独創的な料理を続々と開発している野島慎一郎氏

『週刊プレイボーイ』で「激ウマ!! バカレシピ研究所」を連載中のB級フード研究家・野島慎一郎(のじま・しんいちろう)さん。

今回の"バカレシピ"は、肉まんにドーピング注射をして強引に肉汁をMAXにした「疑似肉汁ドーピング肉まん」!

* * *

【今回の食材】
・肉まん 1個 ・ラード 適量 ・ニンニク 適量 ・味の素 少々

野島 この前コロナのワクチンを打ってきたんです。

助手 副反応とか大丈夫なの?

野島 むしろモヤモヤがスッキリして気持ちいいぐらい! 

助手 まー、大丈夫なんすね。

野島 それで私も注射をめちゃ打ちしたいモードになって、勢いで注射器を買ってみました。これ、料理にも使えるんです!

助手 いろいろ、ヤベーやつだろ! で、どんな料理すんの?

野島 そこで今回用意したのは肉まんです。コンビニ肉まんってすごくいい味してるけど、肉汁は全然出てこないんですよ。

助手 あー確かに。肉汁がダクダクだと、蒸し器の中で長時間保存するのが難しいんスかね?

野島 コンビニ肉まんから小籠包(ショーロンポー)のように肉汁がダクダクあふれ出てきたら最高ですよね。なので疑似肉汁を作って、肉まんにドーピング注射をして強引に肉汁MAXにしてみようかと。いよいよオリンピックだし、ドーピング問題も旬ですからね!

助手 無理やり時事ネタ風にするな! まー。肉汁のドーピングなら大歓迎ですけど! でも肝心の疑似肉汁はどうやって作るんスか?

(1)ニンニク! 鍋でラードを熱して溶かしたら、刻みニンニクを入れて低温でじっくりと加熱する。ニンニクが焦げると苦味が出るので要注意。よく混ぜながら根気よく温めよう

(2)肉汁! ニンニクにしっかり火が通ったら軽く味の素を振り、網やこし器を使ってニンニクを取り除けば疑似肉汁の完成。ちなみに牛肉に肉汁をドーピングする場合は牛脂を使うとよい

野島 肉汁って結局は脂なので、ラードをベースにうま味をつければOK。鍋でラードを熱して溶かし、細かく刻んだニンニクを入れてじっくりと低温で加熱。ニンニクの味を溶け込ませたら、仕上げに味の素を振りかけて完成です。

助手 ニンニク・アブラ・うま味のエキスが爆誕! 本物の肉汁より破壊力が強そうッス!

(3)注入! 注射器を使って疑似肉汁を肉まんに注入する。1ヵ所から大量に注入するのではなく、場所を変えながら全体に注入。場所が偏ると肉汁が漏れる可能性が高くなってしまう

(4)完成!「疑似肉汁ドーピング肉まん」

野島 これを肉まんに注射器で限界まで注入していきましょう。ブスッ! ホワアァーッ! これ気持ちいい! チョー気持ちいい!! なんも言えねえ!!

助手 完全にヤベーやつ! 金メダル級の笑顔を浮かべながら注射を打つんじゃない!

(5)大洪水! あとは豪快に食べるだけだが、割れた水風船のように肉汁があふれてくるので要注意。食べながら疑似肉汁を追加ドーピングするのも◎。限界突破したダクダク感をお試しあれ!

野島 さあ助手くん、豪快にかぶりついて食べてみて!

助手 大量に注入したのに意外と漏れたりしないものなんスね。どれどれ......ブハァッ!! 噛(か)んだ瞬間に水風船が割れたかのように口の中が肉汁大洪水! 肉汁で溺死するぜっての!

野島 とんでもない破壊力! でも味は完璧に調いましたね!

助手 もともと餡(あん)の味が強いから、脂とかうま味をプラスするだけで格段にウマくなるッスね! これは究極のちょい足しグルメなのでは!?

野島 これはファミチキとかでも試したい! 今度コンビニに行くときは注射器と疑似肉汁を忘れずに持っていこう!

助手 外でやったら職質待ったなし! 家でやってくれ!

●野島慎一郎(のじま・しんいちろう) 
ライター、マンガ家、B級フード研究家。独創的な料理を続々と開発している。著書『世界一美味しい「どん二郎」の作り方』(宝島社)。YouTube『のじまちゃんねる』

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