ガマルジョバ! 旅をおあずけされた旅人マリーシャです。わん。
今回の「旅人でも簡単に作れるおうちで世界飯」第24回は、ジョージア(旧グルジア)の郷土料理「シュクメルリ」に挑戦!
東ヨーロッパにも西アジアにも属すコーカサス3ヵ国のひとつジョージア。ここへ行く旅人は必ず知っているであろう料理シュクメルリは、鶏肉をガーリックソースで煮込んだ伝統的なジョージア料理。
メインとなる食材は丸ごとチキンとニンニクで、一言で言うならば鶏肉のアヒージョといった感じでしょうか。
そのスープのインパクトがヤバいと旅人の間では有名で、わかりやすく説明すると二郎系ラーメンのスープのようなニンニクの海!? オイリーな透明タイプのものと、クリームや牛乳が加えられた乳濁タイプが存在しますが、そこにジョージアのパン「プリ」を浸しながら食べるのが現地流なのだとか。
また最近では日本でもシュクメルリの知名度が上がってきましたが、そのきっかけとなったのは2019年12月に松屋が販売した「松屋世界紀行」の「シュクメルリ鍋定食」。
具材にさつまいもを入れたりシュレッドチーズをかけたり米とともに提供するなど、松屋オリジナルアレンジをしたことで特殊形態となったシュクメルリですが、そのリッチなテイストが日本人の口にもウケて大バズりしました。
松屋公式レシピでは「ホワイトシチューの素」も使っていて、その影響からか"松屋インスパイヤ"なるシュクメルリが続々登場。
レトルト食品でははっきりと「シチュー」と表記されているものもあり、シュクメルリをホワイトシチューだと認識(誤認?)している人々増加。
その後もさつまいもはもはやデフォルトで、カップ麺やパスタと形態を変えたものが出現します。海外で見る日本のSUSHIのような展開と同様? それはそれで美味しく新しい食文化として面白いのかもしれません。
ちなみに2018年に私はジョージアで、オレンジワインをがぶ飲みしながらいつもシュクメルリを意識していました。
しかし現地のものの多くは丸鶏で提供されるため、とにかく量が多い。結局一人旅の私には縁がなく、いつか絶対に食べたいとずっとずっと心に留めておりました。
そして時代はコロナ禍。ジョージアへの再訪は容易ではなく、そうこうするうちに私はいつのまにか"世界料理研究家"に成長していったではないか(そうなの!?)。
「ならば、もう自分で作ってしまおうよ」というわけで、今回はジョージアに詳しい旅友の力を借りよう! 以前このコラムでコロナ禍のジョージアについて取材させてもらったシャンディの情報をもとに、より本場に近いシュクメルリを自分で作っちゃうことにしました!
シャンディによると、大衆レストランで提供されるベーシックなシュクメルリはニンニクが目視できるレベルで入っており、アヒージョに近いタイプ。ジョージア伝統料理のレシピ本にもこのタイプが載っているそう。
また日本人にウケが良いのは少し乳濁色なシュクメルリで、クリームや牛乳が使われているもの。チーズ入りは現地ではあまり見ないようですが、高級レストランではオシャレにガーリックスープがカプチーノ仕立てになっていたりするとか。
さて、元祖は牛乳すらも使わないようですが、日本人好みなので今回は使うことにして、現地の第2形態くらいのシュクメルリを作りたいと思います。丸鶏は使わずに食べ切れるサイズの鶏モモを使って、ほっこりウィンターを迎えましょう! それではレッツクック!
<材料> 2人分
・鶏肉...300g
・ニンニク...3片
・バター...20g
・牛乳...200g
・塩胡椒...肉の下味用
*以下は省略可能
・コリアンダーパウダー...小さじ1
・フェネグリークパウダー...小さじ1
・パプリカパウダー...小さじ1
・コリアンダー...数本
<ワンポイントメモ>
・スパイスは省略可ですが、あると異国の風味が楽しめます。
・トッピングにパプリカパウダーとコリアンダーを乗せると映えます。
<下準備>
・ニンニクはすりおろすかみじん切りにしておく。
・鶏肉は一口大に切り塩胡椒を揉み込んでおく。
<調理>
1.スキレット(フライパンや鍋でも可)にバターを溶かし、鶏肉を皮目から入れて両面を約7分ずつ中弱火で焼く。
2.鶏肉を取り出し、残った油でニンニクとコリアンダーパウダー、フェネグリークパウダーを炒める。
3.ニンニクが色づいてきたら牛乳を加えてスープを煮たたせる。
4.鶏肉を戻し5分程度煮込んだらできあがり。トッピングして盛り付けましょう!
★YouTubeで実際の料理シーンも見てみてね!
<実食>
ニンニクパンチは以前もバクテーで経験しましたが、今回もまた部屋中にニンニク臭が充満しております。
なみなみのスープをこぼさないようにテーブルへ運び着席。いざニンニクの海から鶏肉ちゃんを救い出すと、プルプルと震えキラキラと輝いています。
お口に入れると皮目はしっかり焼いたので香ばしく、柔らかく煮込まれた鶏肉からジュワ~っとニンニクスープがあふれ出します。
「これか! 美味しいに決まってる!」
シュクメルリの前評判は旅人の間でもとてもよく、このたっぷりのニンニクがその結果を生んでいるんだと思います。
今回はベーシックなものに牛乳を入れたシュクメルリでしたが、シンプルなだけにアレンジを加えていく楽しみが無限。味付けも実は素朴なので、私は塩とレッドペッパーを追加したらだいぶお酒に合う味に近づきました。
「この後しばらくは誰とも会えないな......」
そんなことも気にならないくらい、満足なお味。それが遠いジョージアという国からやってきたシュクメルリという料理でした。
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。Twitter【marysha98】 Instagram【marysha9898】 YouTube【https://www.youtube.com/channel/UCe2ihHJ1MXHEZgpdmglzWew】