「その土地を知るなら現地の人と同じ物を食べるのが基本」
なんてかっこよく言ってみたけど、バックパッカーは基本、節約旅。レストランに行くなんて珍しいから自動的に屋台飯は日常(か自炊)。
今回はその中でも、みんなが大好きなもちもち食感の屋台メシを紹介したいと思います!
■ギリシャの救世主「ギロピタ」
ギリシャ神話に出てくるかのような、いかつい名前のローカルフード「ギロピタ」。カップルに人気のリゾート・サントリーニ島や、私が世界一の絶景と絶賛するザキントス島で、リゾート価格にキュッとなる旅人の胃を支えてくれた救世主です。
ギロピタはトルコ料理でいうところのケバブのようなもの。薄切り肉を重ねて炙り削ぎ切りにしたものをギロスと呼び、それをポテトやトマトなどの野菜類と一緒にピタで挟んだのがギロピタ。
分厚めでもちもちとしたピタ生地とどっさりポテトがお腹に溜まり満足度が高い。いくらロマンチックなリゾートの雰囲気に酔いしれていたとしても、女子の腹はこっそり減っている。
味は想像通りジャンクな感じですが、ギリシャらしい味付けとして、ソースにヒツジやヤギの乳から作る水切りヨーグルトをベースに、ニンニクや塩コショウ、オリーブオイル、ディルなどを加えた「ザジキ」と呼ばれるものが使われる。
これまたギリシャ神話の登場人物のような名前ですが、ピタやポテトのもっさり感を緩和し全体をさっぱりマイルドな味にまとめてくれる守護神のような役割をしています。2.5ユーロ(約300円)程度で食べられることにエフハリスト(ギリシャ語でありがとう)です。
■ポンデリングの仲間!? ブラジルのタピオカ
もちもち食感の代表格といえば「タピオカ」。日本でも台湾発祥のミルクティースタイルで大流行しましたね。太いストローで吸い上げる大粒のタピオカパールにギャルが熱狂する姿を昨日のことのように思い出します。
ブラジルの「タピオカ」は、それとは全くスタイルが異なるクレープのような料理で、タピオカの原料となるキャッサバ芋のでんぷんをフライパンで円形に焼き、焼き上がった白い生地に好きな食材を挟んで食べるのが定番です。
生地はクレープよりも厚みがあり、もちもちっとした食感が特徴的。具材としてチーズやトマトなどの野菜を挟めば軽食になるし、ココナッツやコンデンスミルク、チョコレート、バナナならスイーツになる。
私が2014年ブラジルW杯を見るために宿泊したナタールの安ホテルでは、朝食に出てきたので、毎朝食べてはもちもち食感を堪能しいつの間にかすっかり虜に。
この食感、日本人は絶対好きだと思うし家庭でお手軽に作れるのに、なぜあまり知られていないんだろうか? その理由は、似た食感の別のスイーツが出回っているから?
そのスイーツとはミスドの看板商品「ポンデリング」である。
ポンデリングの名前はブラジルのチーズパン「ポンデケージョ」にちなんでいて、もちもち食感は原料にタピオカのでんぷんを使用しているから。 業績が悪化していたミスドが復活するきっかけとなった、これまた救世主的スイーツである。やっぱりもちもち食感は世界を救う!
そして、同じ原料であるこのタピオカクレープもまたポンデリングの原型だと、個人的には思わずにいられないのでした。
■フィレンツェでモツ煮がツウのやり方
もちもちに続き、モツモツ感のある料理モツ煮の話です。「ここイタリアだぞ? 花の都だぞ?」と言いたくなりますが、イタリア・フィレンツェの街のストリートフードとしてパニーニに並んで有名なのは伝統料理でもある「ランプレドット」。牛の第四胃袋(ギアラ)を煮込んだ、いわゆるモツ煮です。
モツ煮と聞くとなんだかオッサンの食べ物(失礼)のようでフィレンツェの雰囲気とかけ離れているようにも感じますが、呑兵衛系オヤジギャルには刺さるのではないでしょうか。
実際に街中にはいくつかのモツ煮屋台があり、そのひとつに出向くと屋台前にはギャルが殺到。日本語メニューもあり、バスケッタ(皿盛り)で提供されるものもあればパンに挟んでパニーニスタイルで食べることもできる。
食べる際にはサルサ・ベルデと呼ばれる、イタリアンパセリ、ニンニク、オリーブオイルを合わせた緑のソースをかければイタリア風味が強調されて、モツ煮にもついにフィレンツェの風が吹きました。ボーノです! 誰かワイン持って来て~!
以上、世界のもちもちとモツモツのお話でしたー! チャオ!
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
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