今年の「スター・ウォーズの日」にて。帝国軍に殺されたオーウェンおじさんについて、もっと熱弁するべきでした
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、『スター・ウォーズ』シリーズの外伝『オビ=ワン・ケノービ』について語る。

※この記事は、5月23日発売の『週刊プレイボーイ23号』に掲載されたものです

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ディズニー傘下に入って以来、次々と新作がリリースされている『スター・ウォーズ』シリーズ。厳しい目で見ているファンも多いですが、私は快くこの大量リリースにカモられています。

『ボバ・フェット』に続き、人気キャラクターのオビ=ワンが主役の外伝シリーズ『オビ=ワン・ケノービ』が、5月27日から配信されます。まだ公開前なのをいいことに、無責任に期待や予想を語らせてください。

今回のシリーズは、ダース・ベイダー誕生を描いたプリクエル3部作の10年後、すなわちオリジナル3部作の9年前の物語。ジェダイが捕らわれの身となったこの時代に、オビ=ワンはどんな生活をしていたのかが初めて描かれます。

ほかに生き延びた正義のジェダイはいたのか? ヨーダが生きているのに気づいていたのか? ジェダイ狩り(実写では初登場となる帝国の尋問官ことインクイジター)がいるのに、なぜオビ=ワンはあの「俺、ジェダイです!」という服装をやめなかったのか?(笑)。なぜルークの名字を父と同じ「スカイウォーカー」のままにしたのか?

私のようなファンのこのイチャモンに公式見解が出たら面白いな、と期待しています(オビ=ワン老けすぎ問題も気になりますが、惑星タトゥイーンの砂漠の乾燥は肌に最悪ということにします)。

まじめな話をすると、ダークサイドに落ちたアナキンの師匠であったオビ=ワンが後悔や罪悪感とどう向き合うのか、ダース・ベイダー誕生に対する責任をどうとらえているのかが見どころのひとつかもしれません。予告では、「ルークは修行するべき」と発言したオビ=ワンに対して、ルークの育ての親のオーウェンおじさんが「あんたがアナキンと修行したようにか?」とグサっと厳しい言葉を投げかけています。

今回、私はこのオーウェンおじさんにかなり注目しています。オリジナル3部作では、冒険したがっているルークを縛りつける頑固な存在。保守的で、わからず屋な彼のファンはあまりいません。

しかし、よく考えたら、オーウェンは銀河の希望の育ての親。ルークを無事守り抜き、スター・ウォーズ物語で大事な役割を担った彼はもっと評価されるべき! このシリーズを通して、オーウェンおじさんのカッコいい姿を期待しています。タイ・ファイターを撃ち落とすオーウェンとか、ルークと笑い合い、愛情を注ぐオーウェンとか。

オビ=ワンシリーズが秘めている大きな可能性のひとつは、エピソード4のとらえ方を変える力があること。ルークの家族としてのオーウェン夫妻を描くことで、ふたりの遺体に対面するエピソード4のルークの悲しみがさらに悲劇的に見えるはずです。その後出会う仲間との絆ももっと尊く感じる。よく知った物語に新たな側面や奥深さが見えるなんて、すごい機会です。

ちびルークとちびレイアの生活の対比や、予告編でオビ=ワンが訪れている香港みたいな新しい惑星にも期待。プリクエルのキラキラつやつやしたビジュアルとオリジナル3部作の泥くさいビジュアルをつなぐものにもなりそうです。

でも、全部違うかも。その際は謝るヨーダ。

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。愛知県名古屋市出身、米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。オーウェンおじさん夫妻の焼死体フィギュアがいまさらながら欲しい
公式Instagram【@sayaichikawa.official】

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!