いよいよ本格的な夏に突入し、アイツが暗躍する季節がやって来た! そう、地球上で最も嫌われていると言っても過言ではない生物のゴキブリだ。ちまたにはゴキブリ駆除にまつわる俗説があふれ返っているが、どれが本当なのか。その真偽のほどをゴキブリ駆除のプロに聞いてきたぞ!
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■ゴキブリにまつわる数々の俗説を検証!
10年に1度の猛暑といわれる今年の夏だが、気温が高くなるにつれて爆発的に繁殖するのが、地球一の嫌われ生物、ゴキブリだ!
「この殺人猛暑で、実はゴキブリと遭遇する確率が格段に上がる可能性があります」
こう話すのは、ゴキブリ駆除のスペシャリストで、「害虫獣SOS」代表の武田海史さん。
「寒さが苦手なゴキブリにとって、夏は非常に活動が盛んになる季節です。とはいえ、気温が30℃を超えると、さすがのゴキブリも過ごしづらくなります。すると、屋根裏や床下などに隠れていたゴキブリが、あまりの暑さに適温の部屋へ出てきて、遭遇する確率が上がるというわけです」
うぎゃ~っ! 絶対に会いたくない(涙目)。では、ゴキブリに遭遇しないためにはどうすればいいのか。世間でいわれているゴキブリ駆除にまつわる俗説の真偽を、武田さんに検証してもらった。
■日本の家屋に出るゴキブリは2種類!?
日本には約60種類のゴキブリがいるといわれるが、家屋に出るのはたった2種類だけだとか。
「これは本当です。体長3~4㎝のクロゴキブリと、体長1.5㎝前後のチャバネゴキブリです。一般家庭に出没するゴキブリの8割以上はクロゴキブリで、壁と壁の間や床下などに巣を作り、排水溝などを伝って部屋に侵入します。1年かけて成虫になり、寿命は約2年です。
もう一方のチャバネゴキブリは暖かい場所を好み、冷蔵庫や電子レンジの裏などに巣を作って繁殖します。約2ヵ月で成虫になり、寿命は5~7ヵ月と短めです」
ふむふむ。まずは敵の正体を見極めることが大切!
■排水管の隙間を紙粘土でふさぐ!?
一般的に、ゴキブリ対策で最も推奨されているのが、キッチンの排水管と床との隙間を紙粘土などでふさぐことだといわれています。
「ゴキブリ駆除で一番大事なことは、侵入経路を遮断することなんです。そういう意味では、最もゴキブリが入ってきやすいシンク下の排水管と床との隙間をふさぐ作業は非常に有効といえます。
ただし、これには盲点があって、多くの家庭の場合は排水管と床下の間に、板が1枚あったりするんです。なので、もし防除する場合は、板を剥がして根元の穴をふさぐことをオススメします」
ふぅ~、これでひと安心。
「安心するのはまだ早いです。エアコンのスリーブ穴などもしっかりふさぎましょう。そして、一番見落としがちなのが洗面台の裏です」
えっ、洗面台の裏?
「一般家庭の8割は、洗面台の鏡の後ろに照明用の配線があるんですね。その配線用の穴からゴキブリが侵入することも少なくないので、そこもしっかりとふさいでください」
■設置型の毒餌駆除剤が最強の対策!?
近年、手軽で効果が高いと大評判なのが、設置するタイプの毒餌の駆除剤。毒餌を食べたゴキブリが巣に戻ってから死に、その死骸やフンを食べたほかのゴキブリたちも一緒に殺してしまうという、いわば最強クラスのゴキブリ駆除剤だ。
「確かに効果はありますが、気をつけたいのは設置場所です。基本的には、シンクの下の排水管の周り、エアコンや換気扇、洗面台の近くなど、ゴキブリの侵入経路の可能性がある場所ですね。
ただ、ゴキブリが1匹も出ていない家であれば、防除目的でわざわざ置かなくてもいいかなとは思います。なぜなら毒餌の駆除剤を置くことで逆にそのニオイをかぎつけたゴキブリを誘引する可能性もゼロではないからです」
■猫がいる家庭は出にくい!?
昔からまことしやかにささやかれるのが「猫がいる家にはゴキブリは出ない」説。これって実際どうなの?
「これはあまり関係がないと思います。ただ、猫がゴキブリを食べているところを目撃したことがあるので、まったく影響がないとは言い切れません。反対に、猫の餌を出しっぱなしにしておくとゴキブリが誘引される可能性があるので、そこは気をつけてください」
■夏場はエアコンをつけっぱなしに!?
夏場のゴキブリ対策で、エアコンをつけっぱなしにして部屋の温度を下げればOKという俗説があります。
「確かに、室温が低いほうがゴキブリが出にくく、活動は鈍るのですが、普通にエアコンをつける分にはほとんど効果は見込めません。室温を10℃くらいに保てば話は別ですが、さすがに現実的ではないですよね(笑)」
確かに。ちなみに、「北海道にゴキブリはいない」という都市伝説もありました。
「まったくいないわけではないと思いますが、やはり東北より北の地域は極端にゴキブリが少ないです。寒さで生息しづらい上に、活発に動かない休眠状態になるので、遭遇する機会が大幅に減るからでしょうね」
■高層マンションには出ない!?
「侵入経路から遠ければ遠いほどゴキブリは出没しにくくなるので、マンションの高層階ほどゴキブリが出にくいのは本当です。
ところが、私が実際に駆除した中での最上階はタワマンの35階なんです。最初は依頼主が何かの荷物と一緒に持ち込んだのかなと思いましたが、キッチンの下を調べるとフンがびっしりあって、もう完全にすみ着いていたんですよ」
ひょえ~っ!
「なので、高層階のほうが出にくいのは事実ですが、まれにすみ着いてしまうケースもあるということです」
■1階が飲食店のマンションはヤバい!?
ちまたでは「1階に飲食店が入っているマンションは絶対に避けるべき!」というのもよく言われます。
「飲食店に出るゴキブリの大半はチャバネゴキブリです。厨房は一年中暖かくて餌や水にも事欠かないので、絶好のすみかになるんですね。
とはいっても、行動範囲が狭いので、移動したとしても隣の部屋か、2階の部屋くらいまで。ですから、1階が飲食店でも3階以上に住んでいる場合は、それほど心配する必要はありません」
そうなんですね。ほっ。
「しかし、客席でゴキブリを見かけた場合は要注意! 行動範囲の狭いチャバネゴキブリが客席まで出てくるということは、厨房はゴキブリであふれ返っている可能性が小さくないからです」
■タマネギのにおいが大好き!?
なんでも食べる雑食性のゴキブリが、最も好きといわれるのがタマネギ!
「これはかなり信憑性が高いです。ある飲食店に駆除に行ったとき、段ボール箱のタマネギを動かしたら、わっとゴキブリが出てきたことがありました。ご家庭に呼ばれて、タマネギの入った網の中でグルグル逃げ回るゴキブリを駆除したこともあります。
こういうことは、ほかの野菜ではほとんどありません。それくらいタマネギが好きなんでしょう。なので、夏場はしっかり冷蔵庫にしまって、切りくずは早めに捨てることです」
■死骸を掃除機で吸うと中で繁殖する!?
ゴキブリを殺虫剤で殺したものの、手で処理するのが嫌で掃除機で吸ったら、中で繁殖していたという恐ろしい伝説があります(驚)。
「可能性はゼロではないです。というのも、殺虫剤はゴキブリには効きますが、卵には効果がないんです。よって、メスが持っていた卵が、掃除機の中で孵化するケースはありえない話ではありません。いずれにせよ、早めのゴミ出しは必須です」
■1匹見かけたら100匹いると思え!?
ゴキブリの最大の都市伝説といえば「1匹見かけたら100匹いると思え」ですが、実際はどうなんでしょうか。
「これはゴキブリの繁殖力の高さを言っているんですね。例えば、クロゴキブリは1回につき約20個の卵を生み、約3週間で孵化します。産卵回数は一生に6~8回といわれていて、少なく見積もっても1匹のメスから100匹以上生まれる計算になります」
でも、すべてが成虫になれるわけではないですよね?
「はい。なので、1匹見かけたからといって、住居スペースにほかのゴキブリがいないことも考えられます。ただし、床下や天井裏はどうなっているかわからないよ、ということです。
ちなみに、見かけたゴキブリが成虫ではなく、小さめの子供だった場合は要注意です。その兄弟たちが近くにすみ着いている可能性が一気に高くなります」
ありがとうございました! ともあれ最良のゴキブリ対策は、侵入経路をふさいで、家の中を清潔に保つこと。それを肝に銘じて、ゴキブリとは無縁の快適な夏を!