どうすれば蚊に刺されなくなるの? 刺されたときはどうすればいいの? どうすれば蚊に刺されなくなるの? 刺されたときはどうすればいいの?

今年は「蚊」が大量発生するらしい。しかも、例年よりも活動が早いというのだ。どうすれば蚊に刺されなくなるのか。刺されたときはどうすればいいのか。最新の蚊への対処法を専門家に聞いた!

* * *

■除菌シート、扇風機で蚊から身を守れ!

今年は5月から、最高気温が25℃を超える日が日本各地で増えている。

「25℃になると蚊は活動が活発化するんです」

そう教えてくれたのは『蚊が脳梗塞を治す! 昆虫能力の驚異』(講談社+α新書)などの著書があるヤマザキ動物看護大学の長島孝行教授だ。

「蚊は15℃くらいから活動を始めて、25℃前後で活発化し、35℃以上になると、暑さのため活動を休止します。

昔は蚊というと夏の風物詩だったのですが、最近は気候変動の影響などで気温が上がり、5月、6月から蚊による吸血被害が出ています。さらに、気象庁の長期予報によると、今年は暖かく湿った空気が流れ込みやすいということで、湿度が高くなると蚊の発生する場所が多くなります。

ですから、今年は6月くらいから蚊が活発化して大量に発生し、10月、11月くらいまで被害に悩まされるのではないでしょうか」

逆に言うと、気温が高い8月、9月は被害が少ない?

「いや、8月、9月も朝晩は25℃くらいになることもあるので、朝晩に被害が集中すると思います」

そもそも、なぜ、蚊は血を吸うのでしょうか。

「蚊は普段は花の蜜を吸っています。しかしメスは交尾を終え、産卵期になるとたくさんの卵を育てるためにタンパク源が必要になります。そのために高タンパクの血液を吸うようになったのです。

メスの蚊は人間の皮膚を刺すとまず唾液を出します。この唾液は血液をサラサラにします。蚊の細いストローのような口では血がドロドロだと吸いにくい。だから、サラサラにするのですが、この唾液が痒みの成分となるのです。

しかし、血液を吸っておなかがいっぱいになると自分が出した唾液をほとんど回収してくれます。だから、血を蚊がおなかいっぱいになるまで吸わせると痒みは少なくなるんです。

逆に血を吸っている途中で叩いて潰してしまうと、唾液が逆流してしまいます。だから、痒みの成分がたくさん残ってしまうんです。ちなみに、蚊が血を吸っている時間は、だいたい1、2分です」

1、2分は長いです。

「待てなかったら、潰すのではなく軽く手で払ってあげてください。そのほうが痒みは少なくなります」

蚊に刺されやすい人って、いるんですか?

「蚊は汗のにおいや二酸化炭素のにおいが大好きなんです。ですから、スポーツの後や汗をたくさんかいている人、お酒などを飲んで代謝が高くなって二酸化炭素をバンバン出している人は刺されやすい。

あと、部位で言うと足です。足には常在菌という菌がたくさんいます。その菌のにおいに反応します。ですから、スニーカー用ソックスよりも足首まである長い靴下をはくことをオススメします。

また、色で言うと蚊は黒い色に集まりやすいので、できるだけ白っぽい服を着たほうがいいでしょう」

ほかに蚊に刺されないようにするための方法は?

「やはり蚊よけスプレーみたいなものを吹きかけるのが一番効果的ですが『そんなの面倒くさいよ』という人もいるでしょう。その場合は、コロナ禍のときに持ち歩いていた除菌シートで首や手首、足首を拭く。これだけでかなりの効果があります。

除菌シートも持っていないという人は、水で洗うだけでもいい。水で洗うと常在菌のにおいが飛ぶんです。そうした、ちょっとした心がけでだいぶ変わります。

それから、最近はハンディタイプの扇風機を持って顔に風を当てている人も多いですよね。実は蚊は風にすごく弱いんです。あれくらいの微風であっても飛べなくなってしまう。

だから、家の中にいるのなら、蚊取り線香をつけるのもいいですが、扇風機をつけておくのも蚊に刺されないひとつの方法になります」

今年は蚊が大量発生するという。何か防ぐ方法はないのか?

「蚊は3㎜程度の水たまりがあれば産卵します。例えば、ベランダにある植木鉢の受け皿や空き缶、置きっ放しにしたタイヤなどがあると、そこに雨水がたまって、蚊にとって最高の産卵場所になります。

蚊は産卵から10日くらいで成虫になるので、1週間に1度、部屋の中や家の近くにあるたまり水を捨てたり、キレイに拭き取ったりしましょう。それだけで蚊の発生はだいぶ抑えられます。

蚊は遠くからやって来るイメージがあるでしょうが、実は数mくらいしか移動できません。獲物が近くに来るのを待っているんです。ですから、近くの蚊の発生源を減らすことができれば、蚊に刺される可能性も減らすことができるでしょう」

それでも、蚊が近くにやって来たら?

「蚊は皮膚に止まろうとする直前に上下運動をします。ですから、そのときに手を上下にしてパチンと挟む。左右から潰そうとすると上下に逃げてしまうのです」

蚊に刺されたくらい大したことないと思いがちだが、蚊がウイルスを媒介して感染症を起こす場合もある。

「欧米では、蚊が媒介する西ナイル熱が流行しています。アメリカでは数年前に数千人が感染して、数百人が死亡や重篤な状態になっています。

西ナイル熱に感染している訪日観光客の血を吸った蚊が、日本人の血を吸うことで感染する可能性があります。また、日本人が海外に行くことで感染する場合もあるでしょう。

こうした感染症を防ぐためには、蚊の発生源を少なくすることが、とても重要です」

今年は蚊の活動が早く、大量発生しやすいようなので、まずは自分の身の回りから、蚊の発生を食い止めよう。