今回はAVバブルについておふたりがトーク! 

日本のAV35年史を、カン松さんとバク山さんのおふたりが振り返る『週刊プレイボーイ』本誌の連載企画。今回も90年代初頭のAV界のトピックスをテーマにトークをスタート!

―90年代初頭、ダイヤルQ2の人気が爆発し、社会現象にまでなったブルセラブームの影響で普通の女のコが続々とAV界へ流入したという。何をキッカケにAV業界に?

松尾 スカウトです。渋谷のスクランブル交差点を渡る女性に3、4人のスカウトマンが群がるのが日常的な光景でした。新宿なら、歌舞伎町の入り口に続くスカウト通りね。

山下 自分がつかまえた女がデビューしたら最低10%の金が手に入る。1億円デビューなら1千万円だからねぇ。

松尾 ギャラが500万円とか1千万円とかの女優もいたしね。AVメーカーに金があるからイイ女も増えて、事務所もスカウトマンも増えた。

山下 90年にはビデ倫加盟・非加盟を含めるとメーカーは100社超えて、AV制作会社は150社近くあったから。

松尾 当時のAV業界はホント、激化って感じでしたよ。

山下 でもこの頃ってさ、現場にひとりで来る学生のコとかいなかった?

松尾 いた(笑)。当時の事務所ってスゴい杜撰(ずさん)だったんです。税金逃れで、1年ごとに社名が変わったり。

山下 名刺の会社名とか住所とか全部デタラメ(笑)。

松尾 マネジャーの名前すら偽名でね(笑)。なぜか“伊集院”とか“西園寺”とか、よくいましたよね。

山下「会社名が変わったんで僕の名前も変わりました」とか言いながら名刺切ってねぇ。

―ちなみに、当時のAV1本当たりの制作費って?

松尾 ウルトラマンシリーズで有名な実相寺昭雄監督が撮った大作『アリエッタ』(89年、KUKI)が制作費1500万円っていう最高額で話題になってましたけどねぇ。

山下 単体の相場って?

松尾 女優のギャラは別で200万円から300万円ってとこかな。僕や山ちゃんの現場費は60万円とか70万円とか(笑)。

カン松さんにもキックバックが!?

山下 でも、AVはとりあえず出せばなんでも売れたね。

松尾 ビデ倫の審査が月500本もあったっていうしね。

山下 大手メーカーは毎月、札束刷ってるような感じだったんじゃないかなぁ。

松尾 V&Rでいうと、一応の粗利ノルマは月2千万円でしたけど、4本でその数字をクリアしてました。

山下 つまり、1本500万円の粗利があったんですよ。

松尾 パ・リーグの弱小球団的ポジションであるV&Rですら儲かってたんですよ(笑)。僕は87年に4人目の社員として入社しましたけど、92年頃には社員20名以上になってましたから。大金が動く業界にはキナ臭い話も当然。キックバックとかザラでした。

山下 でも、ウチは弱小だから関係ないでしょ(笑)。

松尾 いやいや、AVバブルはスゴいよ。俺がキックバック持ちかけられてるから。

山下 マジで!? いつ?

松尾 92年か93年頃かな、相手はデカいプロダクションですよ。でも女がブスで。たぶん大手に断られたんでしょうね。で、「会社にギャラを250で通してくれたら松尾さんに1本50万バックする」って。入社5、6年で初めてキックバックの誘いを受けたから「キター!」って感じで、社長に全部言いました(笑)。

山下 引き受けたらズブズブになって大変だからねぇ。

松尾 そこの事務所の女ばっか撮るハメになるから。

山下 金に群がる男と金に群がる女の出会いの場が90年代初頭のAV界でしたね。

●この続きは『週刊プレイボーイNo.42』でお読みいただけます。さらなるAVトークが全開、AVバブルが一気にはじけた90年代中盤、SOD登場のインパクトやハメ撮りの由来とは…。この連載は毎週本誌に掲載中!

(構成/黒羽幸宏 撮影/髙橋定敬 写真/時事通信社 アフロ 取材協力/ハマジム h.m.p V&Rプランニング)

※この対談のバックナンバー、最新記事はこちら!

●カンパニー松尾1965年生まれ、愛知県出身。87年に童貞のままV&Rへ入社し、翌年に監督デビュー。代表作は『私を女優にして下さい』シリーズ。『劇場版テレクラキャノンボール2013』『劇場版 BiSキャノンボール2014』が社会現象的大ヒット

●バクシーシ山下1967年生まれ、岡山県出身。大学在学中にAV業界へ。90年に各方面で物議を醸した『女犯』で監督デビュー。以降、社会派AV監督として熱い支持を受ける。『ボディコン労働者階級』ほか代表作多数。著書に『セックス障害者たち』(幻冬舎)など

イベント開催決定!!週刊プレイボーイ連動企画『なぜAV女優は憧れの職業になったのか?』「カンパニー松尾×バクシーシ山下 公開ナマトーク VOL.2」

【日程】 2015年10月26日(月曜日)【時間】 開場18:30/開演19:30【会場】 阿佐ヶ谷ロフトA【出演】 カンパニー松尾、バクシーシ山下ほか、ゲストあり!【料金】 前売2500円/当日3000円(共に飲食代別)

【問い合わせ】 阿佐ヶ谷ロフトA (03-5929-3445)

【イベント内容】週刊プレイボーイで好評連載中『カンパニー松尾とバクシーシ山下のAV史講義1981-2016』の内容に沿い、その当時のAVをカンパニー松尾とバクシーシ山下がナマプレビューする大好評トークイベント第2弾!!

今回はオタクやギャル、テレクラ、エンコー、風俗など、時代の流行を取り込んだ企画もの全盛期である90年代中盤から00年代前半までを松尾&山下両監督が腕をふるったh.m.p作品群を中心に振り返ります。