【第1位】ホンダ レブル250 価格:59万9500~63万8000円 発売:2020年3月(小変更) 写真は2017年の春、米カリフォルニアで開催された発売前の試乗会。青木は北米仕様のレブルでベニスビーチ近辺を疾走。そのワイルドなライドフィールにバカ売れを確信したという

早いもので今年で第3回を迎えたびんびんバイク・オブ・ザ・イヤー。今回もモーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が選考委員長を務め、上半期に男心を刺激したマシンを独断と偏見のみで審査。買って損ナシの珠玉の7台をご開帳する!

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■若者にバカウケのホンダ・レブル250

青木 2021年もあっという間に半分が過ぎましたが、何か忘れていませんか?

――えっ、なんでしたっけ?

青木 毎年恒例のびんびんバイク・オブ・ザ・イヤー上半期の発表の季節でしょうが!

――あっ、またやるんスね。

青木 (立ち上がり)もちろんですよぉぉぉ! 何せ、「3密回避」ができる乗り物としてコロナ時代に注目を集めるバイク。それをなぜ紹介しないんですかぁぁぁ!

――じゃ、お願いします。

青木 てなわけで! 私、選考委員長の青木タカオが吟味に吟味を重ねて上半期のベスト7を発表させていただきます! 1位はあえて新型を外し、2017年に登場したホンダのレブル250です!

――なんでまた?

青木 発売当初は特に目立つモデルではなかったんですが、右肩上がりに爆売れ。具体的には、2017年が2895台で、18年は5236台、19年は7985台、そして昨年はついに1万3958台を記録(二輪車新聞調べ)。

――スゲッ!

青木 現在、レブル250は軽二輪(126~250cc)クラスで断トツの売り上げを記録しているんです!

――購買層はオジサン?

青木 確かに日本自動車工業会が2年ごとに調査している「新車バイク購入者」の平均年齢は年々上昇し、2019年度は54.7歳......。今やバイクは完全にオジサンの乗り物と化しています。

メーカーも往年の名車を復刻させるなど、レトロムードなモデルをリバイバルし、中高年に照準を合わせた戦略を立てていますが、レブル250の購買層は20代の若者たちなんです。しかも、このクラスの女性比率は通常5~6%ですが、レブル250は10%超えを達成しているから本当にスゴいんです。

――なぜレブル250は、若者の心に刺さったんスか?

青木 250ccながら大排気量クルーザーのようにリラックスしたポジションでゆったり乗れ、シート高も690mmと極端に低い。ハンドルの切れ角も35度と広く、交通量の多い都会でも気兼ねなく乗れるイージーな操作感が魅力です。

そして写真を見ればわかるように、よけいなものがついておらず、スタイルは実にシンプル。車体重量は170kgとバイクのなかでは軽く、ビギナーや女性にも扱いやすいんです。コロナ禍で習い事に挑戦する人が増えて、二輪免許取得者が急増したことも追い風になっているようです。

――実際乗ると?

青木 砂の浮いたビーチ沿いの道を流しても前後のタイヤがしっかりとグリップして安心感がある。単気筒エンジンはパルス感がありアクセルを開けて加速するだけでもう楽しい。ぜひ試乗していただきたいモデルです。

【第2位】スズキ ハヤブサ 価格:215万6000円 発売:2021年4月 2017年に生産を終了したスズキのフラグシップ「ハヤブサ」。4年の沈黙を破り、今年4月に見事復活。元祖・時速300キロマシンの血は新型にも流れている

――2位はなんです?

青木 スズキのハヤブサは外せません! 1999年に初代がデビューし、量産市販車で時速300キロ超えを達成した名車が今年復活しました。最新の電子制御を搭載し、超弩級(ちょうどきゅう)モンスターを自在に操れる。上質な乗り心地となり高速巡航も快適で、ツーリングの相棒にもうってつけです!

【第3位】ハーレーダビッドソン スポーツスター(写真=アイアン1200) 価格:142万7800~145万7500円(アイアン1200) 発売:2021年1月 ハーレーダビッドソンの定番ともいえるスポーツスターのアイアン1200。写真は欧州仕様。クロアチアで開催された発売前の国際試乗会でのひとコマだ

――となると、3位は?

青木 ハーレーダビッドソンのスポーツスターファミリーです。厳格化される環境規制により、伝統の空冷エンジンが「もう終了か」とファンの間でささやかれています。

21年式のスポーツスターは、「アイアン1200」「アイアン883」「フォーティーエイト」の3機種のみがラインナップに残りましたが、すべて即完売。現在、中古車が新車価格を超えるほど高騰しています。

【第4位】ホンダ GB350 価格:55万円 発売:2021年4月 インドの男たちをとりこにしているハイネスCB350の日本バージョンがGB350。7月15日には予約殺到中のスポーツ版「GB350S」が登場を控える

――4位は?

青木 4位はホンダのGB350です。空冷シングルの代表格・ヤマハSR400の生産終了を記念したファイナルエディションが、ネットオークションで100万円超えの値がつく異常事態になっていますが、そこにホンダが新時代の単気筒エンジンをブッ込んで大ヒット。

始動方式がキックのみで、ビギナーや女性にはハードルが高かったSR400に対し、GB350はセルスターター搭載でエンジンスタートも楽チン。クラシックなデザインの車体に、懐かしさも感じる単気筒エンジンを積み、乗り味も見た目どおり実に味わい深い。

老若男女問わず、乗ればヤミツキです。現在、年間4500台の予定生産分を大きく上回るペースで売れに売れているので、欲しい人はお店へ!

【第5位】ホンダ CRF250L 価格:59万9500円 発売:2020年12月 新設計のフレームとロングストロークサスペンションを採用するCRF250L。「フルチェンジで走破性は大きく向上!」と青木

――5位もホンダですか?

青木 CRF250Lしかありません! こちらもヤマハのロングセラー、セロー250が生産終了となり、オフロードバイクファンは途方に暮れていたところに、ホンダがここぞとばかりにオンロード志向だった従来型をフルチェンし、ギンギンのオフローダーに味変。車体が圧倒的に軽く、ダートで飛んだり跳ねたりアクションもしやすい。ダートバイクのスタンダードになりえる逸品ですよぉぉぉ!

【第6位】ドゥカティ ムルティストラーダV4 価格:288万円 発売:2021年3月 2003年に登場した初代以来、ムルティストラーダは累計11万台以上を生産。この4代目は軽量コンパクトなエンジンを搭載する

メーターは6.5インチのフルカラーTFT液晶。メーターはスマホと連動機能を備える

――6位はドゥカティのムルティストラーダV4ですか。選考理由は?

青木 市販バイクとしては初となるACC(アダプティブクルーズコントロール)を備え、時速30~160キロの速度で走行中、前方車両との車間距離を一定に保つよう、アクセルとブレーキを自動コントロールすることを実現しています。

コイツはロングライドでの疲労を軽減する頼れるもの。オフロードの走破性も向上し、オールマイティな冒険バイクに仕上がっています!

【第7位】ヤマハ テネレ700 価格:126万5000円 発売:2020年7月 シャシーは完全新作で、高張力鋼管ダブルクレードルフレームを採用。ヘッドライトはLED式。上2灯がローで下2灯はハイビーム

――そして7位はヤマハのテネレ700!

青木 他社のアドベンチャーバイクが次々に巨大化していくなか、トラクション性能に優れる270度クランクの688ccパラレルツインエンジンを積み、車体重量も205kgまで絞り込みました。

実際にダートを走っても、サスペンションストロークが十分にあって、オフロード走行に重きを置いているところも評価できます。路面状況が見えるよう透明にしたフロントカウルなどラリーマシン譲りの細やかな配慮、機能にも拍手を送りたい。

カワサキ メグロK3 価格:127万6000円 発売:2021年2月 今年2月に発売されて話題を呼んだメグロK3。ベースはカワサキのW800だ。職人が手作業で塗装したアルミ製エンブレムは感涙レベル!

――次点は?

青木 クラシカルな造形美にうっとりせずにはいられない並列2気筒773エンジンを積むカワサキのメグロK3です! 1924年に創業し、1960年代にカワサキに吸収合併された名門「メグロ」の復活に、ファンは悶絶(もんぜつ)しております!

――最後に下半期の展望を!

青木 下半期もびんびんマシンが続々登場予定です。ご期待ください!

(写真協力/ホンダモーターサイクルジャパン ハーレーダビッドソンジャパン カワサキモータースジャパン)

●青木タカオ 
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。専門誌『ウィズハーレー』(内外出版社)の現編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』

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