サリーと「保護犬つながり」で。兄がレスキューしたパグのグロリアサリーと「保護犬つながり」で。兄がレスキューしたパグのグロリア
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、『プレデター:ザ・プレイ』に登場する犬について語る。

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B級映画に触れたいときってありませんか? メジャーな映画では味わえない奇想天外な世界観やクセになるチープさのおかげで、肩の力を抜いてサクッと見られるSF作品が多いので、昔からつい見てしまいます。

もちろんB級=駄作ではなく、予算が低いものを指した言葉ですが、あの独特な空気を味わいたく、サブスクをあさっていた先日。お、『プレデター』シリーズの新作があるじゃないですか。製作費などからするとB級ではないどメジャー映画ですが、過去に見た数作は間違いなくB級感漂う後味がしました。しかも今回の新作は配信限定。これは期待。

しかし、「ぷぷぷっ」を期待して視聴した『プレデター:ザ・プレイ』、引き込まれました。一番の理由はズバリ、主人公の相棒の犬。このコ、世界一のタレントワンコかもしれない。ラッシー、『オズの魔法使い』のトト、ベートーベンなどのスターワンコの仲間入り間違いなしです。

1987年公開のオリジナル『プレデター』は、ムキムキの軍人を演じるシュワちゃんが、ジャングルで宇宙から来た捕食者と戦うという内容。90年公開の『プレデター2』では、ムキムキの警察官を演じるダニー・グローバーが、市街地で宇宙から来た捕食者と戦います。クロスオーバーを入れるとすでに12作品もありますが、毎回ムキムキな男たちと昆虫らしき頭部の異星人捕食者との戦いが描かれています。

1作目から着々とクオリティが落ちていた印象ですが、最新作では世界観一新! 舞台は300年前の北米、主役はアメリカの先住民族コマンチ族の女のコ。プレデターと人類の最初の接触を描いたストーリーで、他作品のプリクエルに当たります。

ほかの作品で多用されるマシンガンや現代の武器はなく、主人公ナルは弓矢やナタを使用。地形や天候の知識を生かして、プレデターも白人入植者も撃退するという展開はよくできており、当時のコマンチ族の暮らしに関する歴史的考証にも気を配っています。

私の見どころは、ナルの愛犬サリー。表情の変化、ナルを見上げるタイミング、感情に合わせた尻尾の振り方のバリエーション、敵と戦うときの立ち方や、ナルを慰めるときの寄り添い方。CGや着ぐるみかと思うほど完璧。サリーの前では、ラッシーなんかはお遊戯会!(『名犬ラッシー』を30年ほど見てないけど)。

今まで見た『プレデター』は登場人物に何があってもどうでもよかったけど、今回はサリーのおかげで、地球人側を応援しまくり。サリーとナルが襲われないか、ヒヤヒヤしまくりでした。

このサリィを演じたのはカロライナ・ドッグのココ。カロライナ・ドッグは実際にネイティブアメリカンが飼育していた犬種で、北米で古来生息する唯一の野犬。立ち耳で筋肉質で強そうな見た目だけど、目は優しくてたまらなくかわいいです。ほかの出演作を探しましたが、なんと今回がデビュー作! しかもココは元保護犬で演技の訓練を受けておらず、あまりの才能に予定より出番が増えたそう。

捨て犬からハリウッドスターへ。B級を求めて、一流の感動ストーリーに出合えた市川でした。

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。犬が出てくる映画は、劇中で死なないかを確認してからじゃないと見ない。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!