『ブタメン』が1993年の誕生から30年周年を迎えた。今では、コンビニやスーパーのお菓子売り場に置かれているが、オッサン世代の多くは駄菓子屋に買いに行った人も多いはず。そこで蘇るのは、他の駄菓子を混ぜて食べた記憶だ。
公式サイトではさまざまなアレンジレシピが公開されている。「キムチブタメン」や大根おろしを混ぜた「和風さっぱりブタメン」、牛乳と卵を使ったパスタ風の「カルボナーラブタメン」など多種多様なバリエーションが紹介されているが、駄菓子を使ったものはない。
......個人的には『梅ジャム』を混ぜて微妙だった思い出だけが残っているが、やはり駄菓子と『ブタメン』は合わないのだろうか? そこで駄菓子のプロにオススメの駄菓子アレンジを聞いてみた。
「そんなことはないですよ(笑)。『ブタメン』自体のクオリティが高いですし、組み合わせ次第です」
そう話すのは、日本一周駄菓子屋巡りの旅を経て、現在は駄菓子屋いながきと駄菓子屋まめふくの店主である宮永篤史さんだ。
そもそも『ブタメン』はおやつカンパニーが販売していたミニカップ麺『ベビースター当りら~めん』のラインナップのひとつだった。しょうゆ味、カレー味に次ぐ3つめの味として"とんこつ味"を開発する際、本場九州のラーメン屋をひたすら食べ歩き、研究して作られた。本格的なとんこつラーメンを再現したことで、『ベビースター当りら~めん』シリーズで最も人気に。『ブタメン』として独立し、今なお残っているのだ。
「駄菓子同士のアレンジレシピは僕自身もいろいろやっていて、50通りくらいは持っています。なかでも『ブタメン』はアレンジしやすい駄菓子なんですよ」
では、どんな駄菓子が『ブタメン』に合うのか。まず宮永さんが薦めるのは『ブタメン しょうゆラーメン』と『タラタラしてんじゃねーよ』だ。
「『タラタラしてんじゃねーよ』は豆板醤などで味付けしたピリ辛の魚肉シート。駄菓子のほとんどは表面に味が付いているだけなので、それが移ってエスニック風のスープになるんですよ。しかも、本体は味付けがなくなるので、ナルトみたいな感じの具材にもなります」
そして次は『ブタメン カレーラーメン』と『チーズおやつ』と『うまい棒チーズ味』のセット。
「カレーとチーズは鉄板ですが、駄菓子にもチーズはあります。『チーズおやつ』をちぎって入れてお湯を入れてください。そして食べる前に『うまい棒チーズ味』を砕いて少し振りかけましょう。そうすることでチーズの風味が増して、よりおいしくなります。
ただ『うまい棒』はコーンスナックなので、あまりかけすぎるとトウモロコシの風味が邪魔になります。軽く山ができるくらいがちょうどいいと思います」
3つめに教えてくれたのは、『ブタメン とんこつ味』に『ペヤングソースカツ』を後から入れて混ぜる組み合わせだ。
「『つゆ焼きそば』という青森のご当地グルメを知っていますか? 甘辛いソースをつかった焼きそばに、ラーメンスープやそばつゆをかけた食べ物なんですけど、それにそっくりなんですよ。
『ペヤングソースカツ』と似た駄菓子では『ビックカツ』もあって、そちらのほうが有名だし手に入りやすいんですけど、ソースが薄いのと、微妙にカレー風味があるのであまり合わないですね」
そして『ブタメン とんこつ味』には『ペンシルカルパス』も合うと宮永さんいう。
「これは単純にチャーシュー代わりなんですけど、ぜひ食べてみてほしいですね。先に入れてお湯で油を溶かしたほうがよりオイリーでうまいです。ただ肉のうまみはスープに移らないので、カルパスを食べてから麺をすするとよりおいしさを感じられると思います。
『おやつカルパス』を代わりに使ってもOKです。ただ『ペンシルカルパス』は原材料に牛も入っているので深みがあっておすすめです」
最後に「これこそ紹介したかった」と話すのは、『ブタメン タン塩味ラーメン』と『たねなしほしうめ』だ。
「個人的にタン塩味が『ブタメン』の中で一番うまみが強いと思うんですが、『たねなしほしうめ』の甘みと酸味が絶妙に合うんですよ。それぞれがまったく喧嘩せずに、うまくマリアージュしてマイルドになります。これは駄菓子の領域を超えていますね。
ちなみに同じ梅を使った駄菓子である『梅ジャム』ではこうはいきません。お互いの主張がぶつかり合ってしまって......あまりやらないほうがいいと思います(笑)」
普通のカップ麺と違い、値段も量もあまり気にせず、いろいろなチャンレンジができるのも『ブタメン』のいいところだ。宮永さんはこう続ける。
「『カレーラーメン』に『モロッコヨーグル』を少し入れるとまろやかになります。『おにぎりせんべい』はどの『ブタメン』でも相性が良さそうですよね。それから『カレーラーメン』以外であれば、『わさびのり太郎』を砕いていれてもおいしいと聞きましたね。
駄菓子ってそもそも遊びながら食べるもの、遊びの要素があるものなんですよ。ピーピー鳴る『フエガム』や、混ぜて作る『ねるねるねるね』なんてまさにそう。だから『ブタメン』をアレンジするのも正しい食べ方なんです。ぜひ色々試してほしいですね」
小腹を満たすのにちょうどよく、大人になってもついつい手が伸びてしまう『ブタメン』。好奇心のままにお気に入りのアレンジレシピを探してみよう。
●宮永篤史(みやなが・あつし)
駄菓子屋いながき(埼玉県加須市)、駄菓子屋まめふく(埼玉県伊奈町)の店主。学童保育を経営後、2018年にひとり息子と全国の駄菓子屋を訪れる(現在、700軒以上)。翌年、駄菓子屋いながきを、今年5月に駄菓子屋まめふくをオープン。また新たな駄菓子屋の開店支援も請け負う
公式Twitter【@miyanagashokai】
公式HP【https://inagaki.shopinfo.jp/】