今やアイドルから政治家まで"ととのい"にハマりまくり。エンタメ化した施設はどこも満員。しかし、来年は心と体に優しい自然派路線が新潮流とのウワサ。果たして、その真相とは――?【2023年サウナは「自然回帰」主義! ~Part2】
サウナ界の新たなバイブル『医者が教えるサウナの教科書』の著者で医学博士の加藤容崇(やすたか)氏が指南! 真のサウナの作法と注目すべき"聖地"とは。
■今知りたいサウナ医師オススメの理想郷
がん遺伝子検査、がんゲノムが専門の加藤容崇医師。予防医療を目的としたサウナなど、最新の科学による健康習慣の解析にも注力している。
「時折、サウナは危ないという医師のコメントを見聞きしますが、そもそもサウナは運動と一緒。体にある程度の負荷をかけ、それが適切な範囲内ならば、健康効果や恩恵を得られる。逆に不適切な入り方だと、負荷が過剰にかかり体に良くない。例えば、心臓に持病がある人が激しい運動をしたら危ないのと同じ」
負荷の範囲には個人差があるのだとか。
「年齢を重ねれば自律神経の機能は下がりますから、高温サウナや冷たい水風呂は負荷が大きくなりがちです。ただ、日常的に低水温の水風呂に入っている人は、自律神経の機能が高まっているので、アジャストできる体になっている。本当に人それぞれです」
では具体的に、体にとって優しいサウナの入り方とは?
「まず、なるべくすいているサウナに入ること。整理券をもらって並んでととのうわけがない(笑)。最近、その対策としてiPhone限定で『サの国』という、サウナ施設の混雑状況を見られるアプリを作りました。感染症予防の観点からも、過剰に混雑する場所は避けたいところです」
設備面も確認が必要だそう。
「すいているならば、生活圏にある銭湯がベスト。でも、水風呂はぬるいところが多いという話を聞くので、その場合の対処法には炭酸水を飲むのがオススメです。体内センサー(TRP受容体)が、水風呂に入ったときと同じ反応を示すんです。
あとは、サウナ室の造りも重要。ロウリュをやるにしても、蒸気が1ヵ所に滞留するのではなく、満遍なく巡るかどうかチェックしたほうがいいです。換気状況もしかり。吸排気システムがよくない中で、大人数でアウフグースなんて受けたら、CO2濃度が急上昇し心臓への負担が大きくなり危険ですから」
加藤医師によれば、理想的な土地があるという。
「地域全体でサウナに取り組んでいる帯広です。サウナが生活圏にありそこまで混雑せず、料金もリーズナブルな施設が多い。例えば『森のスパリゾート 北海道ホテル』や『十勝エアポートスパそら』という施設は外気浴にはベストな環境。
帯広は日照時間が長く、空も広くて青いので、至福の時間が過ごせます。わざわざ行きたい"ご褒美サウナ"と毎日行きたい"生活圏インフラサウナ"どちらの面も持つのでオススメです」
●日本サウナ学会代表・加藤容崇(かとう・やすたか)
北海道大医学部を経て、同大学院にて医学博士号を取得後、米国ハーバード大医学部で膵臓がん研究に従事。現在、慶應義塾大医学部腫瘍センター特任助教。通称"サウナドクター"