争点に乏しく、「本当にやる意味あるの?」との疑問が噴出している今回の総選挙。有権者の関心も低いが、それでも各地区を見れば、注目すべき候補者は少なくない。そこでまず、北海道と山形を例にピックアップ!

北海道の注目は7区。あの鈴木宗男元衆院議員の娘、民主党所属の鈴木貴子氏が出馬する。父譲りの迫力ある演説がウリで、28歳という若さを武器に勢いを増している。

迎え撃つのは自民党所属、元釧路市長の伊東良孝氏(66歳)だ。つまり、ここでは与党VS野党というだけでなく、世代交代を問う選挙区でもあるのだ。それだけに7区は専門家の意見が分かれるほどの大激戦となっている。

元農林水産大臣、故・松岡利勝氏の秘書を務めた池田和隆氏はこう評する。

「まだ28歳と若いですが、彼女は高校生の頃から演説が非常にうまい。選挙に対する気合いや姿勢も別格です。さらに今回からは民主党公認ということで労働組合系の組織票も上積みでき、前職の自民・伊東にも競り勝てると思います」

しかし、そんな“2世”の選挙戦は決して楽ではないようだ。政治評論家の浅川博忠氏が言う。

「伊東は強い。“民主王国”とされる北海道で、民主が圧勝した2009年の大逆風選挙でも勝ち上がった猛者(もさ)です。貴子は苦戦するでしょうが、惜敗率で比例復活の可能性はあると思います」

報道番組などを歴任したテレビ朝日コメンテーターの川村晃司氏は、鈴木氏の“若さ”に期待を寄せる。

「両者互角としたいところだが、若さがある分、貴子が抜け出る可能性がある。伊東は66歳、選挙戦終盤に息切れするのでは?」

楽勝だったはずの山形3区に影を落としたあの騒動

さらに、今回の総選挙でもっとも注目されるのが山形3区だ。自民党の元大物議員・加藤紘一氏の娘、加藤鮎子氏が出馬する。対抗は元酒田市長で無所属の阿部寿一(じゅいち)氏。

大物議員の2世で、しかも地元の選挙戦。これだけ見れば楽勝に思えるが、そこに“あの騒動”が影を落としている。専門家たちの意見も割れた。

「加藤紘一の威光は地元で絶大だが、この前、大臣を辞職した小渕優子の一件が悪影響を及ぼしている。大物政治家の2世で、お姫さまで、地元での生活経験がなく東京暮らしと共通点が多い。対抗馬の阿部は元酒田市長で、前回の総選挙では無所属で出馬して自民公認の加藤紘一に競り勝っているほど強い。互角でしょう」(前出・浅川氏)

「鮎子本人に会ったことがありますが、エネルギーが感じられないし政治家をやりたいという強い意志も感じない。偉大な父親の威光で勝てると考えているなら甘い。阿部は強いです。鮎子は危うい目に遭うかもしれません」(前出・川村晃司氏)

「阿部は当選したら自民に入るのではとささやかれています。しかし、それはどうでしょうか。前回の総選挙のとき、加藤紘一は高齢がネックとなり、山形県連からの支持を一本化できなかったのに出馬を強行したため、保守が分裂して阿部が僅差で勝った。今回、阿部が選挙後に自民入りするなら、最初から阿部を公認とするはず。つまり、山形県連は鮎子に代替わりした加藤支持で固まったと見るほうが自然です。私は鮎子が勝ち、無所属の阿部は比例復活ができないので落選すると思います」(前出・池田氏)

全体としては争点がいまいちよくわからなくても、各選挙区を細かく見ていけば、しっかりと注目すべき点が見つかるはず。「何を理由に投票したらいいかわからない」という人ほど、ぜひ地元の候補者たちをチェックしてみてほしい。

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