米『ニューヨーク・タイムズ』の記事で今、世界中が山口市に注目している! しかし、多くの日本人は山口市、そして山口県の本当の魅力を知らない。そこで、地元出身者に世界に紹介できる観光地&グルメを教えてもらった!
■グルメなら、瓦そば、ばりそば、ごぼう麺!
米『ニューヨーク・タイムズ』紙の「2024年に行くべき52ヵ所」で、4月に皆既日食が見られる北米大陸、今夏にオリンピックが開催されるフランス・パリに続いて日本の"山口市"が3番目に紹介された。
多くの人は「なぜ山口市が?」と思うだろう。ニューヨーク・タイムズの記事では、日本三大名塔のひとつで国宝の瑠璃光寺五重塔(るりこうじごじゅうのとう)や湯田(ゆだ)温泉街などが取り上げられていたが、ほかにもきっと僕らが知らない魅力的な場所があるはずだ。
そこで、山口県出身の有名人の方々に「本当に行っておくべき山口市の、さらには山口県のオススメスポット&グルメ」を聞いた。
まず、山口市出身で現在も山口市内に住むお笑い芸人のぶるぼんさん。
「今回、ニューヨーク・タイムズに瑠璃光寺五重塔を紹介していただいたんですけど、実は約70年ぶりの全面改修工事中なんですよ。だから、五重塔は見られません。本当にすみません。ただ、逆に言えば全面改装工事中の五重塔はとても貴重です。ぜひ、この貴重な五重塔の改修工事をご覧ください。
代わりといってはなんですが、僕の個人的なオススメの神社は『鰐鳴八幡宮(わになきはちまんぐう)』です。200mくらい続く参道は桜並木になっていて、春には桜の花が咲き誇ります。また、秋には参道の両脇に植えられている彼岸花が彩ります。この時期の鰐鳴八幡宮はとてもきれいなんです。
また、室町時代の画家で禅僧の雪舟(せっしゅう)が造ったといわれる『常栄寺・雪舟庭』や『山口サビエル記念聖堂』などもオススメです。
ちなみに、山口市の人はザビエルではなくて、サビエルと呼んでいます。表記もすべてサビエルです。なぜかは、わかりません(編集部注:市役所によると、山口にザビエルが滞在していたことで独自に研究が進み、研究者がサビエルの名称を使っていたのが定着したとのことです)。
あと、カップルで山口にお越しの場合は『一の坂(いちのさか)ダム』がいいんじゃないでしょうか。とても静かな場所です。とても静かな場所なので、僕はここで昔、彼女とチューしたことがあります。これは、あまり関係ない情報ですね(笑)。
グルメだったら『ばりそば』。皿うどんに似ているんですが、かかっているアンがサラッとしているんです。小学生の頃、給食でも出たことのある山口市のソウルフードです」
次は山口市ではないが、山口県光市出身のお笑いコンビぺこぱ・松陰寺太勇(しょういんじ・たいゆう)さん。
「どーもー、松陰寺太勇です。ニューヨーク・タイムズ、山口を見つけてくれて、どうもありがとう。いつかバレると思っていたが、ようやくその時が来たようだな。さあ、山口を世界に知らしめよう!
実は僕、今、山口で『ぺこぱのぱこぺ』(毎週土曜9時30分~、山口朝日放送)という冠番組をやっているんです。それで山口市内のおいしいお店をたくさん知っています。
まず、山口県といえば、やはり『瓦そば』ですね。熱々の瓦の上に茶そばや牛肉、錦糸卵がのっている料理です。山口市内でおいしい瓦そばを出すのが『柳屋(やなぎや)山口 一の坂川店』。でも、ここは『みたらし団子』もうまいんです。
だから、瓦そばを食べてからカウンターでみたらし団子を買って、店の前を流れている一の坂川の川縁に座って食べる。これが最高なんです。ここはまだニューヨーク・タイムズにはバレてないですね。もし、バレたら3位じゃなくて1位になっていたかもしれない。
あとは、和菓子屋さん『山陰堂』の『名菓舌鼓(めいかしたつづみ)』。お饅頭(まんじゅう)なんですが、ふわっふわで、しっとりしていて、赤ちゃんのほっぺよりも柔らかい。
白い求肥(ぎゅうひ)に白餡(あん)が入っていて、とろけるような甘さなんです。お土産に最適じゃないでしょうか。これもまだニューヨーク・タイムズにはバレていないでしょう。バレたら山口市は殿堂入りですよ。
それで、山口市がバレたら、山口市以外もどんどんバレていくでしょ。僕が育った山口県光市には『虹ケ浜』という海岸があります。瀬戸内海なので波が低くて遠浅で、潮が引いているときには膝下くらいになって、本当に海をかなり沖まで歩いていけるんです。水もキレイで、海底の砂の模様が見えるくらいです。
そして、夕日が山に沈む景色もキレイで、夕方に遠浅の虹ケ浜を歩くのは最高です。ここもニューヨーク・タイムズにバレちゃったら大変なので本当は言いたくないんですが、今回は特別に教えちゃいましょう。
最後は秋吉台の『安富屋(やすとみや)』です。ここの『ごぼう麺』がめちゃくちゃおいしい。ゴボウの唐揚げがのっているうどんなんですが、麺にもゴボウが練り込んであるんです。海外の人にも受ける食感だと思うので、ラーメンの次はごぼう麺を世界に発信しましょう」
■肌がツルツルになる湯田温泉は必須!
そして、次は山口県田布施(たぶせ)町出身のお笑い芸人・松村邦洋さん。
「今は海外から日本に来る観光客が多いようですが、やはり東京や京都などの観光地は混雑しているので、"西の京"と呼ばれる山口市を『今年行くべき場所』に選んでくれたのはうれしいですね。
そして、山口市といえば室町時代に栄えた『大内文化(おおうちぶんか)』です。室町時代に周防(すおう)・長門(ながと)の守護大名だった大内弘世(おおうち・ひろよ/大内氏24代当主)が京都を模した街づくりをし、その後、明との貿易をしていたことから明の文化の影響を受けて独自の文化が発展していきました。
その大内文化を代表する建築物が瑠璃光寺五重塔や雪舟庭です。だから、今、五重塔が改装中なのは残念ですね。
実は、うちのご先祖さまが大内家に仕えていたんですよ。ただ、足軽だったらしいですけどね。
山口のグルメといえばやはり瓦そばですよね。下関が発祥の地で、西南戦争のときに薩摩軍の兵士が瓦を使って肉や野菜を食べたという話を元に開発されたといわれていますが、僕も子供の頃、うちの屋根の瓦が熱くなって『これで卵焼き作れないかな』と思ってましたよ。考えることは一緒ですね。だから僕は、今でも瓦そばが大好きです。
山口市を中心にして、県内のいろんなところに足を延ばしてもらいたいですね。例えば、僕の実家のお隣の『柳井市の白壁の町並み』。国の重要文化財に指定されている江戸時代中期に建造された商家も残っています。
あと、木村拓哉さん主演のドラマ『HERO』のロケが行なわれた下関市の『角島大橋(つのしまおおはし)』もいいですよね。それから長門市の『元乃隅神社(もとのすみじんじゃ)』。岸壁に赤い鳥居が123基連なっているんです。日本海が一望できる絶景スポットでもあります。この岸壁に片平なぎささんが、サスペンスドラマのロケで来てくれませんかねえ」
そして、昨年、週プレの表紙も飾ってくれた山口県周南(しゅうなん)市出身のグラビアアイドル。澄田綾乃(すみだ・あやの)さん。
「山口市が3位に選ばれたというニュースを知ったときは、『下関市や萩市じゃないんだ。山口市なんだ!』と思いました。でも、山口市は人で混雑しているわけでもなく、とてもゆったりした空気が流れている場所なので、日本の美しさをじっくり体験するには最適なのかなと思い直しました。
山口市でぜひ、行ってほしい場所は『湯田温泉』です。湯田温泉はアルカリ性が高く、クレンジング効果があるので『美肌の湯』と呼ばれているんです。私も地元に帰ったときはお母さんとよく湯田温泉に行きますが、本当にお肌がツルンツルンになるんです。約800年前から存在していて、疲労回復効果もあるので、ぜひ、入ってみてください。
市外に足を延ばすなら『秋芳洞(あきよしどう)→カルスト台地→サファリランド→秋芳白糸の滝』の秋吉台ルート。このコースは大好きで、高校生のとき、月に2回は行ってました。
岩国市なら『錦帯橋(きんたいきょう)』もいいのですが、錦帯橋のそばにある100種類以上のソフトクリームを売るお店『むさし』がオススメです。私は挑戦できないタイプなので、いつもバニラや巨峰味を食べていますが、皆さんはぜひ、いろんな味に挑戦してほしいです。
それから『いろり山賊 玖珂(くが)店』にもぜひ行ってほしいです。オススメは若鶏の脚肉を丸ごと炭火で焼いた『山賊焼』と、梅・サケ・昆布の3種類の具が全部入っている『山賊むすび』です。私は岩国に遊びに行ったときには、このふたつを買って車の中で食べながら帰ります」
そして、最後は山口市長の伊藤和貴(いとう・かずき)氏。
「(ニューヨーク・タイムズの今年行くべき場所に選ばれて)突然の朗報に本当に驚いています。私たちが日頃、慣れ親しんでいる、西の京ならではのまちのたたずまいや食文化、まちなか温泉の湯田温泉など、本市が有するさまざまな地域資源の豊かさが評価いただけたものと、大変うれしく思っています。
(絶対に見てほしい観光地は)『国宝・瑠璃光寺五重塔』と『山口サビエル記念聖堂』。そして中原中也記念館が所在するまちなか温泉として名高い『湯田温泉』。(絶対に食べてほしいグルメは)わらび粉で作る絶品の『ういろう』と、地酒にもよく合う山口県ならではの山と海の幸です」
山口県知事の村岡嗣政(むらおか・つぐまさ)氏が「山口の魅力に、ようやく世界が気づき始めたな!」と語っていたように、今年は世界中で山口ブームが起きるかもしれない。外国人観光客であふれる前に、早めに山口に行っておくのも悪くはないだろう。