日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー 寺田健太郎氏 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー 寺田健太郎氏

1日5分、ちょっとだけ筋トレするコンビニジムが人気だ。では、本当に5分間で効果が出るのか? どんなトレーニングをすればいいのか? 自宅でできる"ちょいトレ"法を専門家に聞いた! これで夏までにメリハリボディが手に入るかも。

■1日5分でも1ヵ月後には変化が!

ライザップの「chocoZAP」など、1日5分、ちょっとだけトレーニングをする"ちょいトレ"が人気だ。

しかし、1日5分で本当に効果があるのだろうか? 『フィジカルメイク』(ベースボール・マガジン社)の著書があり、トレーニングジムなどを運営する「LIFE BUILDING」の取締役でトレーナーの寺田健太郎氏に聞いた。

――1日5分のトレーニングで効果はあるのですか?

寺田 はい。健康の維持・増進だけでなく、筋肉をつけてボディラインを引き締めるという点では、1日5分でも十分に効果があります。今から始めて正しい方法で継続できれば、夏に向けてカッコいい体はつくれます。

また、体脂肪を落として引き締まった体になりたいのであれば、これに追加してウオーキングなどの有酸素運動や食事のコントロールを行なうと効果が出やすくなります。

――では、朝、昼、夜だといつやるのが効果的ですか?

寺田 いずれもメリット・デメリットがあるのですが、私のオススメは朝、またはお昼です。夜にトレーニングすると交感神経が優位になって興奮状態になり、睡眠の質が落ちてしまいがちです。

また、夜だと突然予定が入ったり、「疲れたので今日はやめよう」となると習慣化しにくくなります。

そして、できれば朝も昼も食事の前にトレーニングするのがいいでしょう。筋トレ後に食事をすると、その栄養素が筋肉の修復のために使われます。また、筋トレ後だと「せっかくトレーニングしたのだから体にいいものを食べよう」と普段の食事にも気を使うようになるでしょう。

――では、実際にどんなトレーニングをするといいのでしょうか?

寺田 筋トレ後は、筋肉が回復する時間が必要なので、曜日ごとに鍛える部位を変えたほうがいいと思います。そこで今回は、「A・おなかまわり」「B・下半身」「C・上半身」と3つに分けました。そして、それを繰り返し、残りの1日を「ストレッチ」の日とします。

例えば「月はA」「火はB」「水はC」「木はA」「金はB」「土はC」「日はストレッチ」というイメージです。

――どれくらい続けると効果が表れてくるのでしょうか。

寺田 1ヵ月後くらいには、なんらかの変化を感じられると思います。例えば「肩が軽くなった」「疲れにくくなった」「少し筋肉がついたかな」などです。筋トレは即効性のあるものではないので、コツコツ続けることが大事です。

そして、1日5分だからサッとやってしまいたいところでしょうが、少ない時間だからこそ、ひとつひとつの種目を丁寧に行なってください。スタートポジションから2秒くらいかけて完了のポジションに。

そして、また2秒くらいかけてスタートポジションに戻るくらいのスピードが理想です。そして、鍛えたい筋肉がしっかり動いていることを確認しながらやってみてください。

* * *

1日5分のちょいトレで、夏までに少し引き締まった体を手に入れよう。

【A】木・月 腹を鍛える日

■クランチ(腹直筋を鍛える)【10回×2-3セット】
・ポイント 脚を開くと骨盤が開き効果が小さくなるので脚は開かない。手をひねるときに脚のほうに少し伸ばすようなイメージで行なう

①あおむけに寝て、脚と膝を90度に曲げ、浮かせる。手のひらは上向きにする ①あおむけに寝て、脚と膝を90度に曲げ、浮かせる。手のひらは上向きにする

②上体をゆっくりと起こしながら、手の甲が上になるように内側にひねっていく ②上体をゆっくりと起こしながら、手の甲が上になるように内側にひねっていく

■ロシアンツイスト(腹斜筋を鍛える)【20回×2-3セット】
・ポイント 肩が体の前にくるまでしっかりひねる。腕だけでやらない

①体育座りの姿勢で両脚を少し浮かす ①体育座りの姿勢で両脚を少し浮かす

正面 正面
②手のひらを合わせて体をひねる ②手のひらを合わせて体をひねる

正面 正面

【B】金・火 下半身を鍛える日

■スクワット(太もも、お尻を鍛える)【10回×2-3セット】
・ポイント 膝が前に出ていると膝を痛めやすい。腰が反りすぎていると腰を痛めやすいので注意する。最初はイスを置き、イスから少し離れたところに立って、イスにソフトタッチする「チェアスクワット」から始めると姿勢のイメージがしやすい

①足を腰幅よりも少し広くして立ち、つま先も少し外側に向ける。手を前に出す ①足を腰幅よりも少し広くして立ち、つま先も少し外側に向ける。手を前に出す

②頭からお尻のラインを一直線にして、腰を下ろしていく ②頭からお尻のラインを一直線にして、腰を下ろしていく

チェアスクワット チェアスクワット

■ヒップリフト(お尻、もも裏を鍛える)【10回×2-3セット】
・ポイント お尻を上げるときは、つま先ではなくカカトで押すイメージで行なう。腰が反るまでお尻を上げると腰を痛めやすい

①あおむけに寝て膝から下を床と垂直になるように立て、脚を腰幅に開く ①あおむけに寝て膝から下を床と垂直になるように立て、脚を腰幅に開く

②ゆっくりとお尻を上げる。膝から肩が一直線になったら、ゆっくりと下ろす ②ゆっくりとお尻を上げる。膝から肩が一直線になったら、ゆっくりと下ろす

【C】土・水 上半身を鍛える日

■プッシュアップ(上腕三頭筋と胸を鍛える)【10回×2-3セット】
・ポイント 肘は広げないで閉じておく。きつい場合は膝をついて行なってもよい

①手は肩幅よりも少し広めにして、手をつく位置は肩より少し脚寄り(みぞおちのライン)にする ①手は肩幅よりも少し広めにして、手をつく位置は肩より少し脚寄り(みぞおちのライン)にする

②頭からカカトまで一直線を維持しながら下げていく ②頭からカカトまで一直線を維持しながら下げていく

プッシュアップ低負荷パターン プッシュアップ低負荷パターン

■バックエクステンション(背中を鍛える)【10回×2-3セット】
・ポイント 首がすくんでしまうと背中の筋肉が使いにくくなるので、できるだけ首を長くするイメージを持つ。平泳ぎ型のバックエクステンションだと広範囲の背筋が鍛えられる

①水泳の平泳ぎのような姿勢を取り、脚を少し浮かせる ①水泳の平泳ぎのような姿勢を取り、脚を少し浮かせる

②平泳ぎの要領で手を前に出す ②平泳ぎの要領で手を前に出す

③大きく円を描きながら肘を脇まで持ってくる ③大きく円を描きながら肘を脇まで持ってくる

【ストレッチ】日 

■ワールドグレイテストストレッチ【左右交互5回ずつ】

①脚を肩幅に開き、しゃがんで両手を床につく ①脚を肩幅に開き、しゃがんで両手を床につく

②片足をできるだけ大きく後ろに引く ②片足をできるだけ大きく後ろに引く

③手前にある足のつま先に、その脚と同じ側の腕の肘をつける。このときに体が丸まらないように注意する ③手前にある足のつま先に、その脚と同じ側の腕の肘をつける。このときに体が丸まらないように注意する

④つま先についた手を、できるだけ体を大きく回転させながら上に持っていく ④つま先についた手を、できるだけ体を大きく回転させながら上に持っていく

⑤上に持っていった手を戻しながら、手のひらを床につける ⑤上に持っていった手を戻しながら、手のひらを床につける

⑥つま先とお尻を上げて、もも裏を伸ばす。元の位置に戻り反対のパターンを行なう ⑥つま先とお尻を上げて、もも裏を伸ばす。元の位置に戻り反対のパターンを行なう

●日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
寺田健太郎(てらだ・けんたろう)
NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(トレーニング指導の国際ライセンス)。体育科学修士。著書に『フィジカルメイク』(ベースボール・マガジン社)など。トレーニングジムなどを運営する「LIFE BUILDING」の取締役でもある