植村祐介うえむら・ゆうすけ
ライター&プランナー。専門誌編集部勤務ののち独立。ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆を手がける。
厳しい日差しを遮ってくれる日傘。見るからに涼しげではあるが、実際に「熱中症対策」に有効だと、各種実験から明らかになってきている。
環境省は2018年の夏、日傘無料貸出イベントを開催した国内7会場のうち3ヵ所で日なたと日傘下でのWBGT(湿度、日射・輻射などの周辺の熱環境、気温を取り入れた「暑さ指数」、単位は℃)を測定した。
結果、日傘下ではWBGT測定値が3℃下がり、熱中症警戒レベルも「厳重警戒」から「警戒」に1段階下がった会場もあったという。
さらに同省は19年に「日傘の効果検証実験」も実施。これは人工太陽照明灯を設置した「人工気象室」内で健康な男性6人が、「遮熱日傘(日射を99%以上カットする日傘)」「通常日傘」「帽子」のそれぞれを使用・着用してウオーキングマシンを使った運動実験を行なうというもの。
運動前と比較すると、運動後の心拍数は帽子を基準にして通常日傘では18.7%、遮熱日傘では22.3%減少した。さらに、発汗などによる体重減少量も帽子を基準にして通常日傘では17.3%、通常日傘に比べて遮熱日傘では12.1%減少した。
つまり、これらの実験により、日傘の利用は体感温度を下げ、体温上昇と深く関わる心拍数の増加も抑制し、発汗量も低下させることが示されている。特に後者の実験での通常日傘と遮熱日傘との比較からは、「日傘の性能」が熱中症予防の大きなポイントであることは明らかだ。
そんなに効果があるのなら、ぜひ日傘を使いたいところだが、「男性向けの日傘」なんてあるのだろうか......。
「まったく心配無用です!」
そう語るのは、世界初の〝傘ソムリエ〟として活動する、土屋博勇喜(つちや・ひろゆき)氏だ。
「日傘というと、レース素材など『パステルカラーのかわいい日傘』をイメージされる方もいらっしゃると思います。
しかし、そうした晴天での使用のみで使用される日傘は、百貨店などごくわずかな店舗が取り扱うだけ。現在の主流は、日傘と雨傘の性能を両立させた『晴雨兼用傘』で、その多くがシンプルでユニセックスなデザインです。落ち着いた色合いのものもあり、男性でも豊富な選択肢から選んでいただけます」
では、選ぶポイントは?
「性能と機能です。熱中症予防で使うなら、UVカット率99.9%、遮光率99.99%、さらに遮熱効果もあるものがオススメです。差すだけで体感温度が和らぐものもありますよ。
色については、外側が白など淡色系、内側は黒など濃色系のものを選べば、傘の内側に熱がこもりにくいです。
機能面では、強風でもしなって受け流せるもの、すっきり畳みやすいように生地が加工されているもの、片手でワンタッチで開けるものなど、用途や好みに合わせて選べるようになっています」
なるほど! でもいろんな性能、機能はどうやって見分ければいいのだろうか?
「実は傘のこうした情報は、すべて下げ札(商品タグ)に書かれています。UVカット率や遮光率など、その製品のセールスポイントが詳しく載っているので、要チェックです。その上で、ぜひ商品を実際に手に取って〝体感〟してほしいですね。さまざまな製品の特徴や、大きさや重さも確認できますから」
どうしても日傘に抵抗のある男性もいると思うが......。
「男性の利用者は年々増えていて、もう人目が気になることは少ないかと思います。特に若い世代ほど日焼け予防などに意識的なので、日傘利用への抵抗は少ないでしょうね。今年の猛暑を契機に、男性の日傘利用はもっと一般的になると思います!」
暑さはこれからが本番。消防庁によると、昨年5月から9月の熱中症での救急搬送の累計は過去2番目に多い9万1467人。うち3万人近くが入院、死亡も107人で、全体の3割近くが道路や駐車場など屋外での発生となっている。
自分の命を守るために、この夏、日傘は「必携」だろう。
◆雨・太陽・風に対応したエントリーモデル!
【ZENTENKOU 折 55cm】
直径約97㎝の晴雨兼用折傘エントリーモデル。低価格ながらUVカット率99.9%、遮光率99.99%の十分な性能と、"たわみ"を許す構造と柔軟性あるポリカーボネートとグラスファイバー骨による耐風性など、好バランスが光る。価格:2200円。
◆長傘とは思えない持ち運びやすさ!
【ZENTENKOU 60cm】
ストレートハンドルの晴雨兼用長傘。調整できるストラップにより、手首に提げても傘の先端が地面に触れず、気を使わずかつスマートに持ち歩ける。骨はグラスファイバー製でしなやかに風を受け流す。価格:2970円。
◆驚異的に畳みやすい中級モデル!
【クイックシャット ライトUVブロック 折 55cm】
畳みやすさにこだわった、晴雨兼用折傘の中級モデル。生地裏面に貼りつけられた薄いパネルの効果で、傘を閉じると折り目が現れ、軽く巻くだけできれいに畳むことができる。約210gの軽量設計も特徴。価格:5390円。
◆表面温度マイナス40℃を実現した最上位モデル!
【COKAGE+木手元55cm ジャンプ折】
晴雨兼用折傘の最上位モデル。特殊3層ラミネート構造で業界トップクラスの遮熱性能と耐水圧2万7000㎜超を両立する「東レ サマーシールドⅡ」を採用。表面温度マイナス40℃(※)を実現した上に、一般のPUコーティング生地以上の耐久性も魅力。価格:8250円。
(※)第三者機関にて傘の上方から人工太陽照明灯による照射を30分間行ない、傘下に設置したマネキン頭部をサーモカメラで撮影。COKAGE+を差した状態と差さない状態で約40℃以上の違いがあった(製品HPより)。
ライター&プランナー。専門誌編集部勤務ののち独立。ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆を手がける。