ゴルフの祭典で振る舞われたことでニュースとなった宮崎牛。世界の舞台に立った、その和牛のすばらしさをプロに語ってもらった!
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■日本最高峰!あのブランド牛が宮崎産なんてことも
ゴルフの祭典「マスターズ」歴代優勝者の集まるチャンピオンズディナーで、松山英樹選手が〝宮崎牛〟を振る舞ったことが話題に。気になるのは、あえて宮崎牛が選ばれた理由。何がそんなにスゴい? ほかのブランド牛との違いは? 詳しく聞いてみた。
まず、宮崎牛の細かい定義を教えてくれたのは、宮崎牛などの加工・販売・外食事業を行なう、ミヤチクの広報担当・川口次郎氏。
「簡単に言えば、宮崎生まれ宮崎育ちで、父親も主に宮崎産。肉質等級が4等級以上の黒毛和種が宮崎牛となります。これらの基準をすべてクリアできなければ、宮崎生まれ宮崎育ちでも宮崎県産和牛という扱いになり、〝宮崎牛〟ブランドは名乗れません。
ちなみにほかのブランド牛は、一番長くその地域で肥育されていれば、そのブランドを名乗ってもOKという場合もあり、元をたどれば、宮崎で生まれた牛を使用していることもあるんです。それだけ、宮崎の牛は質がいいと言われています」
全国トップクラスの肉質を誇る宮崎牛。気になる味は?
「キメ細かな霜降りが特徴。特に味わってほしいのは脂身です。さっぱりしていてしつこさを感じず、凝縮されたうまみが口の中でとろけます」
そんな宮崎牛のおいしさの秘密は肥育環境にあるようだ。
「改良を重ねたこだわりのエサを与え、体はマッサージをして血行を良くさせるなどして、健康で質の高い脂身を持つ牛を育てています。また、快適な肥育環境で伸びやかに育て、リラックスのために音楽を聴かせることもあります」
■アカデミー賞にも採用。世界から愛されるワケ
実は、世界の大舞台に宮崎牛が立つのは初めてではなかったことも判明。
「米アカデミー賞のアフターパーティのメニューには、2018年から3年連続で宮崎牛が採用されています。
また、松山選手と同じマスターズチャンピオンのブルックス・ケプカ選手(アメリカ)に宮崎牛を気に入っていただき、2019年のチャンピオンズディナーに選んでいただいたこともあるんです」
世界から愛される理由について、川口氏は次のように推測する。
「海外の方は基本的に赤身志向で、脂身を避ける方もいらっしゃいますが、先ほども述べたとおり、宮崎牛の脂身はくどくなくて驚くほど食べやすい。そこが支持される理由なのではと思っています」
そのほか、県民愛も深く関わっているようで。
「米アカデミー賞のアフターパーティは宮崎出身の女性監督が宮崎牛を推薦してくれたと聞いています。東京、大阪などの県人会も協力的で、いろいろな会合で宮崎牛を推してくれている。地元を愛し、盛り上げていきたいという思いの強さが、全国ひいては全世界に宮崎牛を広めているのではないかと思われます」
そこまで言われると、実際においしい宮崎牛を食べてみたい! というわけで、年間250食焼き肉を食べる、和牛に人生をささげた肉バカ・小池克臣氏に宮崎牛を出すオススメの店を聞いてみた。
「『銀座みやちく』は、宮崎牛の中でも最高峰のものを楽しめる高級レストラン。鉄板焼きで食べるロースとヒレがおいしく、どちらも通常ランクのもの以外に特選、超特選ランクがあります。
お財布に余裕がある場合は超特選のヒレが最高にオススメですが、通常のロースでも十分に満足できる味。脂の甘みを存分に堪能できます」
自宅で宮崎牛を購入した際のオススメの食べ方は?
「宮崎にあるミヤチクの直売所などでしか手に入らないのですが、『特製万能だれ』は宮崎牛とよく合います。甘くて味が濃いタレだと素材の良さを味わえない。
そこで、あごだしで有名な久原(くばら)醤油とタッグを組み、さっぱりしたタレを開発しました。『あっさりしすぎではないか』という意見もありましたが、県外からの観光客、特に関東にお住まいの方からは『お肉の味が生きておいしい』と高い評価を得ています。宮崎にお越しの際はぜひお土産にどうぞ」(川口氏)
日本が世界に誇る牛肉。たまには奮発して味わってみよう。