える直前に刻む。

9.刻んだパクチーとミントの葉も加え、さっくり全体と和える。

10.お皿に盛って、キャベツとレモンを添えたら出来上がり!

★YouTubeで実際の料理シーンも見てみてね!

<実食>

まず出来上がりを見て、この企画を始めて料理が上手くなってることを実感。われながら美味しそうである。旅人から"旅人料理人"へのグレードアップの兆しが見られます。

レモンをたっぷり絞りかけ、いざラープと向き合うと、ナンプラーとハーブの刺激強め香りが鼻の奥をつんざきます。

「ぐぬぬ、ナンプラー臭って、臭いんだけどクセになるよなぁ......」

手で持ったキャベツの上にラープをどっさりと乗せたら、大きなお口でいただきまーす!

キャベツに乗せて食べるの最高すぎる

挽肉をこぼさないようにかぶりつきます!

「ア、アローイ!(美味しい)」

ゴロゴロっとしたひき肉の塊と、なんとも言えないハーブの独特な風味、そしてこれでもかと言わんばかりのスパイシーさ!(と言っても、今回のレシピではかなり辛さを抑えているので、現地のものとは比べ物にならないほど程良いです。辛いのが好きな方はチリパウダーをドバドバ入れてください)

毎度の通りレシピは無限なのですが、私の思うタイ料理の隠し味的存在は砂糖。現地では椰子からできたパームシュガーを使ったりしますが、今回はきび糖を使用(白砂糖でもOK)。辛さや臭さが振り切れている中で、後を引くうま味を作るのは実は砂糖なんじゃないかと思うんです。ぜひ恐れずに入れてみてほしい。

ポイント食材の炒り米もちゃんと働きを見せています。お煎餅のような香ばしさや歯応えは小さいながらも存在感あり。そして炭水化物の底力だろうか、お腹にも満足感を感じる。

「うむ。炒り米が入っていないものを私はラープとは認めぬ。それが入ってこそ幸せの肉サラダなのだ......!」

* * *

今、世の中はワクチンの話で持ちきりですが、ワクチンといえば私は旅の初心を思い出す。日本よりも安価で打てるバンコクで予防接種して備え、その先のまだ見ぬ世界に憧れたものでした。

相変わらず旅のできない日々ですが、あの時食べた世界飯を通じ、こうしてみんなとの交流の場を持てていることに感謝です。これからもよろしくお願いします。改めまして、300回ありがとう。

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。Twitter【marysha98】 Instagram【marysha9898】 YouTube【https://www.youtube.com/channel/UCe2ihHJ1MXHEZgpdmglzWew

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