コロナの運動不足などのなか、急に動いてケガをする人、事故に遭遇する人が急増している。中高年だけの問題でなく、「自分は大丈夫」と過信する若い世代こそ注意が必要なようだ!
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■コロナと過信でケガが急増!
長引くコロナ禍で、多くの人が運動不足に。最近では、軽い運動やアクティビティでケガをする人が増えているそうだ。理学療法士でアスレティックトレーナーの片浦聡司氏が現状を語ってくれた。
「コロナの影響で体力と気力が落ち、体重は増えているという状態で急激に運動をすればケガをするのは当然。これは決して中高年に限った話ではなく、20代後半から30代でも起こりえます。この"体力過信世代"は『自分は若いから大丈夫』と思い込みがち。特に、昔は平均以上に運動神経がよかったという人ほど危険ですので、注意しましょう」
というわけで、このような"体力過信世代"が引き起こしたケガや事故のエピソードをご紹介。自分には関係ないと思っている人こそ、しっかり読むべし。
【登山・キャンプ】
家ごもりでたまった"自然に触れたい欲"を解消しようと、挑戦する人が急増中のアウトドアアクティビティ。しかし、一歩間違えれば大ケガにつながる危険性も。
「20代の頃は6、7時間くらいで登れていた山に、日帰りで帰ってこられる想定で臨んだ。しかし、気がつけば辺りは真っ暗。軽装で来てしまったので、危うく低体温症になりかけた」(37歳)
命を落としかねないような行動。登山ガイドの上田洋平氏はこのように語る。
「年を重ねると、筋肉量の減少により、体内で熱を生み出しづらくなるため低体温症のリスクも上がります。登山の際は万が一の場合を想定した準備を心がけましょう」
また、同様に需要が増えているキャンプではこんなケガも。
「岩場の上にまな板を置いて食材を切っていたら、ナイフを落としてしまい、足を切り出血。ナイフの扱いには慣れているので大丈夫という慢心があった」(35歳)
ナイフの扱いについて、アウトドアライフアドバイザーの寒川一氏は警鐘を鳴らす。
「加齢やトレーニング不足で握力が低下していると、うっかり手を滑らせてしまうことは往々にしてあります。太ももなど、太い血管が流れている箇所を切ると大量出血してしまうため危険。安定した台がないときは、体の内側にナイフを置いて作業せず、外側で使うこと」
【プール】
自身の運動不足解消のためや子供に連れられてのプールでもこんなエピソードが。
「カッコつけてプールでバタフライをしたらギックリ腰になってしまった。昔は泳ぎが得意だったのに」(32歳)
泳法について片浦氏は次のように指摘する。
「バタフライは体力過信世代が最も注意すべき泳ぎ方。30代といえども、運動不足で背中が丸くなっていると腕が上がりづらく、その分、腰を反って姿勢をカバーしようとしてしまいます。日常的なストレッチや腹筋などある程度の筋力を養ってからにしてください」
また、ちょっと独特なプールエピソードも。
「子供の浮輪を膨らませていたら、思った以上に肺活量が衰えており、むせてせきが止まらず、時節柄、周りから白い目で見られた」(34歳)
このように肺活量の低下を嘆く声は意外とあるそうで。
「背中の筋力が衰え、猫背になっていると、あばら骨が開かなくなり肺活量が低下します。脇を伸ばすストレッチは猫背解消につながるといわれているので、積極的に行ないましょう」(片浦氏)
【陸上スポーツ】
続いては、スポーツでのケガ。五輪でも注目を集めた陸上競技では。
「コロナ前の話ですが、職場の運動会で100m走に参加した際、コースを曲がろうとしただけなのに、アキレス腱を切ってしまった」(39歳)
日頃の運動不足が職場でバレた恥ずかしい体験談。しかし、なかには走る前の段階でケガをしてしまう人も。
「ストレッチで太ももを思いきり上げたら『ブチッ』という音が聞こえ、ハムストリングスの肉離れを起こした」(35歳)
ウオーミングアップでの足のケガについて片浦氏はこう語る。
「急激に負荷をかけるような動きは控え、まずは屈伸のような、ふくらはぎの筋肉を使う簡単なストレッチから行ないましょう」
【スポーツジム】
最後は、運動不足解消に最適なジムでのケガについて。
「2年ぶりのジムで、レッグプレスを以前と同じ重さでやったら膝を痛めた」(37歳)
これには、コロナ禍での働き方も影響しているようだ。
「膝に負担がかかるのは、上手に大臀筋(だいでんきん/お尻の筋肉)を使えていないから。テレワークでの座りっぱなしが原因のひとつと考えられます。昔できたことを過信せず、まずは自重のスクワットから始めましょう」(片浦氏)
自分の体と向き合って「初動は無理なく」を心がけよう。