政治家は「夢」を語る職業だ。

そこにはしばしば「語り」の専門家である弁護士も参戦する。鈴木たつお氏も、そのひとりだ。

鈴木氏は東京大学工学部土木工学科都市計画コース卒業後、NHKに番組制作ディレクターとして入局し、長崎局に赴任。NHKの東京配転命令に反対する百日闘争の末、起訴され休職。15年間の裁判闘争の後にNHKを解雇されたという経歴の持ち主だ。

司法試験合格はNHK解雇後の1988年。今回の都知事選では、

「戦争をさせない。被曝させない。貧困・過労死を許さない。だから五輪はやらない」

と、明確に東京五輪開催に反対の立場を表明している。

実は筆者は1月18日、その時点で連絡先が判明した全立候補予定者に声をかけ、『都知事選公開討論会2.0』(ニコニコ生放送で公式生中継)を主催した(8名出席、5名欠席)。

この討論会に参加した鈴木氏は、筆者にこう言った。

「私は青年会議所の討論会にも日本記者クラブの討論会にも呼ばれていない。政策を訴える機会を設けてくれて本当にありがとう」

選挙は「自由な論戦の場」だ。誰に投票するかは有権者の判断だが、各候補の主張はもっと報じられてもいい。

(取材/畠山理仁)

■鈴木たつお(73歳、無所属)本名:鈴木達夫。弁護士、元NHK職員。都知事選への立候補は今回が初。革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)が支持を表明している。