排尿後にサオを振って、チャックを閉めたその刹那!? パンツの中が"じわ......"っとする超不快なやつ! その正体は、おじさんなら高確率で経験アリの尿もれ。これからのシーズンは薄着になり、においはもちろん、ズボンのシミも気になりがち。メンズの尿もれ問題対策を紹介ですっ!
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■専門医も尿もれパッドを大推奨!
現在、男性用の尿もれケア用品のテレビCMがゴールデンタイムにヘビロテされるほど、おじさんにとって身近すぎる問題である、尿もれ。排尿後の〝じわ......〟っとする超不快感、出先でズボンのチャック周辺にシミを発見したときの絶望感は、おじさんにとってダメージ大きすぎ!
そんな尿もれのメカニズム、軽減方法などを「福元メンズヘルスクリニック」の院長で、泌尿器科医の福元和彦さんに解説してもらいます!
――まず、お聞きしたいのが、おじさんが尿もれするメカニズム。この要因とは?
福元 膀胱(ぼうこう)と尿道を結ぶ部分に骨盤底筋という括約筋があります。この締めつけが加齢とともに弱くなり、尿もれを発生させます。尿道を閉め切ることができず、排尿後にパンツをはいたり、チャックを閉めた刺激で〝じわ......〟っともれてしまう。
この現象は「排尿後尿滴下」と呼ばれ、数ミリリットルから十数ミリリットルほどの尿もれを起こすケースが多いです。
――尿もれには、加齢以外の要因はないのですか?
福元 骨盤底筋の筋力低下の原因は、なんらかの病気や手術の影響も考えられますが、40~50代となるとやはり加齢による部分が大きい。なので、投薬や各種治療によって症状が緩和できるものではありません。それもあって男性用の尿もれパッドが人気で、私の患者さんもほとんどが利用しています。
――これは、おじさん悲報! 尿もれパッドを装着して、おもらしし続けるってことになっちゃうんですか?
福元 いえ。加齢による尿もれは、排尿後のちょっとした動作や、日常生活で骨盤底筋をトレーニングすることで緩和することが可能です。
――それ、早く教えてください!
福元 まずは排尿後の動作です。残尿はペニスを振るだけでは排出されません。睾丸(こうがん)のつけ根あたりを刺激することで排出できます。睾丸のつけ根と肛門の中間あたりを押し込みつつ、なでるように指を前方に動かす。これで残尿が排出されることが多いです。
――で、実際に試してみましたところ、出るじゃん! 〝ピュッ、ジョロ~〟といった感じで残尿をしっかり放出。それってあなたの感想ですよね?と言われれば、それまでですけど、効果の実感は大アリです。
福元 押し込む部位は個人差がありますので、おのおので睾丸のつけ根周辺の押し込むポイントや強弱の調整をするのがいいでしょう。ただ、これを行なっても、尿もれが発生することがありますので、私としては尿もれパッドの利用を推奨しています。
特にこれからの湿度の高いシーズンは尿がズボンに付着すると、すぐににおいが発生します。そういったにおいを抑えつつ、衛生面でも優秀なのが尿もれパッドですから。
――便座に座って排尿をする男性も多いですが、この場合はどうするのが正解ですか?
福元 そもそも男性の座り姿勢での排尿は専門医的には推奨していません。座ると尿道がS字状になり、スムーズな排尿は難しい。
どうしても座位にこだわるなら、お尻を便座から少し浮かせた状態で排尿すること。ただし、これは腰に負担がかかりますので、ギックリ腰の経験者は要注意です。必ず腕を壁などに突き、体を支えた状態で行なってください。
――では、尿もれに影響する骨盤底筋を鍛えるにはどうすればいいのでしょうか?
福元 尿もれを発生させる人は、やはり長時間の座り仕事の方が多い。ですが、座った状態でも骨盤底筋のトレーニングは可能です。
普通に座った状態で、肛門を開け閉めするイメージで力むだけ。これを1日10分ほどやるだけです。1回に10分でなく、3分4セットでもOKです。
――すっごい簡単だし、オフィスや車の運転中にもできそうなやつ!! このトレーニングでの注意点などは?
福元 始めはどうしてもおなかに力を入れがちになると思いますが、その必要はありません。とにかく肛門周辺を意識してください。あと、表情が険しくなるので、オフィス勤務やリモート会議中にトレーニングする場合はそれも注意してください(笑)。
■勃起力と尿もれの関係性とは?
――ところで福元さんは、「TENGAを活用した性機能改善」を提唱する通称〝TENGAドクター〟としての顔もありますが、性機能と尿もれの関係性などは?
福元 大いにあります。40~50代は勃起力も低下しますが、これも骨盤底筋の衰えが関係しています。なので、先ほどの骨盤底筋のトレーニングでは肛門の開閉だけでなく、男性器を勃起させることを意識すればより効果がアップします。ペニスに力を加えることそのものが、骨盤底筋のトレーニングなのですから。
――オフィス勃起は無理!
福元 はい(笑)。ですが、日常のマスターベーションを見直すことでも、尿もれ緩和対策になるのです。
――どんなマスターベーション方法が有効なのですか?
福元 まず短時間のマスターベーションは禁止です。最低15分以上勃起を維持した状態から射精すること。このためにはペニスを強く握るのではなく、弱い刺激を心がけることが重要になります。
――でも、加齢で勃起の持続力も弱くなりますよね?
福元 それも緩和できます。方法としては少しでも性的興奮を得られたら、ペニスを意識してピクピクと動かすこと。これは基本的には骨盤底筋のトレーニングと同じ方法で、肛門の開閉をしつつ、内ももとペニスに力を入れます。1回の力みは5秒で10回、これを1日3セットぐらいが目安になります。
――確かに、ピクピクって動きますね!
福元 実は男性が排尿を行なうときは、このピクピクという動作を無意識に行なっているのです。加齢によって弱った骨盤底筋を、意識的に動かすことが尿もれ、そして勃起力低下の緩和につながるのです。
――メンズにとっては一石二鳥なやつじゃないですか! ここまでのお話で注意すべき点などはありますか?
福元 数ミリリットルから十数ミリリットルの尿もれは、40~50代の誰もが起こりうることです。しかし、尿もれの量があまりにも多い場合は、何かしらの病気の可能性も考えられます。そのような場合は専門医への受診を強くオススメします。
――骨盤底筋のトレーニングで尿もれと勃起力低下の緩和。これは、全おじさんが押さえるべき重要事項かと!