タイ料理屋に行くと必ずと言って良いほど頼むのが、生春巻き。コンビニにだって当たり前のように売っているし、パーティーフードとしても定番。日本でもだいぶ市民権を得ている料理ですよね。
「ところで、まさかだけど生春巻きをタイ料理だって思ってない?」
ええ、私はまさにそう勘違いしておりました。さて、今回の「旅人でも簡単に作れるおうちで世界飯」第41品目は、ベトナム料理「生春巻き」を作りたいと思います。
私がベトナムを旅したのは2014年。アジア周遊の旅のスタート地点としてホーチミンを訪れました。当時のベトナムで印象的だったのは、とにかくバイクが多いことや、伝統の円錐形麦わら帽子「ノンラー」をかぶる人の姿(年配者オンリー)、そしてなにより米粉料理が安くて美味しいということでした。
ベトナムはインドに次ぐ世界第2位の米の輸出国で、国を代表する料理は米粉でできたベトナム風フランスパンを使ったバインミーや、米粉の平麺フォー、そして米粉でできたライスペーパーを使う生春巻きなど、お米大国ならでは。
生春巻きは「ゴイクン(ゴイクオン)」と言い、「和え物・包む」という意味があります。具材は、エビや豚肉、レタスや香草、ビーフンなどで、地域によっても異なります。
タレは大豆ベースのタレに砕いたピーナッツが加えられたもの、ニュクマム(魚醤)ベースの「ヌックチャム」というベトナムの万能ソース 、スイートチリソースなど、甘辛く酸味があるものが定番。
また、生春巻きの発祥はベトナム南部で、北部では揚げ春巻の方がポピュラーです。"生"は国内ではメジャーではなかったものの、各国に伝わり観光客の間で人気が出たことから、国を代表する料理となったとか。
たしかにこの透き通った美しい見た目とモチモチ食感は、唯一無二。日本で流行り始めたのは90年代からですが、映えの時代の今でも見劣りしません。
ベトナムの家庭では、乾いたライスペーパーと肉や野菜などの具材がテーブルに置かれ、「セルフ生春巻き」するのも一般的だとか。まるで日本の手巻き寿司のようですよね。
ところで最近、「今旅するならどこに行きたい?」という質問をよく受けますが、近頃の世界情勢(てゆうか円安と航空券高騰)的に現実的だと思ったのはベトナム。今度行った時には、生春巻きの食べ比べや、できれば一般家庭でセルフ生春巻きも経験してみたいですね。
さて、ベトナム熱が上がってきたところでさっそく調理! 今回はビーフンの代わりに、夏の残り物の素麺を使いたいと思います。(もしかして、これが今回の料理の真の目的...!?) それではレッツクック!
<材料> 2~3人前
・ライスペーパー...4~6枚
・エビ...6尾
・豚肉...適量
・ニンジン...半分
・キュウリ...半分
・レタス...2、3枚
・ニラ...2本
・パクチー...2本
・素麺...一束
・しそ・・・数枚
*自家製ヌックチャム
・ニュクマム(ナンプラー代用可)...小さじ2
・砂糖...小さじ2
・酢...小さじ1
・水...小さじ3
・ニンニクみじん切り...1片
・唐辛子輪切り...1/2本(あれば生唐辛子)
<調理>
1.エビは背腸をとって茹で、殻を剥き縦半分にカット。豚肉と素麺も茹でておく。野菜類は細切りや食べやすいサイズにカット。ソースは材料を全て混ぜておく。
2.常温水(分量外)を入れたボウルを用意し、乾燥したライスペーパーをサッと濡らし、足りないところは手で撫でるようにして全体を濡らす。
3.ライスペーパーの真ん中に上下二段になるように具材を乗せ、手前から巻いていく。途中で左右を折り込んで巻き上げたらできあがり!(上部にはエビなど皮から透けて見せたい具、下段には野菜類や素麺などを置くと綺麗に仕上がります)
★YouTubeで実際の料理シーンも見てみてね!
<実食>
味は言わずと知れた生春巻きですが、改めて自分で巻いて食べてみると、正直日本のカフェやレストランなどで食べるよりもずっと美味しい!
お店だとカットされていることが多いですが、丸ごと手で持って豪快にかぶり付く方が歯ごたえを感じます。また、時々具の密度がスカスカの生春巻きにガッカリすることがありますが、自作ならギッシリと詰まった贅沢サラダ棒という感じで満足感が高い。しかもどんなに食べてもヘルシーで罪悪感がない。
そして何と言っても透き通った皮から透けて見える具の美しさたるや。手巻き作業も簡単で楽しく、ホムパでセルフ春巻きやったら盛り上がることこの上なし。サーモンやアボカド、卵やフルーツなどで、オリジナルを作るのも楽しそうです。
ところで、巷ではなんとライスペーパーをお顔のパックにしている女子がいるんだとか。牛乳や緑茶、化粧水に浸して顔に貼り付けると、米のビタミンやミネラル成分が浸透してうるおいたっぷりの美肌になる......って本当でしょうか。
実際にやってみると、ライスペーパーの肌への密着度が高くなかなかイイ感じ? 効果のほどはわかりませんが。
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
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