独創的な料理を続々と開発している野島慎一郎氏
『週刊プレイボーイ』で「激ウマ!! バカレシピ研究所」を連載中のB級フード研究家・野島慎一郎(のじま・しんいちろう)さん。
今回の"バカレシピ"は、「こだわり酒場のレモンサワーの素」を薄めずに強炭酸化させたレモンサワー「超特濃! 激烈レモンサワー」!
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【今回の食材】
・こだわり酒場のレモンサワーの素 濃いめ 150cc ・食用クエン酸 小さじ2 ・食用重曹 小さじ2
野島 助手くんはお酒を飲まないからわからないと思いますけど、サントリーから「こだわり酒場のレモンサワーの素」の"濃いめ"って優秀なものが出てまして。レモンのガツンとくる酸味が激ウマなんですよ。
助手 レモンサワー好きって、とにかく酸味と炭酸の刺激を重視しますよね。
野島 そのとおりです。結局これは炭酸水で4倍程度に薄めて飲むんですけど、薄めなければさらに実質4倍濃いレモンサワーを作れるはず!
助手 そりゃ濃いだろうけど、無炭酸では、もはやレモンサワーと呼べないだろ!
野島 原液をそのまま炭酸水にしてしまえばいいんですよ。
助手 あっ! 大ヒット中のアイテム、炭酸水メーカーを使うってことッスか!?
野島 それでも問題なく炭酸化できるはず。しかしわれわれにはそんな予算はない! そこで使うのがクエン酸と重曹です。昔、理科の授業でクエン酸と重曹と水でサイダーを作る実験をしたのですが、その水をレモンサワーの素に置き換えれば原液を炭酸化できるんじゃないかと。
助手 当時の先生も教えたことが酒飲みのテクニックになるとは思ってもみなかったろうな。今回は大人の自由研究だ!
(1)粉末! 水気をよく拭き取ったグラスにクエン酸と重曹を1:1の比率で入れる。量が多いほど炭酸が強くなるので、お好みで調整しよう。クエン酸と重曹は食用のものを使用すること
(2)注ぐ! レモンサワーの素を(1)に注ぐ。レモンサワーの素はあらかじめ冷蔵庫でしっかりと冷やしておくこと。味の濃さや炭酸の強さは後から調節可能。飲みたい分だけ注ごう
野島 まあ小学校の授業でやるくらいなんで作るのは簡単。クエン酸と重曹を1:1の比率で混ぜ、そこに冷やしておいたレモンサワーの素を注ぐだけ。おおっ、すごい勢いでシュワシュワしてるじゃないか!
助手 水以外でも炭酸化できるんスね! 実験大成功じゃん!
(3)混ぜる! (2)に氷を入れたらよくかき混ぜれば完成。混ぜすぎると炭酸が弱くなるため、なるべく手早くかき混ぜること。もし炭酸が弱くなった場合は追加でクエン酸と重曹を入れてもOK
(4)完成!「超特濃! 激烈レモンサワー」
野島 早速氷を入れて飲んでみますよ。クゥッー!! こりゃヤバい!! ガッツリと炭酸化してるし、こんな味が濃くてガツンとくるレモンサワーなんて飲んだことないぞ! そしてアルコールの濃さも悪魔的......!!
助手 アンタ、これアルコール度数25度じゃん!
(5)飲む! あとは飲むだけ。未体験の酸味の濃さと、炭酸なのに強烈なアルコールを体験できるが、普通の感覚だとさすがに濃すぎる(笑)。炭酸水でお好みの濃さに薄めて飲むのが正解だ
野島 この強刺激をチビチビと飲むのが、またいいんですよ。"次世代ストロング系"を発明した自分に酔いしれるほどです。まあこれを炭酸水で割るのもアリ。2倍に薄めても通常の倍は濃くなるわけだし。あと、クエン酸を使った炭酸は当然酸味が強いんだけど、レモンサワーならそれもプラスに作用するのが完璧でした!
助手 いいなあ、僕も何か炭酸化させて飲んでみたいッス!
野島 ウヘヘへーッ。じゃあ、そこにあるどん兵衛きつねうどんでも炭酸化させてみるか!
助手 酸味のある炭酸がどん兵衛に合うわけないだろ!
●野島慎一郎(のじま・しんいちろう)
ライター、マンガ家、B級フード研究家。独創的な料理を続々と開発している。著書『世界一美味しい「どん二郎」の作り方』(宝島社)。YouTube『のじまちゃんねる』