30代、40代、50代......。少しずつたるみ、衰えていく体に戦々恐々とする日々。そんな後ろ向きな毎日を打破するべく、日本一美しく、ちょっぴりSな現役薬剤師・福井セリナが、あなたの体のお悩みを解決します! 第2回のお悩みは「二日酔い」について。

【今週のお悩み】現在44歳ですが、前日に飲んだお酒が翌日に残るようになってきています。今までと同じように飲んでいても次の日気分が悪く、夕方まで食欲もわきません。以前と比べてお酒の量が増えたわけでもないのですが、年々お酒が弱くなってきている気が......。どうすればいいでしょうか?(44歳・会社員)

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年を重ねてお酒が残るようになったというのは、これは仕方のないことで、結論から言うとどうしようもありません。

お酒の代謝、つまりアルコールを分解して排出するという機能は、ほぼ肝臓が一手にうけ負っています(小腸とかでも、ちょっと代謝されたりもしますが)。肝機能って、30代がピークなんですよ。30代を境に肝機能は右肩下がりに下がります。そうなると、再び元に戻ることはない。つまり30代以降は、お酒が強くなるということはないってことです。

しかし、年齢とともに肝機能が下がっていくのは誰にでも起こることなので、ナーバスになる必要はありません。お酒を飲めるキャパが減ったのだから、飲む量を減らせばいいよってことです、元も子もない話ですけど(笑)。40代になっても昔と同じ量を飲んでいたら、二日酔いになるのは当然です。「ついにその時が来たか」とあきらめて、潔くお酒の量を減らすとか、そういうチェンジを考えた方がいいでしょう。

それでもお酒の量を減らさないでいると、肝臓を傷めつけることになります。肝臓を過剰に働かせキャパ以上の重労働をさせるわけですから、肝臓にダメージがたまり、アルコール性肝炎や脂肪肝、肝硬変などにつながる可能性が高まってきます。

それでも好きなお酒はやめられない、そういう人への二日酔いの対処法としては、お酒と同じ量の水を飲むことです。これ、すごく基本的なことなんですが、誰もやらないですよね(笑)。居酒屋で気をきかせて「お水人数分ください!」とか頼んでもウザがられたりしますから(笑)。ただ知っておいてほしいのが、お酒を代謝するために肝臓ではかなり大量の水分が使われているということです。飲みすぎた翌日、肌がカサカサだった経験はありませんか? それは脱水のせいです。

アルコールを分解するために、肝臓は必死になって体中から水分をかき集めます。だから、お酒を飲むと脱水が起こりやすくなります。熱中症を例に考えてもらうとわかりますけど、脱水って死につながる可能性があり、とても危険です。基本的には体に十分な水分さえあれば、二日酔いにはなりにくいはずです。もちろん元来お酒が弱い人もいるので、個人差はありますけど。

水分のほかに食べ物でいうと、ビタミンB1、B3が含まれているナッツ類、枝豆、カツオ、マグロ、バナナ。こういうものをおつまみにするのも代謝のためにいいかもしれません。

あと、日常的にお酒を飲む方、休肝日はとても大事です。肝臓だけじゃなくて、臓器全体を休ませる「休臓日」を作ってあげましょう。ご飯を食べたり筋トレをしても、そのために肝臓は働きます。なので、ご飯の食べ過ぎも控えて体を休めてあげると、肝臓への負担が減っていいと思います。

肝臓は、トレーニングで機能が元に戻る、なんてことはありません。だからこそ、痛めつけないが「勝ち」です。無茶をしないこと、自分のキャパを超えない飲みかたを心がけるようにしましょう。

今週の格言:肝臓への無自覚なパワハラは厳禁♡

■福井セリナ(ふくい・せりな)
1994年5月23日生まれ、新潟県出身。
慶応大学薬学部を卒業。
現在は都内某所の薬局で現役の薬剤師として勤務中


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