お湯のペットボトルは冷たい雨の日にもぴったり お湯のペットボトルは冷たい雨の日にもぴったり
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は市川紗椰が復活を待望していた「お湯のペットボトル」について語る。

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冬の割には気温の高い日が目立った東京でも、いよいよ本格的な冷え込みの到来を感じる今日この頃。高機能繊維の保温インナーや充電式のヒーター内蔵手袋など、あったかグッズの進化には毎年脱帽しますが、この冬は久々に感動する出会いがありました。ついに!ペットボトルで「お湯」が販売! 日本の冬の心強い友、ホットドリンクコーナーに、ずっと待ち望んでいた、ただの温かいお水が復活しました。

数年前にも、温かい水が一瞬だけ売られていたのを覚えているでしょうか。コンビニで1回しか出会えなかった上、それを話しても商品を見た人が周りに誰もいなかったため、私の中では幻と化したペットボトル飲料です。

「冷えすぎた体による幻覚だったのか!?」とまで思っていましたが、あれからずっと、「お茶やコーヒーと一緒に、ホットウオーターもあればいいのにな」と願っていました。そんな私のささやかな望みが届いたかのように、昨年11月、アサヒ飲料から「アサヒ おいしい水 天然水 白湯(さゆ)」が全国的に発売されました。2014年に発売された「富士山のバナジウム天然水 ホット」の再挑戦だそうです。

「水を一度沸騰させて冷ましたお湯」という厳密な白湯の定義に準じているかどうかはわからないけど、優しい50~60℃に温めた状態で販売されています。340ml、113円前後。常温や冷えたミネラルウオーターよりは割高ですが、よしとしています。

水をガブガブ飲みたいけど冷えたくないときや、胃が疲れてカフェインがいらないとき、お薬を飲むときはもちろん、個人的には栄養ドリンク剤や乳酸菌飲料をお湯割りにしていただくのに重宝しています。リポビタンDやヤクルトなどのお湯割りに共感を得たことはないですが、「白湯」発売によってもっと堂々とやっていきます。

ちなみに、この"市川流お湯割り"はもとより、ペットボトルのお湯のありがたさそのものを分かち合ってくれない仲間が多いです。「お茶で十分」とか「お金を払うまででもない」とか。高校の同級生に至っては、「白湯」を「白湯(パイタン)」と勘違いして「ぬか喜びさせられた」とクレームを言ってきました。

そもそも私はホットのペットボトルや缶飲料が大好きです。冷えた日に温かいものを抱えるあの幸福感、たまらないです。たまに熱すぎて手の皮がむけるかと思うこともあるけど、なぜかそれも好きです。じかで持てるほどに冷めるまで、胸元やおなかに当てて即席湯たんぽとして使ったり、首元に当てたり。

ホットのペットボトルや缶飲料は欧米にはないので、日本に引っ越してきたときの感動は忘れられません。お茶はもちろん、コーンスープやホットココアが自販機で買えるなんて......。そして、ついに来た、白湯! 幻の「バナジウム天然水 ホット」と違って売り上げは好調、想定の3倍を超えているそうです。このまま定番化することに期待!

もし人気に陰りが出始めたら、「飲める湯たんぽ」としてのリブランディングを提案します。それでもダメなら、カップ焼酎の隣に配置しましょう。ほかにも、まだ開拓できていない需要が眠っていると思います。

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。お花見シーズンも、ペットボトル白湯での焼酎のお湯割りが決まり!とひらめいたけど、ホットのお茶割りも可能だったのか、と気づく。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!