記者発表では、はるやま商事の中村宏明社長(左)とタニタの谷田千里社長(右)によるデモンストレーションが行なわれた

コロナでリモート仕事が増えたとはいえ、サラリーマンにとって欠かせないのがスーツやジャケット。新調するにしても、店舗でスタッフの人に採寸してもらって、ああでもない、こうでもないと試着して決めるのが面倒だなと感じるときもある。

そんな悩みを丸ごと解決する、画期的な新サービスを取材班が体験してみました!

■サイズの的中率は男女共に95%超え!

体重計や体組成計などのトップメーカーとして知られる「タニタ」と、ビジネスパーソン向けのスーツなどを主に販売する「はるやま商事」とのコラボによる新たなサービスが発表された。

なんでも、わざわざメジャーで採寸しなくても、体組成計に「乗るだけ」で自分にピッタリなスーツのサイズがわかるサービスだという。

スーツのサイズ選びといえば、店舗スタッフの人に首回りやお腹周りなどを測ってもらうのが当たり前と思っていたが、それが一切不要なら、自由に商品を選びやすくなるし、スタッフとの接触も減りコロナ対策にもなる。

このサービスは、タニタが開発した体組成計のデータから体形を推定する新技術「TANITA Body Shape Analyzer」と、はるやまの商品情報を組み合わせたもので、今後、はるやまの店舗に設置される(*4月28日から東京・吉祥寺[きちじょうじ]店と岡山大安寺[だいあんじ]店では試験運用をすでに開始)予定の体組成計に乗ることで利用できる。

使い方はいたって簡単。自分の年齢と身長を入力し測定を開始すれば、首回り、お腹周り、胸囲など、体形サイズの推定値が表示される。そして、メンズスーツなら40以上あるサイズ展開の中から、その人にオススメのサイズやシルエットのスーツを自動で提案してくれるというのだ。

左に設置されたタブレットとタニタの体組成計を組み合わせた機器を利用する今回のサービス。体組成計は新開発されたものではなく業務用として販売されている従来のモデル

新開発のアプリケーションが入ったタブレットで操作する。まず年齢と体重を入力してから、体組成計での測定を開始する

タブレットの操作を除けば、測定方法は体組成計とまったく変わらない。はだしで体組成計に乗り両手でグリップを握って計測

どうして、そんなことが可能なのか?

「新サービスの基礎を支えているのは、タニタが長年にわたって積み重ねてきた高精度な体組成測定の技術です。体に微弱な電流を流して、その電気抵抗を計測することで、体脂肪率や筋肉量を測定する生体電気インピーダンス法という技術が使われています」

と語るのは、開発を担当したタニタ開発部の若きエンジニア、和智湧斗(わち・ゆうと)さん(31歳)だ。

「私たちの体に含まれる脂肪や筋肉といった組織は、体の形状や大きさを決める重要な要素となります。タニタの体組成計から取得した精度の高い脂肪量や筋肉量のデータと、多くの人のさまざまな体形データの相関を基に、そこからウエストやヒップなど、全身の形状を推定する独自のアルゴリズムを開発しました。

その技術と、はるやまさんとの協業から得たスーツの採寸技術や商品のサイズ構成などの情報を結びつけることで、適切なサイズを選べる仕組みをアプリケーションとして新たに制作したのです」

タニタ開発部の和智湧斗さん。タニタが長年積み重ねてきた測定技術をベースに、全身の形状を推定する独自のアルゴリズムを開発

開発にあたり、通算で1000人弱の体形データを参考にしたという。3Dスキャンで体形を測定したり、実際にメジャーで首回り、お腹周り、胸囲、裄丈(ゆきたけ/首中心から袖口までの長さ)、ヒップなどを測ってデータを集めるなどの作業を地道に行ない、基礎研究から数えれば4年ほどの歳月がかかった。

「特にこの2年半は、コロナの影響で人を呼んで実際に採寸するのが大変で苦労しました」(和智さん)

ちなみに、開発テストの段階でのサイズ的中率は、男性用スーツで96.2%、女性用スーツでも95.2%と高い精度を実現したという。特に女性の場合は、同じ体重でもバストやヒップのサイズは個人差が比較的大きいため、精度を実現するのは男性以上に難しい挑戦だったそうだ。

■実寸値との誤差はほぼ1㎝以内!

と、難しい技術の話はここまでにして、百聞は一見に如しかず。

40代の中年としては、ごく普通のどこにでもいそうな体形(?)の編集・カワサキと、50代後半で超メタボ体形のライター・カワキタのふたりが、実際に体験させてもらうことにした。本当に体組成計に乗るだけで、われわれにピッタリなスーツは見つかるのか?

まずはカワサキからチャレンジ。タブレット上の画面表示に従い、年齢と身長を入力したら、靴下を脱いではだしで体組成計に乗り、両手でグリップを握ったら計測開始。

はだしで体組成計に乗って両手でグリップを握る編集・カワサキ

わずか10秒ほどで計測が終わり、モニターには体重、BMI、体脂肪率、筋肉量、基礎代謝量といった体組成データと共に、首回り、お腹周り、胸囲、裄丈、ヒップの5項目の体形データが表示された(後日メジャーでも測ってみたが、誤差はほぼ1㎝以内!)。

そして、スクリーン上の「スーツのサイズ」をタップすると体形に合ったジャケットとパンツのサイズが表示され、さらに「おすすめ商品」を押すと、該当サイズの中から具体的な商品の提案までしてくれる。

試しに自動選択された「AB8」サイズのジャケットを羽織ってみたら、おおおーっ、ジャストサイズ。着心地もバッチリです!

測定が完了すると、タブレットに体組成と体形の推定値が表示され、オススメのジャケットとパンツのサイズも提案してくれた

■通販での「サイズ違い」の失敗もなくなる?

続いて、スーパーメタボ体形のカワキタが挑戦! 体脂肪率「驚異の44%!」というのは今回あえて無視するとしても、お腹周り136.2㎝という計測データにどよめくタニタ/はるやまの共同記者発表会場(笑)。気がつけば、タニタの和智さんも、不安そうに後ろから覗(のぞ)き込んでいる......。

体脂肪率「驚異の44%」を叩き出したライター・カワキタ

その視線を背中に感じながら体組成の計測を終えて「スーツのサイズ」をタップすると、画面にはジャケット、パンツ共に「high」の表示が出た。んん!? コレってどういう意味ですか?

「あー、負けました。すいません。それ、high/exception(高/例外的)の意味です」(和智さん)

いやまあ、常識からはみ出しているのは私の体形なので、既製サイズのスーツがないのは当然です(涙)。はるやまのスタッフさんからは「オーダーならご注文いただけますよ」というお声がけをいただきました。

それにタニタと和智さんの名誉のために言っておくと、こちらも表示された推定値とメジャーで測った実寸値の誤差は裄丈(カワキタは腕が異常に長い)以外、すべて1㎝以下という驚きの精度はマジでスゴい!

残念ながら体形に合うサイズは表示されなかったが、体形データの推定値と実寸値の誤差は(裄丈以外は)1㎝以下。すごい精度だ!

現在、はるやまの2店舗で行なわれているこのサービスの試験運用は、今後、検証結果を経て導入店舗を拡大してゆく予定だ。採寸なしでも、手軽に体形に合ったスーツが選べる利便性だけでなく、同時に体組成データを健康管理にも生かしてもらいたいと考えているという。

今後、この技術を応用して自宅の体組成計でも体形やサイズを正確に計測できるようになれば、それを衣料品メーカーの商品サイズのデータと結びつけることで、ファッション通販で大きな課題となっている「サイズ違い」の失敗を減らし、自分にピッタリのサイズの服を通販で気軽に注文できる時代が来るかもしれない!

編集カワサキだけが提案されたオススメサイズのジャケットを着込み、体験取材を終えたふたり。タニタとはるやまの皆さん、ありがとうございました!