「マジックマヨネーズ」をプロデュースした旅行作家の山下マヌー氏 「マジックマヨネーズ」をプロデュースした旅行作家の山下マヌー氏

2025年3月は、キユーピーのマヨネーズが誕生してからちょうど100年。それは日本で作られ、販売された"国産マヨネーズ"の100周年を意味する――なんとめでたい! 

ということで、週プレがマジで勝手にお祝い!「マヨをかけたら意外とうまかったもの」から「簡単にできるマヨレシピ」まで歴戦のマヨラーたちが語り尽くす!

マヨネーズは海外で生まれたが、「日本ほどおいしい国はない」と言うのは、旅行作家の山下マヌー氏だ。日本のマヨネーズにまつわる、こんなエピソードが飛び出した。【俺たちの「マヨ愛」を聞け!③】

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「10年以上前にニュージーランドに行ったときのこと。飛行機の隣の席には、こわもての日本人男性が座っていました。空港に着くと、彼がスーツの胸ポケットに手を入れて、緊張した面持ちでイミグレーションを通過していく。

ロビーには、日本人の女の子が迎えに来ていました。彼はその子の父親のようで、『今回はちゃんと持ち込めたよ』と言って、ポケットから日本のマヨネーズを取り出したんです。

それを見た娘は、『待ってたわ!』と大喜び。同国では卵製品の持ち込みは禁止されているのに、そんなリスクを冒すほど、日本のマヨネーズの味は格別なんです。逆に言えばおいしいマヨネーズがある国は、そう多くないんですね」

そもそも海外では、マヨネーズを目にする機会が日本ほど多くない。

「マヨネーズ発祥の地はフランスともスペインともいわれていますが、もともとは家で作るものでした。今でも欧州のレストランの多くでは、店で作った自家製のマヨネーズやドレッシングを使用しています。

スーパーなどでも買えますが、おいしくない。日本のマヨネーズは卵黄だけを使用しているので、クリーミーでマイルドなんですね」

山下氏は、そんな独自の進化を遂げた日本のマヨネーズと海外を結ぶクラフトマヨネーズを作るため、2017年に「SPICE & PEACE MAYONNAISE FACTORY」を立ち上げた。

「一説には、世の中に出回っているスパイスや香辛料の8割は発展途上の場所や国で生産され、消費されるのは主に豊かな国々だといわれています。私はいろいろな国を旅し、先々で多くの人に助けられてきました。

その恩返しとして、途上国の人々に何かできないか。そして思いついたのが、スパイスや香辛料をブレンドしたマヨネーズでした。大手でなくても作れるのだという、カウンターカルチャー的な意味合いも込めています」

山下マヌー氏がプロデュースしたスパイス配合のマヨネーズ「マジックマヨネーズ」 山下マヌー氏がプロデュースしたスパイス配合のマヨネーズ「マジックマヨネーズ」

ブランド名は「マジックマヨネーズ」。黒糖の一種のマウイシュガーやチリパプリカなど、さまざまなスパイスを配合した商品を展開している。

現在は日本国内のみでの生産だが、社名の「SPICE & PEACE」には、海外で生産して現地の人に商品を届けたいという思いが込められている。

「途上国の多くの人たちはマヨネーズの"幸せな味"をおそらく体感したことがないでしょう。でも、たとえ生活環境が悪くても、マヨネーズさえあれば、なんでもおいしく感じるはず。弊社のマヨネーズが彼らの幸せに少しでも貢献できたらと思います」

●山下マヌー(Manoue YAMASHITA)
旅行作家。海外渡航回数は350回超。海外に関する著作は60冊を超え、特に『気になるハワイ』(徳間書店)をはじめハワイ関連の著作は累計100万部を突破している

大橋史彦

大橋史彦

1977年生まれ。法政大学卒業後、編集プロダクションに勤務。2006年に中国に渡り、上海などで日本人向けフリーペーパーの編集に携わる。16年に帰国後は、ウェブメディアやビジネス誌での執筆、週刊誌での編集・執筆を行なっている

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