ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

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緊急事態宣言が明けて基本どこでも酒が飲めるようになり、あらためてその幸せを噛み締める日々。久々に訪れたい大好きな店はたくさんあって、体がいくつあっても足りないほどだ。

しかしまぁ、焦ってもしかたないしとマイペースに、行けるタイミングで行ける店に顔を出している。そこで交わす「お久しぶりですね!」「元気でしたか?」なんていうごく普通の挨拶が、たまらなく嬉しい。

先日も、新宿に用事があったついでに、僕がこの世でいちばん好きなタイ料理屋「モモタイ」へ寄ることができた。

ここはなんと、朝の5時から夜まで通し営業をしているので、いつなんどきであろうと酒が飲め、しかも料理がめちゃくちゃうまいし安いという、かなりとんでもない店。14時くらいに着くと、以前の何倍ものスタッフさんたちが集まって大忙しの様子だ。

店主の桃子さんと久々の世間話をさせてもらうと、コロナの影響でお弁当需要がどんどん伸び、専門のスタッフが各地へ配達や移動販売に行って、その売り上げの集計をしつつ、みんなでまかないを食べるのがこのくらいの時間なのだとか。おかげで店のほうにまで手が回らないほどの日もあるらしく、大変そうだけどひとまず、忙しいのは何よりか。

隙を見て、まずはいつもの「パクチーレモンサワー」(350円)×2のダブルサイズを注文。

生パクチーがのったレモンサワーをひと口飲むと、モモタイにいる実感が湧いてくる 生パクチーがのったレモンサワーをひと口飲むと、モモタイにいる実感が湧いてくる
ランチメニューや単品のごはん、麺料理もあるけれど、僕が開くのは決まって「逸品料理」のページ。

こんな気軽なタイ料理屋が他にあるだろうか!? こんな気軽なタイ料理屋が他にあるだろうか!?
僕は常々、大好きだけど調子にのって飲み食いするとどうしても高くついてしまうイメージのある、沖縄料理やタイ料理の"サイゼリヤ版"みたいな飲食店があったらいいな、と思っていた。ここは、まさにそんな店と言えるだろうか。

で、けっきょく毎回、同じものを頼んじゃう。

「トムヤムクンスープ」(290円) 「トムヤムクンスープ」(290円)
どんぶりではなく、大きめのお椀くらいのサイズなのがちょうど良く、そしてこのリーズナブルさ!

モモタイの料理は、本場の味をそのまま再現するというより、そこに桃子さん好みのアレンジがなされているのが特徴で、このトムヤムクンならば、酸味は抑えめにして、そのぶん甘みとクリーミーさが引き立つような仕上がりになっている。「日本人向けにマイルドに」というのとも違う、強いて言えば"モモタイ料理"。これがたまらないんだよな。

「ミニカオマンガイ」(390円) 「ミニカオマンガイ」(390円)
で、個人的に絶対外せないのがカオマンガイ。信じられないくらいふわっふわ、ぷりっぷりの肉厚な鶏肉が、その旨味を吸ったごはんを覆い隠すようにたっぷりとのる。そこに特製の、ニンニクやねぎの風味が効いた醤油ダレ。ひと息にほおばれば、至福という以外に言葉が見つからない。

また、これをミニサイズで頼めるのが酒飲みとしては嬉しすぎるし、となればこんな荒技だって可能。たとえば、これまた僕の大好物、鶏肉のレッドカレー煮込み「パネンガイ」を追加注文するでしょう?

「パネンガイ」(390円) 「パネンガイ」(390円)
で、こっちにはついていないけど、レッドカレーベースなんだからごはんにも合うに決まってる。そこで、カオマンガイの器から少々拝借し、パネンガイの海へドボン!

禁断の合わせ技! 禁断の合わせ技!
これがまたもう! うますぎるんだよな! いちいちここの料理は!

ところで、以前からモモタイに来るたびつい注文してしまっていたこの「マイ定番3品セット」。久々に食べたらあまりにも満腹になりすぎ、食後しばらくその場から動けないほどだった。あの〜桃子さん、値段変わってないのに、料理の盛りが前よりも良くなってませんかね?

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