猛暑の今こそ  知っておきたい!「アイソトニック」「ハイポトニック」「経口補水液」はどう飲み分ける?猛暑の今こそ 知っておきたい!「アイソトニック」「ハイポトニック」「経口補水液」はどう飲み分ける?

スポーツドリンクの成分なんて、「どれも同じ」と思っていないか? 「エネルギー充填」「水分補給」「脱水時」など、実は用途別に分かれていたのだ。そこで、手に入りやすい13種を徹底比較した!

■エネルギーが必要か? 水分補給が重要か?

猛暑続きの毎日で、日中、外にいるだけで汗がダラダラ垂れてくる。「熱中症予防には小まめな水分補給が重要だ」ということで、ペットボトルの水やお茶を飲んでいる人は多いだろう。

しかし「水ばかり飲んでいるのも注意が必要だ」と語るのは、早稲田大学スポーツ科学学術院名誉教授で、『スポーツする人の栄養・食事学』(集英社新書)などの著書がある樋口満(ひぐち・みつる)氏だ。

「体に含まれている水分は真水ではありません。汗をなめるとしょっぱいと感じるのは、ナトリウム(塩分)やカルシウム、カリウム、マグネシウム、塩素などイオン(電解質)と呼ばれる元素が含まれているからです。

ですから、水分だけを大量に補給してナトリウムなどを補給しないと、血液中のナトリウム濃度が低下して『低ナトリウム血症』を起こす場合があります。

低ナトリウム血症の初期段階は、動作や反応が鈍くなったり、軽度の疲労感があったりします。また、症状が進むと頭痛や吐き気、筋肉の引きつりなども起こります。

もし、水分はたくさん取っているけれども、ちょっと体調が悪いなと感じたら、水やお茶の代わりにスポーツドリンクを飲んでみてください。

ただし、スポーツドリンクには大きく分けて『アイソトニック飲料』と『ハイポトニック飲料』の2種があります。

アイソトニック飲料は、ポカリスエットなどに代表される糖質濃度の高いスポーツドリンクです。運動時には水分だけでなく、エネルギー源である糖質を補給する必要があるため、糖質濃度を高くしています。また、アイソトニック飲料は、浸透圧を人の体液の浸透圧と同じくらいにしています。

一方のハイポトニック飲料は、糖質の濃度が低いスポーツドリンクです。そして、浸透圧を人の体液よりも低くしているため、水分が腸管で素早く吸収されます。運動時の水分補給や発汗量が多い夏場などに向いているスポーツドリンクです。ですから、熱中症予防にはハイポトニック飲料をオススメします。

ちなみに、熱中症などの激しい脱水症状のときに勧められているOS-1などの『経口補水液』もハイポトニック飲料に分類されています」

■同じように見えても成分はかなり違っている

スポーツドリンクには、エネルギーも一緒に取りたいときのアイソトニック飲料と、素早く水分を補給したいときのハイポトニック飲料があることがわかったが、コンビニやドラッグストアなどではさまざまな種類のスポーツドリンクを売っている。

それぞれどう違うのか。管理栄養士と健康運動指導士の資格を持つ盛岡良行(もりおか・よしゆき)氏が教えてくれた。まずはアイソトニック飲料から。

アイソトニック飲料(左から)ボディメンテ(大塚製薬)[500ml]、グリーンダ・カ・ラ(サントリー)[600ml]、アクエリアス(日本コカ・コーラ)[500ml]、ポカリスエット(大塚製薬)[500ml]アイソトニック飲料(左から)ボディメンテ(大塚製薬)[500ml]、グリーンダ・カ・ラ(サントリー)[600ml]、アクエリアス(日本コカ・コーラ)[500ml]、ポカリスエット(大塚製薬)[500ml]

「スポーツドリンクと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、『ポカリスエット』でしょう。ポカリスエットは糖質が100ml当たり6g以上入っているので、かなり甘みを感じると思います。

また、糖質が高めということはカロリーも高いので、エネルギーを必要とする人にはいいかもしれません。逆に言えば、カロリーを抑えたい人はほかのスポーツドリンクのほうがよいでしょう。

『アクエリアス』の糖質は4.7gで、ポカリスエットよりも少し低めですが、それ以外の成分には大きな違いはありません。ですから、飲んだときにアクエリアスのほうが少し甘さが控えめでスッキリした味に感じるかもしれません。

『グリーンダ・カ・ラ』の糖質も4.4gとアクエリアスとほとんど変わりません。また、100ml当たりアミノ酸が1~10㎎、クエン酸が25㎎含まれていますが、効能的には味つけくらいの量のように思います。クエン酸を入れるとサッパリしたレモンのような味になりますし、アミノ酸はうまみを出すときに入れたりします。

『ボディメンテ』も糖質はほぼ一緒で、乳酸菌が入っているのが大きな特徴です。乳酸菌によって体のコンディションを整える作用があるということです」

アイソトニック飲料にそれほど大きな違いはないようだ。では、ハイポトニック飲料はどうだろう。

『ラブズスポーツ』『スーパーH2O』『イオンウォーター』の成分はほとんど一緒です。どれも糖質が2.7ml3.4gと低めです。それだけ浸透圧が低く、水分を早く吸収できます。ちなみに、ハイポトニック飲料は糖質がおよそ0~3%(100ml当たり4g未満)のものをいいます。

ハイポトニック飲料(左から)アクエリアスゼロ(日本コカ・コーラ)[500ml]、VAAM(明治)[500ml]、イオンウォーター(大塚製薬)[500ml]、スーパーH2O(アサヒ飲料)[600ml]、ラブズスポーツ(キリン)[555ml]、アミノバリュー(大塚製薬)[500ml]ハイポトニック飲料(左から)アクエリアスゼロ(日本コカ・コーラ)[500ml]、VAAM(明治)[500ml]、イオンウォーター(大塚製薬)[500ml]、スーパーH2O(アサヒ飲料)[600ml]、ラブズスポーツ(キリン)[555ml]、アミノバリュー(大塚製薬)[500ml]

『アミノバリュー』も糖質が3.6gと低めですが、100ml当たりクエン酸が450㎎、アミノ酸(BCAA=バリン、ロイシン、イソロイシンの総称)が800㎎とかなり多く含まれているのが特徴です。

BCAAを多く取ると運動時の疲労がやわらぐといわれています。そのため、マラソンなどの持久系スポーツをするときに飲むと効果的です。

ただ、ほかのハイポトニック飲料よりも味が少し劣るかもしれません。というのも、BCAAはもともと強い苦みがある原料だからです。それを柑橘系の香料を入れて飲みやすくしています。

それでも、成分的にスペックが一番高いのがアミノバリューです。そして、そのぶん、値段も高くなっています。

『VAAM』『アクエリアス ゼロ』は、糖質が0.72gと0.7gでほとんどなく、カロリーも0となっています。体脂肪を気にしている人にはいいかもしれません。ただ、そのぶん人工甘味料で味つけされています。

それに100ml当たり2~3gの糖質が入っていたほうが水分の吸収率がよくなります。従って、水分補給のことを考えると『ラブズスポーツ』『スーパーH2O』『イオンウォーター』のほうがオススメです」

最後に経口補水液はどうだろう。

『OS-1』『アクアサポート』は似ていて、『OS-1』は食塩相当量が0.292g入っています。ほかのスポーツドリンクは0.1g程度なので約3倍です。また『アクアソリタ』は0.2gと2倍です。アクアソリタは経口補水液の中でも塩分が少なめなぶん、飲みやすさを優先していると思われます。

経口補水液(左から)アクアソリタ(味の素)[500ml]、アクアサポート(明治)[500ml]、OS-1(大塚製薬)[500ml]経口補水液(左から)アクアソリタ(味の素)[500ml]、アクアサポート(明治)[500ml]、OS-1(大塚製薬)[500ml]

ですから、熱中症やインフルエンザ、コロナで吐いてしまったときなどにベストなのは『OS-1』や『アクアサポート』です。『アクアソリタ』は、その手前の予防的な役割かもしれません」

ちなみに、糖質が低いほうが吸収がいいからとアイソトニック飲料を水で薄めて飲むのは好ましくないという。

「経口補水液以外のスポーツ飲料は、アイソトニック飲料もハイポトニック飲料も食塩相当量は100ml当たり0.1g程度に設定されています。その状態で仮に半分に薄めると塩分も半分になるので、本来の役割であるミネラル補給ができなくなります。

ですから、ポカリスエットを薄めて飲むよりも、イオンウォーターなどのハイポトニック飲料をそのまま飲んだほうがいいでしょう」

今回紹介した商品以外にもスポーツドリンクはたくさん発売されている。その中でハイポトニック飲料を見つけたい場合は「炭水化物(糖質)が100ml当たり2~3gのもの」を選ぶといいそうだ。

スポーツドリンクは飲みすぎると糖分や塩分の過多になるので注意が必要だが、大量に汗をかいたときなどは、ハイポトニック飲料で水分と塩分を素早く吸収するのがいいかもしれない。