2月9日に投開票が行なわれる東京都知事選挙。各社の調査では「舛添要一氏が優勢」との見方が強いが、実はその舛添氏を支援している自民党東京都連では、違った予測をしているという。

自民党東京都連のT氏が明かす。

「自民党が独自に行なった世論調査の結果によると、現時点では細川(護煕)さんが優勢なんだ……。新聞やテレビ、インターネットによる世論調査では違う結果かもしれないけど、一般的な世論調査は調査対象が偏っていて精度が低いからアテにならないんだ。例えば電話調査の場合、今どき固定電話を設置している家庭で、それに昼間っから出て、なおかつ質問に答えてくれる層に聞いた結果ってことでしょ? 無作為抽出だといっても、事実上、中年以上の主婦か高齢者に偏った調査結果になってしまう」

では、インターネット調査はどうか?

「それも同じ。あれはちょっとした特典につられて事前登録した人たちに質問をバラまく方式だから、投票に行かないタイプの若者が多いんだ。われわれの調査は選挙に足を運ぶ確率が高い層に調査を行ない、そのデータを長年の経験や統計といったフィルターを通してはじき出したものなんだ。都知事選の場合、プラスマイナス5000票以内の精度で当たるよ。最新の調査は、細川さんが小泉さんと一緒に事実上の出馬表明をした直前から直後にかけて行なわれた。その結果は、意外なほどの差で細川さんが優勢だった……」(T氏)

精度が高いと自負する自民党の世論調査。その結果が「細川氏優勢」なのだから、焦りが伺える。

しかも、舛添氏には自民党内からの“逆風”もあった。T氏が続ける。

「追い打ちをかけるように1月17日、(小泉)進次郎くんが舛添さんを応援しない旨の発言をしたのも影響が大きかった。さらに差が広がったはずだよ。でも細川さんも準備不足で公式の出馬会見が遅れたり、いろんな討論会への出席を辞退したりで印象が悪くなり、少しは差が縮まったかなと思うけど、まだ足りないね。告示後の選挙戦がガチンコの勝負だよ!」

ちなみにこの独自調査では、3番手に宇都宮健児氏がつけ、そこに僅差で田母神俊雄氏が迫っているという。

しかし自民党と公明党の圧倒的な組織力をもってすれば、やっぱり舛添氏が勝つのでは?

「そう願いたいところだけどね。実は自民党も原発に関しては一枚岩ではない。党内には意外なほど多くの“脱原発派”がいるんだよ。彼らは表立っては造反しないけど、陰で細川さんを支援してたりもする。国会議員だけではなく、東京には都議会議員や区議会議員、市町村議会議員もいるでしょ? 彼らが“選挙の命”ともいえる支持者の名簿を細川陣営に提供すればどうなりますか? 組織力の差なんて意外ともろいものなんですよ」(T氏)

本気なのか、他陣営に対する揺さぶりなのか。とにかく今回の都知事選、まったく結果が読めないのは間違いない。

(取材/菅沼 慶)

■週刊プレイボーイ6号「誰も言わない、泣くほどリアルな『都知事選後の世界』を語ろう」より