東京・秋葉原にある「青島食堂」は生姜醤油ラーメンの人気店。看板には「新潟・東京」の文字が

宮崎市が初の"餃子日本一"(購入額)になったかと思えば、今度は新潟市が初の"ラーメン日本一"(外食費)に輝いた。

総務省の家計調査によると「2021年の1世帯当たりの中華そばにかけた外食費」は、新潟市が1位で1万3734円。それまで8年連続1位だった山形市(1万3434円、2位)を300円という僅差で逆転した。

ラーメンといえば札幌(味噌)や福岡(博多ラーメン)などが有名だが、なぜ新潟や山形が日本一を争っているのか。フードジャーナリストの、はんつ遠藤氏に聞いた。

「山形も新潟も、ラーメン文化が盛り上がっている県として有名です。山形市には約1970の飲食店があって、そのうち約250店(約13%)がラーメン店。新潟市は約4600のうち約470店(約10%)がラーメン店。

両市とも、ラーメン店の割合は札幌市の約7%(約1万3700店のうち約900店)、福岡市の約5%(約1万3800店のうち約750店)の2倍もあるわけです(※店舗数は『食べログ』による)。それくらいラーメン好きが多い地域なんです」

では今回、新潟市が山形市を超えた理由は?

「300円という微妙な差ですから、山形市民ひとり当たりあと一軒ラーメン店に行っていたら1位を奪われなかったはずで、それくらい拮抗(きっこう)しています。ただ、新潟県は最近、ご当地ラーメンの盛り上がりがすごく、『5大ラーメン』というのが有名です。

ひとつ目は『新潟あっさり醤油ラーメン』。その名のとおりあっさりしたラーメンです。ふたつ目は、ラーメンと一緒に割り出汁(だし)がついてくる『新潟濃厚味噌ラーメン』。これは『あまりにもスープが濃いので、濃いと感じた人は、この出汁で割ってください』という理由でついてくるんです。

3つ目が『燕三条背脂ラーメン』。醤油ラーメンに背脂がたくさん入っている上、太麺でとても腹持ちがいいです。4つ目が『長岡生姜醤油ラーメン』。スープに生姜が溶け込んでいて、口に入れると爽やかな香りが広がります。5つ目が『三条カレーラーメン』。これはカレーうどんのラーメン版といった感じです」

さらに、この「新潟5大ラーメン」を猛追する個性派ラーメンもあるとか。

「豚汁に中華麺が入っているイメージの『上越とん汁ラーメン』や、新潟が発祥の地といわれている『麻婆麺』。さらに、鶏の唐揚げが入っている『五泉唐揚げラーメン』なども5大ラーメンを追い上げる勢いです」

じゃあ、もうすぐ「新潟8大ラーメン」に?

「新潟は1位をキープするために頑張るでしょうから、『10大ラーメン』を目指すかもしれません。新潟としては、県内でさまざまなご当地ラーメンを充実させる一方、全国的には生姜醤油ラーメンを普及させる作戦で、東京にも店が増えてきています。もしかすると、今年は全国的に新潟生姜醤油ラーメンのブームが来るかもしれません。ラーメン日本一を守るために、新潟はそれくらい気合いが入っていると思います」

ブランドの札幌や福岡、実績の山形を差し置いて、これからは"ラーメンといえば新潟"という時代になるかも?