日産GT‐R(R35)2022年モデルの特別仕様車「プレミアムエディションTスペック」(1590万4900円)

9月14日に、日産はフラグシップスーパースポーツ「GT‐R」の2022年モデルを発表。同時に、100台限定の特別仕様車を発表したが、コチラは予約が殺到し抽選販売になったというから驚く。いったい何が起きているのか? 元自動車専門誌編集長のキャリアを持つ、カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が徹底解説する。

■デビューから14年経過も人気は衰えず!

ーー9月14日、日産が世界に誇る怪物スポーツカー「GT‐R」の2022年モデルを発表し、大きな話題を呼んでいます。そもそもGT‐Rはどんなクルマ?

渡辺 GT‐Rのデビューは2007年。熟成に熟成を重ねた長寿モデルです。ただし、そこは高性能なスポーツカー。お値段は1000万円以上。そのため販売台数が少ない。ここ数年の日本国内の月平均の登録台数は2019年が64台、昨年は56台、そして今年1~8月は58台です。このように生産の少ないモデルのため、多額の開発費が必要になるフルモデルチェンジは行なわず、細かな改良を繰り返しながら進化しているというわけです。

ーーそんなチョー完熟のGT‐Rですが、今回発表された2022年モデルの目玉は?

渡辺 Tスペックです。このTスペックは2022年モデルの特別仕様車で、「プレミアムエディションTスペック」と、「トラックエディション・エンジニアード・バイ・ニスモ・Tスペック」の2台が用意されています。

特別仕様車「プレミアムエディションTスペック」のリアに輝くTスペックのエンブレム。カッケー!!!

ーーほおほお!

渡辺 この2台のTスペックに共通するのは、専用のカーボンセラミックブレーキ、カーボン製リヤスポイラー、エンジンカバーなどを装着していることです。

ーー高価なパーツを装着していると。

渡辺 ええ。プレミアムエディションTスペックでは、上質な内装にも特徴があります。また、専用のレイズ製アルミ鍛造ホイールを装着し、バネ下重量も軽減しています。ニスモ・Tスペックは、ルーフやトランクフードがカーボン製になります。

ーーなるほど。お値段は?

渡辺 プレミアムエディションTスペックが1590万4900円、ニスモTスペックは1788万1600円です。しかも、この2タイプのTスペックは合計100台の限定となっています。

ーースゴ! 売れ行きは?

渡辺 Tスペックは予約殺到で抽選販売となりました。すでに抽選は締め切られているため、残念ながらもう買えません。ただ、標準モデルは普通に買えるのでご安心を。

ーーけど、GT‐Rは発売から14年が経過しているんですよね。ぶっちゃけ、今選ぶ価値ってあるんスか?

特別仕様車「プレミアムエディションTスペック」の内装で目を引くシート。本革とパールスエードのコンビネーションは専用装備だ

渡辺 GT‐Rは高性能車のなかでは割安といわれますが、14年前に登場した時は、5%の消費税を含んで777万円でした。熟成を重ねているとはいえ、現在の価格は最も安いピュアエディションでも1082万8400円ですから、14年前の1.4倍、先に挙げた特別仕様車のTスペックは2倍以上のお値段になっています。ただし、リセール面がスゴい! 

ーー具体的には?

渡辺 中古車を欲しがるユーザーがものすごく多いんですが、前述のとおり新車の登録台数が少ないため、中古車市場の人気がとても高い。3年後なら新車価格の約60%で売却できます。この手のクルマは全般的に資産価値が高く、それはGT‐Rにも当てはまります。

ーーちなみに、世界的に脱・ガソリン車の流れがフル加速しています。これからGT‐Rはどうなるんスか? 

渡辺 同じ日産でもフェアレディZは北米を中心にスポーツカーのブランドとして確立されているので、電動化時代にも生き残る可能性は高い。しかし、GT‐Rの生き残りは正直厳しい状況だと思います。もし新車でGT‐Rを購入したい人がいるなら、まさに今がラストチャンスかもしれませんよ!

渡辺陽一郎 Yoichiro WATANABE
カーライフジャーナリスト。1989年に自動車購入ガイド誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長に。1997年に同社取締役を兼任。その後、フリーランスに。著書に『運転事故の定石』(講談社)など。日本&世界カー・オブ・ザ・イヤー選考委員