ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

* * *

コンビニのローソン限定商品で、主に酒飲みを中心に熱い支持を集める冷凍食品がある。それが、ナガラ食品の「ホルモン鍋」。アルミ鍋入りで、コンロにかけるだけですぐに食べられ、ぐつぐつと煮えだすとキッチンが下町大衆酒場の香りに包まれるやばい一品。これに豆腐やねぎを追加しつつ、キッチンでギンギンの缶チューハイをやるのがたまらない。

先日、ふらりとローソンに立ち寄ったところ、そんな信頼のナガラ食品監修の、同じく冷凍食品で「ホルモン炒飯」というブツを発見。へ~、一度食べてみよ、と購入し、仕事場の冷蔵庫にほうりこんでおいた。

後日、やたらと忙しい日があって、昼、え~と、なんか食うもんなかったっけ!? なんでもいいなんでもいい! と冷蔵庫を覗いてみたところ、そのホルモン炒飯を発見。ありがたいことだと過去の自分に感謝しつつ、袋を一部カットしてレンチンするだけでも食べられるらしいけど、あいにく仕事場に電子レンジがないので、少量の油とともにフライパンで炒めて昼食とすることにした。

ナガラ食品「ホルモン炒飯」(税込み300円) ナガラ食品「ホルモン炒飯」(税込み300円)

で、これを、そろそろあったまったかな? なんつって、フライパンからスプーンですくって味見した瞬間に衝撃が走る。ストレートに、あまりにもうますぎるのだ!

ほんのりとピリ辛ながら素直な醤油味のパラパラチャーハン。だからこそ、その米のひと粒ひと粒にいきわたった、嫌味はないけれど旨味たっぷりの牛ホルモンの味と香りがものすごく引き立っていて、僕が人生で食べてきたチャーハンのなかでも屈指と思える美味しさ。本気でびっくりしてしまった。

すると、こんなにうまいチャーハンをそのままあわててむさぼり食うのはナガラ食品に失礼だろうという気になってしまい、突発的に冷蔵庫に余っていた刻みねぎと生玉子を加える。

ねぎと玉子に裏切られたことはない ねぎと玉子に裏切られたことはない

結果、こりゃあもう、酒と合わないはずがないという凶悪な見た目のチャーハンが完成してしまった。必然、もうあとのことはどうだっていいや。こいつをおともに一杯くらい飲んだって、少し休憩を挟めばまぁ仕事はできるだろうという、若干の荒くれモードになり、タカラ焼酎ハイボールを1缶開ける。

お世話になった大切な人にふるまってあげたい1皿 お世話になった大切な人にふるまってあげたい1皿 偶然できたおこげ部分がまたうまい 偶然できたおこげ部分がまたうまい
勢いでグラスにも注がず、缶から直接ぐびぐびぐびと飲むチューハイと、牛脂の旨味がいきわたったねぎ増しチャーハンの組み合わせがうますぎる! はっきり言って、今週の「ハマりメシ」はこれで決まり! ってくらい、その日の自分の気分にバシッとハマった。なので、原稿の内容はもうこれでいいくらいなんだけど、同時に、ムクムクとひとつの欲望がふくらみはじめる。

これとホルモン鍋を合体させたら......さらにやばいんじゃね?

「ホルモン炒飯」と「ホルモン鍋」 「ホルモン炒飯」と「ホルモン鍋」

というわけで、もちろんやる。やるに決まってる。  

後日、ホルモン炒飯とホルモン鍋を買ってきた。このふたつがそれぞれ数百円で、しかもひとつの店で揃ってしまうローソンって、天才だな......。

さて、今日は仕事も終わらせた。あとはホル炒&ホル鍋晩酌タイムを、全身全霊で味わうばかり。まずはホルモン鍋から始めよう。

ホルモン鍋をコンロにかけて ホルモン鍋をコンロにかけて

熱伝導率の高さからか、冷凍状態からほんの2、3分でぐつぐつしだす鍋。そうしたら、ホルモンをなるべく片側に寄せる。空いたスペースに、僕はホル鍋に関しては、ホルモンはもちろんなんだけど「"追いねぎ"こそが醍醐味」と信じて疑わない者なので、刻みねぎをたっぷりと、それから、大好きな豆腐も投入。

ぐつぐつぐつ ぐつぐつぐつ

いざ、まずはホル鍋をつまみにスタート! 準備完了 準備完了

しゃきしゃきのホルモンと、甘い脂身。それをじゃましないように、比較的シンプルな醤油味に仕立てられたつゆ。その旨味を吸った豆腐とねぎ。あらためて、なんて過不足のない存在感なんだ、ホル鍋よ。

日本の絶景百選 日本の絶景百選
よ~く冷やしてグラスに注いだビールをおともに、しばしその相性に酔いしれる。で、さらに追いねぎなどもしつつ半分ほどを食べたら、ここで第二段階へ移行。

思わず食べきらないように注意 思わず食べきらないように注意

フライパンで、例のホルモンチャーハンを半人前ほど炒め、この鍋にどさっと加え、ホルモン炒飯とホルモン鍋が融合した「ホル炒鍋」にしてやろうというわけだ。

チャーハンを作り   チャーハンを作り  

鍋にどさっ 鍋にどさっ
いやはやこれが......。まずはシンプルにチャーハン部分だけを食べると、やっぱりうまい。完成されている。お昼ご飯はもう、2日に1回これでいい! んだけど、段階的に鍋のホルモンと混じり合ったゾーンに進んでゆくと、パラパラだったチャーハンにじゅわっとした鍋汁とホルモンの旨味が絡みだし、これはもう、ビールビール! ということになる。究極の、酒のつまみチャーハンだ。

瞬殺 瞬殺

本能のおもむくままに無我夢中で食べ終わってしまったけど、途中で玉子を加えるなどして、もっとちびちび、酒と一緒に味わえばよかったな。

まぁ、しばらくの間は、近所のローソンでは気軽に手に入るであろう組み合わせなので、また行ってストックしておこう。