美唄焼き鳥(北海道)美唄焼き鳥(北海道)
秋分の日も過ぎて行楽シーズンがやって来た! 気温も下がり、「ふらっとひとり旅でもしたいなあ」と思う季節だ! そこで5ジャンルの旅のプロにそれぞれの楽しみ方を教えてもらった! 今回はひとりで行くグルメ旅を紹介する。【この秋に必ず行っておきたい!男のふらっとひとり旅・グルメ編】

■旅費を抑えてグルメにかける!

今、ご当地グルメは花盛りだ。旅に出るのなら、その土地のおいしい料理を食べてみたい。いや、その土地のおいしい料理を目的に旅に出るのもいいだろう。

そこで、フードジャーナリストのはんつ遠藤氏に、グルメ旅の楽しみ方とオススメのご当地グルメについて教えてもらった。

「ご当地グルメが圧倒的に多いのは北海道です。やはり土地が広いので何回行っても楽しめます。逆にグルメ的に微妙なのは大阪。たこ焼きやお好み焼きなどのご当地グルメがすでに全国区になっています。すると東京でもおいしいたこ焼きが食べられてしまうんです。

ですから、グルメ旅ならやはり、その土地でしか食べられないものを食べたくなる。僕の場合は、『埼玉県でひたすらうどんを追求している人』など、ご当地系のユーチューバーさんやブロガーさんの情報を頼りにしています。すると、千葉県館山市には『くじらのたれ』(クジラの肉をタレに漬け込んで干したもの)があるとか、山梨県中央市には『青春のトマト焼きそば』があるなどいろいろ知ることができるのです」

今治の皮焼き(愛媛県)今治の皮焼き(愛媛県)
――グルメ旅で大事にしていることは?

「僕はできるだけ交通費を安くして、その分、グルメにお金をかけることです。例えば『青春18きっぷ』は、春、夏、冬の学生の長期休みと重なる限定期間に、全国のJR全線の普通電車と快速電車が5日分、1万2050円で乗り放題になります。1日当たり2410円です。この期間は確実にグルメ旅行に行きます。

また、50歳以上の人は『大人の休日倶楽部パス』がオススメです。入会が必要ですが、新幹線を含むJR東日本の電車が期間限定4日間乗り放題で1万5270円。1日当たり約3900円です。

さらに、LCC(格安航空会社)が、例えば『片道1000円で好きな行き先に行ける』などのセールをやっているときがあります。不定期で座席数が少ないので、日頃からLCCのサイトをチェックしている必要がありますが、これを使えば、成田から石垣島まで低価格で行くことも可能です。

また、宿泊費も『楽天トラベル』や『じゃらんnet』などで検索して、安い宿を探しています。交通費や宿泊費を安くあげれば、予算的に1回しかいけないところを2回行くことができますから」

室戸の金目丼(高知県)室戸の金目丼(高知県)
――では、オススメのご当地グルメを教えてください。

「今、地方のご当地グルメは、焼き鳥が注目されています。中でも一番オススメなのが北海道美唄(びばい)市の『美唄焼き鳥』です。皮や内臓、卵(キンカン)などさまざまな部位が一本の串に刺さっている全国的にすごく珍しい焼き鳥です。美唄は札幌から特急で35分程度の場所なので、LCCのセールで新千歳まで行ければ、かなりお安く旅行ができます。

同じ焼き鳥ですが、こちらは串に刺さっているのではなく、お皿に盛られている『皿焼き鳥』です。今、焼き鳥は『串焼き鳥』と『皿焼き鳥』に大きく分かれていて、皿焼き鳥は愛媛県今治(いまばり)市『今治の皮焼き』がオススメです。鶏の皮を鉄板に乗せ、大型の鉄のコテを押し当てながら焼きます。カリカリとした皮が香ばしい焼き鳥です。

ちなみに、美唄焼き鳥も今治の皮焼きも全国7大ご当地焼き鳥のひとつに数えられています(ほかに北海道室蘭市、福島県福島市、埼玉県東松山市、山口県長門市、福岡県久留米市がある)。

個人的になかなか食べる機会がなく"死ぬまでに食べておきたい"と思ったグルメがあります。それが高知県室戸市『室戸の金目(きんめ)丼』です。室戸は金目鯛の漁獲量が西日本1位(全国2位。全国1位は静岡県下田市)で、高価な金目鯛をふんだんに使った丼が1800円くらいで食べられます。これは超お得です。金目丼を食べに室戸に行くなんて、ちょっとぜいたくな旅ですよね。

そして、もうひとつが長崎県平戸(ひらど)市の『平戸牛(ひらどぎゅう)』。平戸は、1200年ほど前から黒毛和牛の産地として知られていて、長崎空港から車で2時間くらいの場所にあります。この大自然の中で育った平戸牛は、和牛のオリンピックといわれる『全国和牛能力共進会』の第10回大会の肉牛の部で日本一に輝きました。但馬(たじま)牛や松阪牛にも引けを取らない和牛です。ただ、生産量が少ないためとても希少です。

最後は静岡県浜松市の『うなぎの刺し身』。うなぎの血には、下痢や吐き気、呼吸困難などを起こす有毒物質が入っているので、なかなか刺し身にはできないんです。でも、浜松にはうなぎの血を除去する技術を持っている料理人がいて、刺し身が食べられます。

見た目は白身魚のようで、味は淡泊だけれども少し脂が乗っていて、秋刀魚(さんま)の刺し身に近いと思います。

値段は、やはり少し高めですが、うなぎを刺し身で食べる機会はなかなかないので、死ぬまでには食べておきたいグルメのひとつだと思います」

平戸牛(長崎県)平戸牛(長崎県)
1ヵ所でいろいろなグルメが食べられる場所はある?

「それなら北海道根室市です。根室にはケチャップライスまたはバターライスにポークカツをのせてデミグラスソースをかけた『エスカロップ』、カレー風味の焼き飯に柔らかい牛ハラミがのって、コクのあるデミグラスソースがかかった『オリエンタルライス』、ご飯の上に豚バラ肉、ナポリタン、目玉焼き、キュウリなどがのっている『パンチライス』、ケチャップライスにミートボール風の肉がのった『ビドックライス』、ライスの上にトンカツをのせ、野菜炒めをのせた後、目玉焼きまたは生卵をトッピングした『スタミナライス』があります。まさに一度で5回おいしい場所。1泊2日で全品制覇を目指しましょう」

食欲の秋だから、グルメ旅を満喫するのもいいのでは。

浜松のうなぎの刺し身(静岡県)浜松のうなぎの刺し身(静岡県)
【フードジャーナリスト・はんつ遠藤氏オススメのご当地グルメ】

・美唄焼き鳥(北海道) 
ひと串にさまざまな部位が入っている焼き鳥

・今治の皮焼き(愛媛県) 
鉄板の上で大きなコテで押さえて焼く焼き鳥

・室戸の金目丼(高知県) 
高級魚金目鯛の刺し身をふんだんに使った丼

・平戸牛(長崎県) 
柔らかく甘みのある肉。幻の和牛と呼ばれている

・浜松のうなぎの刺し身(静岡県) 
かば焼きや白焼きではなく、刺し身で食べる

(写真提供/はんつ遠藤氏、公式X[旧Twitter]は【@hantsendo】)