これ以上進化できないと思っていた、ダブルクリップ界の革命児「エアかる」と「ローラーケシポン 箱用オープナー」これ以上進化できないと思っていた、ダブルクリップ界の革命児「エアかる」と「ローラーケシポン 箱用オープナー」
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は市川紗椰がときめいた文房具について語る。

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多彩なアイデアと高い品質を備えた日本の文房具。「この発想はなかった!」「考えた人は天才!」と、小さな知恵が詰まった文房具に出会うと異常に感動してしまいます。今回は最近思わずときめいた、地味だけどすごい進化を遂げた文房具を紹介。

「ずっとこれを探してた!」というより、そのアイテムの出現によって、「今までこんなに不便だったんだ」と自分の中に眠っていた願望に気づかされた、日本が世界に誇るべき品物たちです。

まずは驚き文具の王様・キングジムより「クリアーファイル チャックタイプ」。こちらは書類を挟むタイプではなく、透明のポケットに書類を差し込むタイプ。従来と違うのは、その名のとおりチャックがついているところ。各ポケットの横に、食品保存袋などに使われるようなチャックがあるので、書類を閉じ込められます。

逆さまにしても書類がこぼれ落ちないし、チケットやはがきなど小さなものを入れても安心。横チャックだから、大きなものも簡単に入れられる! しかも密閉っぽい効果があるのでお風呂でも使える! お風呂に入りながらまで見ないといけない書類はないけど! それでも最高。

消しゴムのカス問題に新たな刺客も。ペタペタくっつくゲルや、手のひらサイズの卓上掃除機など、カスを退治する文具は数多く試してきましたが、私の最新の切り札はズバリ、クツワの「マ磁ケシ」

消しゴムに鉄粉が入っており、消しカスを磁石付きのケースで簡単に集められるようになっています。ケースにキャップをはめると磁力がオフになり、カスが中に落ちる仕組み。アナログなテクノロジーだけど、小さなエンジニアリングに感動。

便利さのとりこになったのは、プラスの「ローラーケシポン 箱用オープナー」。2021年の日本文具大賞を受賞したこちらは、封筒などの宛名部分を簡単に隠せるスタンプと、段ボールを開けるカッターナイフをひとつにした、ネットショッピング時代に特化したハイブリッド文具。

ふたつの便利アイテムが一緒になっただけでなく、スタンプはローラー式なので宅配便の大きな伝票にも楽々と対応。カッターも、粘着力が高い梱包(こんぽう)用のガムテープでもすらすら切れるギザギザ仕様。いずれの機能も従来の商品より快適。常に高みを目指す日本の文房具、最高。

一番のヒットは、同じプラスの軽く開けるダブルクリップ「エアかる」。ダブルクリップはホールド力が優れている分、指でつまんで開けるときの負担や固さは仕方がないと思っていました。テコの原理を利用したどシンプルな構造の定番アイテムだから、これ以上進化できないのかと。

しかし! エアかるは内側に出っ張りを作って支点の位置をずらし、さらにレバーを長くすることによって、開閉時の固さを解消。よく見たら、レバー部分も指にフィットする形に改良されているので、驚くほど軽い力で開けられます。パッと見、従来のものとあまり変わらないのに、こんなにも違うというところが特にアツい。熱量たっぷりでみんなに薦めましたが、こちらは2018年に文具大賞を取ったそうです。情報が古くてすみません。

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。テープを切るときのケシポンカッターの音がたまらない。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!