毎年恒例のボーナス商戦に、W杯商戦が加わるこの6月。家電業界が猛プッシュしているのが、いよいよ普及期に入ろうとしている高解像度の「4Kテレビ」だ。
4Kテレビの解像度は、横3840(約4000=4K)×縦2160(約2000=2K)。この4K2Kを略して「4K」と呼ばれている。画素数に直すと約800万画素。従来のフルHDは約200万画素なので、4倍キレイな映像になるという。
サムライブルーの活躍はぜひとも美しい4Kテレビで、と思っている人も多いだろう。とはいえ、各メーカーのフラッグシップモデルの価格は約50万円。しかも……。
「よほどの新しいもの好きや、テレビを買い替える必要に迫られているような人でなければ、まだ待ってもいいと思います。ブラジルW杯だって、ほとんど4K映像では配信されないわけですから……」
こう語るのは、家電業界の裏事情に精通しているジャーナリストのじつはた☆くんだ氏だ。
というのも、現行のテレビ放送は4Kに対応しておらず、W杯の一般中継(地デジなど)もフルHD映像。一般家庭で4K映像を楽しめるのは、今のところ映画のブルーレイソフトなど放送以外の対応映像に限られるのだ。
ただし、NHKや電機メーカーでつくる「次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)」が、6月2日からようやく『Channel 4K』という試験放送をスタートし、ここではW杯の一部の試合も放映される。
50インチ以下ならフルHDとは大差ない?
だが、これを家庭で視聴するために必要なチューナーが発売されるのは最短で6月25日。つまり、日本代表のグループリーグには絶対に間に合わないのだ(量販店などには先行配布されるので、“店頭4K観戦”は可能)。
「フルHDは、テレビのサイズを最大50インチと想定していた時代の規格で、それ以上のサイズになると、輪郭のぼやけた“眠い画質”になってしまう。しかし逆に言えば、50インチ以下のサイズなら現行のフルHDも、4Kも大差ないということ。4Kがまだ開発途上なのに対し、フルHDの技術はすでに熟成されつくしていますからね」(じつはた氏)
つまり、今、テレビを買うなら50インチ以下のフルHDが一番オトクということ。ではズバリ、4Kテレビの買い時は?
「6年後の東京五輪の中継は、1億3000万画素以上の“スーパーハイビジョン”こと8K放送になるともいわれています。この頃には国内のジェネリック家電メーカーが、すっかり熟成された技術を駆使して激安4Kテレビを発売しているはず。もし急ぐ必要がないなら、その頃に4Kテレビを買うのが一番オトクかもしれません」
ただし、家電の買い時は「低価格よりも欲しい時」というのも真理。アナタならどうする?
(取材/近兼拓史)
■週刊プレイボーイ24号「『4Kテレビ』W杯商戦は買いか待ちか?」より