記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。この連載では平成レトロ時代に忘れられ、記憶の底に埋没しがちな遺産を、皆さんと一緒に掘り返していきます。
さて、阪神タイガースがアレしました。いや、もうアレと呼ぶ必要もありません。優勝おめでとうございます。
今回は優勝を祝しまして、私がタイガースから思い出される平成レトロなアイテムを振り返ります。それはインターネットがダイヤルアップ接続から、より高速なADSLに移行する時代に配布されていたプロバイダーの入会用CD-ROMです。
インターネットに接続するために必要となるのがプロバイダーとの契約です。インターネットが普及していく90年代後半にはさまざまなプロバイダーが登場してユーザーの獲得合戦が勃発。パソコンを買うと入会用アプリがインストール済み、雑誌の付録は入会用ROMが定番でした。
あの手この手でアプローチしていたのですが、その中でも特に重要だったのが家電量販店で無料配布されていた入会用ROMです。厚紙でROMを挟み込んだ簡素な造りのものが多く、今ではなじみのないプロバイダーブランドや、タレントさんを発見することができます。
現在、これらのROMからは契約できず、残しておく意味もないのですが、当時を思い出して懐かしい気持ちになれるアイテムです。
これらはパソコンに入れるだけで簡単に契約できることから、各社でその差別化が激化しました。例えば、AOLは、まさにインターネットでの出会いをテーマにした映画『ユー・ガット・メール』をはじめ、話題の映画とコラボ。パソコンで予告編が見られるといったオマケをつけていました。
そして、タイガースのアレも存在していました。それが球団公認プロバイダー「Tigers-net.com」の入会用ROMです。入会するとメールのドメインは【@Tigers-net.com】が利用でき、さらに会員限定のコンテンツやグッズのプレゼントまで用意されるファンにはたまらない内容。あかん入会してまう......。
●山下メロ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある