アニメ風のアバターに人の動きをシンクロさせて動画投稿や配信を行なうVTuber/バーチャルライバー。その大手事務所「にじさんじ」に所属し、わずか14日で登録者数100万人を突破した壱百満天原(ひゃくまんてんばら)サロメに古参ファンのプロフィギュアスケーター・織田信成が愛をぶつける対談の後編! (前編⇒壱百満天原サロメ×織田信成。サロメの号泣に信成もらい泣き)
■VTuber界の羽生結弦
――フィギュアスケーターもVTuberも人を楽しませるエンターテイナーだと思います。おふたりのエンターテイナーとしての心構えを教えてください。
サロメ わたくしがエンターテイナーを名乗ってしまうのはおこがましいのですが、許してくださいまし! まず、わたくし自身が「楽しい」と思うことですわ。「楽しくない」と思っていたら、たぶん皆さまにも伝わってしまうと思うんです。「楽しい」って気持ちを大事にしてこそ、皆さまに笑顔を届けられるなと考えておりますわ。
織田 素晴らしいと思います! 僕も、アイスショーの内容を考えるとき、まず自分のやりたいことを明確にします。そして、そのコンセプトがはっきり伝わるにはどうすべきかを考える。
サロメ 重みが違いますわね......。
織田 いやいや。僕は羽生(結弦[ゆづる])君や(浅田)真央ちゃんのように主役タイプではないので。でも、だからこそ「羽生君も真央ちゃんも良かったけど、織田くんも良かったね」って言ってくれる人がひとりでもいるように、自分の個性や自分にしかできないことを常に意識しています。
サロメ あの、本当にこれは失礼も承知で、織田さまはずっと世界で人生かけてやられてきて、それをひと言で「わかる」って言ってしまうのはね、あの、本当に下品なことだと思うんですけど......。
織田 言ってください! 僕への配慮は大丈夫です(笑)。
サロメ 本当に、本当に全部そうだと思うんですよ。私も「わかりますわ!」って思ってしまいましたわ。誰かひとりでも、たとえそれが一瞬でも、「クスッ」と笑ってもらえたらうれしいなと思って活動しているので、表現は違えど、織田さまと同じものを目指していると感じたので、とっても感動しましたわ!
織田 サロメさんは圧倒的な個性で世界観を確立されてると思うので、スター性は"VTuber界の羽生結弦"みたいなものだと思います。
サロメ やめて! 怒られる! 怒られますわ、いろんな方に!
織田 (笑)。サロメさんは今のままで突き抜けていったらいいと思います!
サロメ 実はわたくし、もともと自分に自信がないんです。けれども、織田さまや皆さまに「好き」って言ってもらえたときに「自信がない」って言うのはダメだなと思うんです。
織田 ダメです。絶対言わないでください。こんなに応援してる人がいるんだから!
サロメ そうなんですよ! 皆さまのおかげで少しずつ自信を持てていると思っております。もともとダメなわたくしでも、何かできることはないかって模索しながらやってきた結果、皆さまが喜んでくれた。これって、さっきおっしゃっていた「自分にしかできないこと」だと思うんです。
■お互いに質問したいことは?
――織田さんからサロメさんに質問はありますか?
織田 自分も子供もめっちゃゲーム配信が好きで、サロメさんのゲーム配信を見て、僕もやってみたいと思っているんですが、気をつけていることを教えていただけますか?
サロメ すてきですわっ! わたくしもできていないのですが、大事なのは"全部読み上げること"。わたくしいつも忘れちゃうんです! アイテムを拾ったら「○○取れましたわ」ってちゃんと言うの。これマジで大事みたい!
織田 黙って取るとなんのアイテムかわからないですもんね。でも、ハーブ(回復アイテム)を取るときだけは「おハーブですわ~!」って必ず言いますよね(笑)。サロメさんは常にしゃべっているので臨場感があります。
サロメ うるさいかなとも思うんですけど、できるだけテキストを読んだり話したりすることは大事だと思うんです。でも一番は、自分が楽しむことだと思います。織田さまは感情が豊かな方だから、きっと「楽しい」って思ったらそれが伝わると思いますわ!
織田 じゃあ、感情豊かにゲーム配信します!
――では、サロメさんは?
サロメ えっと、アイスショーでスケートリンクに投げ込まれて、イヤなものはありますか?
織田 全然! あ、でも下着類と織田信長グッズは少し困りますね。僕が家に信長グッズ飾ってんのはなんかちょっと違うかなって(笑)。でも、イヤなものはないです。
サロメ わたくし、突き詰めて考えたのですが、トイレットペーパーがいいのかなと思っていたんですよ! 絶対に邪魔にならないじゃないですか!
織田 トイレットペーパーもいただきますよ! かわいいのとか、高級なやつとか。日用品はうれしいです!
サロメ やっぱりそうなんですね! 迷ったらトイレットペーパーにいたします! あと、もうひとつ......。「ちょっとしんどいな」って一瞬、本当に一瞬、頭をよぎることってどうしてもあるじゃないですか。そういうときってどうしていますか?
織田 そうですね......。フィギュアスケートは順位や点数で、VTuberさんは再生回数や登録者数で、評価が数字で可視化されますよね。僕も苦しんできました。何をやっても点数が出ない時期があったり、順位が出なくてスポーツ紙で叩かれたり。
落ち込んでいたときに、手紙で「あの演技、頑張っていましたね」とメッセージをいただいて、「見てくれている人はいるんだ」って思えたんです。
サロメ やばい! 感動してきましたわ。
織田 全国どこでも見に来てくれるファンの方もいて、「また来たんですか、ここ鹿児島ですよ!」ってツッコむんですけど、本当はスゴくうれしい(笑)。そういう人たちはどんなことがあっても応援してくれるって心から信じてます。ファンの僕に対する気持ちを大切にするのが、壁を乗り越える秘訣(ひけつ)だと思います。
サロメ ......今、泣きそうになって危なかったですわ。
織田 サロメさんを応援している人は日本中にたくさんいます。時に結果が出なくても、ファンを信じていてほしい。ファンは、元気をくれるサロメさんに感謝してますから。
サロメ わたくしも感謝していますわ。......すてきですわね、この世界は。
織田 SNSとかもそう。もちろんひどい言葉を投げかけられることもありますけど、98%はうれしい言葉をもらえている。2%の負の感情に流されちゃいけないなっていつも思ってます。誰かから元気をもらったこと、僕だったらサロメさんにいつも楽しませてもらっていることを、忘れずにいないといけない。
サロメ 流されるのは簡単ですものね、負の感情は強いから。皆さまに支えられると思えば耐えられる気がしますわ。
織田 そうなんですよ。サロメさんはたくさんのファンという大黒柱に支えられていると思ってください。
サロメ やだ......、本当に心に響いております......。
織田 今日、対談するにあたって、こんなに元気をもらってるよって感謝の気持ちを述べさせていただきたかったんですよ!
サロメ 伝わっております! わたくしも織田さまとファンの皆さま方にもっと感謝を伝えていきたい。今日お話しさせていただいて、文字のコメントではなく、こうやってじかに声で感謝を伝えられる機会はあまりないので、大きな喜びをもらいましたわ!
――最後に、おふたりの今後の目標を教えてください。
織田 僕はさっきも話したとおり、まずゲーム配信に挑戦したいです! そういう、自分のやってこなかったことに挑戦していきたいと思ってます。あと、最近サロメさんを見すぎて、お嬢さま言葉が日常生活で出てると妻にも言われているので、それも気をつけていきたいです(笑)。
サロメ いつも言っている「100満点のお嬢様になること」はもちろん、もっともっと楽しいことをして、皆さま方にさらに笑顔をお届けしていきたいです。
あとは、ちゃんとアイテムを拾ったときに名前を言えるようになること(笑)。本当に今日はありがとうございました。ゲーム実況頑張ってください!
織田 はい! ありがとうございます!
●壱百満天原サロメ(ひゃくまんてんばら・さろめ)
2022年5月21日に、にじさんじからデビューしたVTuber。本物のお嬢さまを目指すべく日々奮闘している一般女性で、髪の毛や口調は生まれつきのもの。アッパーなお嬢さま感と、思慮深い令嬢感の両方を兼ね備え、幅広いファン層に愛されている
●織田信成(おだ・のぶなり)
1987年生まれ、大阪府出身。2005年の世界ジュニア選手権で日本人男子としてふたり目のチャンピオンに。10年バンクーバー五輪では7位入賞。13年の全日本選手権後に現役を引退し、現在はプロフィギュアスケーター、コーチ、解説者、タレントとして活躍中