「フォー・ボー」を前に思わず口元が「フォー!」となる

今回の「旅人でも簡単に作れるおうちで世界飯」第26回は、ベトナム料理「フォー・ボー」を作ります!

フォーはご存知の通りベトナムの国民食。牛肉の「フォー・ボー」と鶏肉の「フォー・ガー」が代表的で、牛や鶏のだしをベースにしたクリアなスープに米麺(フォー)を入れ、肉やもやし、ねぎや香草類を乗せたもの。

ニュクマム(ベトナムの魚醤)で味付け、ライムや生唐辛子などを加えていただきます。

ホーチミンで食べた、牛だしスープと牛肉の「フォー・ボー」

香草を盛り盛りに盛る!(2014年ベトナムの旅より)

フォーは基本的に専門店がある。蕎麦屋やラーメン屋みたいな感じ?

フォーの元祖であり主流のスタイルは、牛骨スープに火を通した牛肉を入れたフォー・ボー。北部のハノイ発祥と言われシンプルな盛り付けが一般的。

地域やお店によってもスタイルは異なり、生肉や半生肉など火の通し方が違ったり、部位もスネやバラのほか肉団子も存在します。

トッピングもねぎにライムと生唐辛子だけのシンプルなものから、南部ではひしおやチリソース、別盛りで香草が付いてきたり、スープの味付けにも違いがあるようです。

街にはフォーの専門店が多数あり、朝食を中心によく食べられています。確かにあっさりとしたスープと柔らかい米麺や香菜類の滋味は朝の胃腸にピッタリ。

「二日酔いの体にも良さそう......!」

ああ、私の喜びポイントったら。とにかく体に良さそうなイメージのフォーですが、そういえば私がベトナムに行ったのは南米旅から一時帰国した後。

ワイルドな旅のストレスからか帯状疱疹になった私の体を、フォーが癒してくれました。おかげでベトナムでは、世界旅の第2章、アジア旅のスタート地として元気に過ごすことができました。

「ああ、あの優しいフォーが恋しい!」

ホーチミンのマーケットで見つけたフォーの店

鶏だしスープと鶏肉の「フォー・ガー」

もちろんお土産屋でもフォー推しです!

さて、それではさっそく作ってまいりたいと思いますが、スープのベースは顆粒だし(ダシダ、ガラスープ)を使うとお手軽です。ダシダは韓国料理で使われる牛肉だしの粉末調味料のこと。本格的なだしが取りたいという人は前回の「オックステールスープ」を参考にしてみてね。

香菜は残念ながら本場と同じもの(ベトナムバジル、ノコギリコリアンダーなど)を揃えるのは難しいので、手に入るもので代用します! ホーチミンで食べた時はテーブルに出された驚くほ山盛りの葉っぱを見て「草だなぁ(笑)」って思ったけど、今思えば貴重だったかも!

それではレッツクック!

お手軽にスープのベースを作れる顆粒だし(ダシダ、ガラスープ)

もはやフォースープの顆粒も売っている時代


材料:フォー、牛肉、もやし、香菜類、水、ダシダ、ニュクマム、きび糖、塩胡椒、ライム、生唐辛子、チリソース、ニンニクチップ

<材料> 1人分

 ・フォー...70g

 ・牛肉(薄切り、こま切れなど)...70g

 ・もやし...ひとつかみ

 ・青ねぎ、香菜類(パクチー、ミント)など...お好みで

*スープ

 ・水...400ml

 ・ダシダ(ガラスープでもOK)...小さじ2

 ・ニュクマム(ナンプラーでもOK)...小さじ2

 ・きび糖(砂糖でもOK)...小さじ1/2

 ・塩胡椒...適量

*添え物

 ・ライム、生唐辛子、チリソース、ニンニクチップなど


<ワンポイントメモ>

・ベトナムではもやしが生のこともありますが、基本的には加熱をおすすめします

<調理>

1.鍋に水400mlとダシダを入れて沸かす

2.牛肉をサッと茹でザルにあげ、鍋のアクは取り除く

3.ニュクマム、きび糖、塩胡椒を入れて味を調える(ニュクマムは食べる時に手元で入れてもOKです)

4.別鍋に湯を沸かしフォーを茹で(時間はパッケージを参照)、最後の30秒程もやしも一緒に茹で、ザルで湯切りする

5.器にフォー、もやし、牛肉を入れ、スープを注ぐ

6.適当なサイズにカットした青ねぎや香草類を乗せ、ライムや生唐辛子を添える

★YouTubeで実際の料理シーンも見てみてね!

<実食>

顆粒だしのおかげもあってか、まるでラーメンを作るかのごとく簡単にできました。

さっそくスープをすすると、牛肉の旨味とコクでほんのり甘め。ニュクマム効果で脳裏にはホーチミンの景色が浮かんできます。そして平たい米麺は柔らかくツルッと喉ごしが良い。シャキシャキのもやしや香菜類と絡めて食べると食感最高です。鼻を通る独特な香りもたまらない!

ライムは重要。たっぷり絞るとスープにフレッシュな酸味が加わって、アジア料理の味を際立たせます。辛いのが好きな人はここにチリソースや生唐辛子を入れるとさらに味にパンチが出ます。最高。カリカリのニンニクチップも入れちゃえ。

スープを本格的に作るには牛骨からだしを取るのもそうですが、さらに八角、シナモンスティック、クローブ、カルダモンなどのスパイス類を軽く炒ってスープと煮込み、アロマを出す方法も。奥深きスパイスの世界。異国の香りに誘われることでしょう。

食べ方としては、日本人たるもの蕎麦のように思いっきりすすりたいところですが、ベトナムでは麺はすすらずにレンゲとお箸を使って食べるそう。現地で食べる時にはその地でのマナーに気をつけたいところです。

麺はすすらないように、レンゲに取りながら食べます

最後にちょっと小話。

お手軽にも作れるフォーですが、ベトナムでは意外と家庭料理よりも外食の定番として親しまれており、「フォーを食べる」が「不倫をする」の隠語になっているとかいないとか?

日本には「毎日カレーじゃ飽きるでしょ? たまにはハンバーグ食べたいじゃない?」などという浮気の言い訳がありますが、同様に「ご飯は飽きたからフォーが食べたい」という表現があるそうです。

誉められた話ではないですが、世界共通の人間の感覚にはなんだか感心してしまいました。

フォーを食べてすっかり元気!? ホーチミンの街中でエクササイズに乱入!(2014年ベトナムの旅より)

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。Twitter【marysha98】 Instagram【marysha9898】 YouTube【https://www.youtube.com/channel/UCe2ihHJ1MXHEZgpdmglzWew

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