記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。この連載では平成レトロ時代に忘れられ、記憶の底に埋没しがちな遺産を、皆さんと一緒に掘り返していきます。
さて、皆さんはスウィーティーという果物を覚えているでしょうか。90年代後半に新フルーツとして突如登場し、ガムや飲料にと商品展開されました。そのスウィーティガムが「平成レトロ」として久々に復刻......というわけで、今回は私が思い入れのある平成ガムを紹介したいと思います。
今や若者のガム離れが叫ばれ、ガムの売られる範囲は目に見えて減少しています。平成前半頃は、そこら中にガムが吐き捨てられ、歩道は満天の星かと思うくらいガムだらけ。ある意味、平成を象徴する風景である〝ガムだらけのアスファルト〟がどこかに現存していたら、一部を切り出して博物館に展示したほうがいいかもしれません。
話を戻しますと、復刻されたのはスウィーティだけではありません。後にアムラー旋風を巻き起こす安室奈美恵さんがスーパー・モンキーズ時代に歌った『愛してマスカット』がCMソングのマスカットガムも同時に復刻。味とカルチャー面で平成を象徴するガムが再び味わえてしまうのです。
また、近年ロッテは昭和からのロングセラーだったクイッククエンチ-Cなども復刻しているので、個人的には香水ガムEveも復刻してほしいところ。ちなみにネット検索すると韓国ロッテでは売られているようですが。
そして、iMacのキャンディカラーが話題になった頃、その影響を受けたけど、あめではなくガムになったiGumという珍しい商品までありました。こちらはパッケージからガムが透けています。
その後はキシリトール配合のガムが流行し、ボトルタイプの容器も登場しました。昭和末期からクロレッツやキスミントなど清涼系ガムが登場し平成を駆け抜けましたが、それらの後にはフリスクやミンティアなどタブレットが主流になりました。令和の今こそ、明治時代から続く仁丹を使い続けましょう!
●山下メロ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある