記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。この連載では平成レトロ時代に忘れられ、記憶の底に埋没しがちな遺産を、皆さんと一緒に掘り返していきます。
さて、悲願のアレを達成した阪神タイガースですが、実はこの連載と同じく〝平成レトロ〟を掲げてグッズ展開をしているのです。
ガラケー時代のデコ画・メル画といった待ち受け画像風のデザインを採用したアクリルキーホルダーやステッカーなどがあり、最近では阪神タイガース仕様のプロフィール帳まで発売しています。
しかも選手直筆のプロフィールページを販売するほど平成文化への強いこだわりを感じる製品群となっているのです。というわけで、今回はプロフィール帳の歴史を振り返りたいと思います。
プロフィール帳とは、友達のニックネームや生年月日、好きな〇〇などの自己紹介を記入する用紙をバインダーでまとめたもので、用紙を友人と交換できるアイテムです。
かつてはサイン帳とも呼ばれ、平成初期頃までは実際に友人のサインを集め、自由に使えるノートという感覚で普及。そこに「名前」「ニックネーム」「血液型」など個人情報の記入欄が追加され、表面はプロフィール欄、裏面はフリー記入欄といった構成が増えてきたのです。
記入した用紙をバインダーから外してクラスのみんなに配る〝プロフィール交換〟は、平成初期のクラス替えや卒業式の恒例行事となっていました。各社さまざまにデザインや設問が工夫され、それぞれに書くのが楽しみでもあったのです。
平成中期頃からプロフィール帳と呼ばれるようになり、特になんでもないときにも書いてもらうほど日常的なアイテムへと変わっていきました。デザインも縦長で、項目にも携帯電話の番号やインターネットのメールアドレス欄が増えたりしています。
そして、プロフ帳は進化を続け、現在も売られています。今ではプロフィールにSNSのID、さらに「推し」の記入欄まであったりします。SNSが普及する前に、SNS的な役割を担っていたプロフ帳。今こそ記入して配ってみてはどうでしょうか。
●山下メロ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある