30代、40代、50代......。少しずつたるみ、衰えていく体に戦々恐々とする日々。そんな後ろ向きな毎日を打破するべく、日本一美しく、ちょっぴりSな現役薬剤師・福井セリナが、あなたの体のお悩みを解決します! 第39回のお悩みは「痔」です。
【今週のお悩み】最近なんだかお尻がおかしいんです......。もしかしたら、痔かも? 市販薬で治せるんでしょうか?(会社員・38歳)
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お尻の悩み、なかなか人に相談しづらいですよね。私のSNSでも何人かの方から質問をいただいたので、人知れず悩んでいる方は少なくないのかなと思います。
痔のタイプは大きく3つに分けられます。
①いぼ痔...肛門の内側or外側にイボができた状態。外側にできると痛みがありますが、内側だと痛みはありません。ただ、内側にできたイボが外に出てくると痛みを伴うことも。
②切れ痔...肛門が切れて痛みや出血がある状態。排便時などに出血や痛みがある。慢性化すると肛門周囲の皮膚がただれることも。
③痔ろう...肛門の中と皮膚をつなぐトンネルができた状態。肛門の内側に膿(うみ)がたまり、それが慢性化したもの。
「市販薬でもいいのか?」とのことですが、痔ろうの場合は迷わず肛門科・肛門外科を受診をしてください。基本的に手術が必要になってきます。
ただ、いぼ痔や切れ痔は、早い段階なら市販薬でも治癒が見込めます。ここからは市販薬でも治せるいぼ痔・切れ痔に限定してお話していきますね。
まず、受診の目安としては......
いぼ痔...イボが大きくなり痛みが強くなってきたり、中にできたイボが外に出てきて戻らなくなってしまったとき。
切れ痔...市販薬を使っても出血や痛みが止まらなかったり、肛門まわりの皮膚がただれてしまったとき。出血は、大腸癌による下血や血便の可能性も。
お薬を紹介する前に、それぞれの原因を解説します。
いぼ痔...肛門にある静脈がうっ血して腫れることで起こる。長時間のデスクワークや運転など、お尻に負担のかかる生活をしているとなりやすい。また、食物繊維・水分不足などで便がカチカチに硬くなったり、辛いものばかり食べていたりすると排便時に肛門に負担がかかり、イボができやすくなる。
切れ痔...便秘がちで便が硬かったり、下痢が続いていると、排便時に肛門の出口付近に圧がかかり、切れやすくなる。排便時などに出血や痛みがある。だいたい1週間前後で自然治癒すると言われているが、慢性化すると皮膚がただれることも。
まず念頭に置いておいて欲しいのが、痔の治療は内服薬と外用剤の"ダブル攻め"をすること! 「まぁ、とりあえず......」と塗り薬を手に取りたくなると思いますが、根本的に治すなら内服薬も使ってもらいたいです。
それでは、ドラッグストアでもよく見かける市販薬をいくつか紹介しますね♡ 他にも使っているお薬があれば、主治医の先生や薬剤師に相談しましょう。
■塗り薬・坐薬(ざやく)
・ボラギノールA軟膏
ステロイドで炎症をすばやく抑えてくれて、内側にも外側にも使えるタイプ。腫れや出血、痛みに効いてくれます。
・ボラギノールM坐剤
ステロイドに抵抗のある人は、非ステロイドの抗炎症成分が入っているお薬を。特に坐薬タイプは体温で解けるようになっているので、お尻に入れるとすぐに溶けて効いてくれます。
■飲み薬
・乙字湯(おつじとう)
痔の治療に使う漢方薬といえばコレ。肛門のうっ血を改善したり、抗炎症効果があると言われています。大黄(ダイオウ)という下剤成分が入っているので、硬い便を柔らかくして、お通じをよくしてくれる効果も。便秘がちの人におすすめです。
・ヘモリンド舌下錠
お腹がゆるくなるのを避けたい人は、下剤成分が入っていないお薬を。
痔は根本的な原因に「腸内環境の乱れ」があることが多いので、水分(1日1リットル以上)や、食物繊維が豊富な食品を積極的にとるなど、食生活の改善も一緒に行ってみてくださいね!