サウナ大使タナカカツキ全面プロデュースの自然一体型サウナが登場! サウナ大使タナカカツキ全面プロデュースの自然一体型サウナが登場!

今やアイドルから政治家まで"ととのい"にハマりまくり。エンタメ化した施設はどこも満員。しかし、来年は心と体に優しい自然派路線が新潮流とのウワサ。果たして、その真相とは――?【2023年サウナは「自然回帰」主義! ~Part1】

大規模な再開発が進む渋谷の中心に間もなく誕生。都会の喧騒をシャットアウト、脳疲労をほぐす"自然レスト"型の新感覚サウナ施設に潜入取材!

■元祖・サウナの聖地に脳疲労をとる無の空間

「今年もサウナ人気は続き、有名店はどこも大盛況です。グッズに物産展、家庭用サウナまで。また、熱波師の世界大会の予選が初めて日本で開催されたとか。

でも、世の中はリモートワークが増えて、汗をかかない生活。僕もデスクワークで四六時中、思考の世界。娯楽という一時の"気休め"ではなく、しっかりと脳疲労をとってくれる"休息(レスト)"のサウナを求めて、完成までこぎ着けました」

こう語るのは、マンガ家のタナカカツキ氏。日本サウナ・スパ協会認定のサウナ大使として、『マンガ サ道』も手がけるなど、昨今のブームの立役者。その氏が初めて名前を前面に出して総合プロデュースする施設「渋谷SAUNAS(サウナス)」が、12月23日にオープン。渋谷区桜丘町という、"ほぼ渋谷駅構内"ともいうべき好立地。でも、なんで渋谷に?

「渋谷は元祖なんです。サウナの日本上陸は1964年の東京五輪。フィンランドの選手が家庭用の簡易式サウナを持ち込んだのが始まり。その2年後に渋谷で日本初のフィンランド式サウナ『スカンジナビアクラブ』が開業。なので、原点回帰したわけです」

渋谷駅周辺は、大規模な再開発で、高層ビルが林立。大型商業施設も立ち並び、どこも安定の人だかり。だが、「渋谷SAUNAS」に来ると、空気は一変。こだわりの樹木があちこちに植栽された、静寂な空間。これもタナカ氏の狙いなのだとか。

「日々の労働に追われて、常に意識と思考で煮詰まっているわけじゃないですか。視覚的にもおびただしい情報が入ってくる。それを全部遮断したくて。この建物では、よけいな情報が一切入らないようにしました。

とにかく、文字を読ませない。注意書きもないし、受付での説明も省いて、簡単なアニメ映像で利用方法をさらっと説明するだけです。徹底して脳疲労をさせない仕組みにしましたね」

■人間の皮膚細胞に喜び。究極のサウンドサウナ

施設内の各サウナはこだわりがてんこ盛りだ。例えば、"暗室サウナ"。暗がりの中で静かに座り込む。滑らかな漆黒のベンチはもたれたときの体の収まりがいい(これは、館内のどの箇所にもいえる)。

時折、植物エキスを多分に含んだアロマ水をストーブに垂らして蒸気を出す。ほのかに広がる心地よい熱と香りは、体の芯をじわじわと温め、やがて汗がにじむ。外に出れば水風呂への導線は完璧で、水温も14℃とちょうどよい設定。ととのわないわけがない。

こちらは「茶室サウナ」。ロウリュによる蒸気が満遍なく巡るように、室内の隅々は角張った形状ではなく、ラウンドがかった設計に。こぢんまりとしたたたずまいで心も鎮静される こちらは「茶室サウナ」。ロウリュによる蒸気が満遍なく巡るように、室内の隅々は角張った形状ではなく、ラウンドがかった設計に。こぢんまりとしたたたずまいで心も鎮静される

3階は、開放感抜群の外気浴エリア。植栽に使われているのは、シラカバやスギ、ヒノキなど。時折、ミストも噴出される 3階は、開放感抜群の外気浴エリア。植栽に使われているのは、シラカバやスギ、ヒノキなど。時折、ミストも噴出される

でも、これだけではない。

「今回こだわったサウナのひとつに"サウンドサウナ"があります。サウナに入っていると、血流がよくなるからか、耳が鋭敏になるんです。でも、そんなときにおっさんのうめき声、テレビの暗いニュースダダ漏れとかってどうなのか。

人間の皮膚細胞って聴覚を持つともいわれるので、細胞にとって気持ちいい音を出すサウナを造ろうと。スピーカーは特注、ストーブにアロマ水を垂らしたときのかすかな音も気持ちよく聞こえるよう、音が響く特殊な放熱板を備えました。

音楽はサウナ好きの古い友達で、作曲家のとくさしけんご君に依頼。室内は、天井に波打つような凹凸をつけて、音が行き渡るコンサートホールに似た設計にしました」

日本初「サウンドサウナ」の室内。ストーブの上部には、特殊な形状の放熱板。これにより蒸気と熱が行き渡る仕組みに 日本初「サウンドサウナ」の室内。ストーブの上部には、特殊な形状の放熱板。これにより蒸気と熱が行き渡る仕組みに

極めつきは、ケロサウナ。欧州のアカマツなど、数百年経過した立ち枯れの高級木材・ケロが使われている。さらに、アロマ水に浸したヴィヒタ(シラカバの若い枝葉の束)を使って、体にエキスを入れるウィスキングも行なわれる。

「ウィスキングって、葉で体を叩いているように見えるけど、実は違うんです。ぱっと引いたときに植物のエキスを出して、皮膚にまとわせているんです。でも、肝心のサウナ室がエキスを広げる造りでないと意味がない。室内の排気口は天井に設置すると、エキスを含んだ空気まで、全部吸い上げられてしまうので、下部にしました」

こちらは、ケロルーム。通常のサウナ室とは異なり、植物から出る有効成分を室内に滞留、体に浸透させるため、排気口は下部に。おそらく日本初の設計なのだとか。ウィスキング用の道具も完備されている こちらは、ケロルーム。通常のサウナ室とは異なり、植物から出る有効成分を室内に滞留、体に浸透させるため、排気口は下部に。おそらく日本初の設計なのだとか。ウィスキング用の道具も完備されている

3階の外気浴エリアに設置された水深160㎝の水風呂。全身どっぷり漬かることで、確かなととのいを約束してくれる 3階の外気浴エリアに設置された水深160㎝の水風呂。全身どっぷり漬かることで、確かなととのいを約束してくれる

ちなみに、ウィスキングサービスを行なうスタッフたちには、本場リトアニアの講師を呼び、合宿で本格トレーニングを実施。タナカ氏は日本サウナ・スパ協会主導で資格制度もスタートさせるなど、自然派路線をとことん追求している。

「日本のサウナはおおむね天井が高くて、蒸気がうまい具合に滞留しないんですよ。そこで台頭したのが、アウフグース。タオルでブンブン攪拌(かくはん)することで蒸気を拡散させるっていう。パフォーマンスは見ていても楽しいし、世界で通用する優秀な熱波師もずいぶん出てきました。

一方で、静かにサウナを堪能できる施設も造ることによって、日本のサウナ文化はさらに広がりを持つと思うんです。だから、2023年はあえて"自然レスト"を広めたい。それが僕の思いです」

サウナー・利瀬このみ。タレント、モデル。ピラティスを学ぶ傍ら、サウナーとしても活動。自然と程よく融合した施設を求めて、全国津々浦々、探索の旅へ。愛知県出身 サウナー・利瀬このみ。タレント、モデル。ピラティスを学ぶ傍ら、サウナーとしても活動。自然と程よく融合した施設を求めて、全国津々浦々、探索の旅へ。愛知県出身

■渋谷SAUNAS(サウナス)
東京都渋谷区桜丘町18-9
TEL 03-6627-4757
営業時間 8:00~24:00(オープンから当面は23:00閉店)
料金 月~金曜3080円、土・日曜、祝日3850円
https://saunas-saunas.com/
渋谷SAUNAS 渋谷SAUNAS