選挙運動も板につき、自然な動きで有権者たちと握手する大阪7区の上西候補(維新)。笑顔も柔らかく2年前とは別人だ

衆院選の投票日まで残り数日を切った。しかし、「大義もなければ、争点もない」と言われるほど、選挙に対する有権者の関心は依然として低いままだ。

とはいえ、各地方を細かく見ていくと、“観戦”しているだけでも興味深いバトルが行なわれている選挙区は決して少なくない。

例えば、新潟4区。新潟市(秋葉区、江南区、南区、北区)、三条市などのエリアだ。

元ミス日本関東地区代表の金子恵美候補(自民)と、SMバーについて「汚らわしい」と発言して物議を醸した菊田真紀子候補(民主)がぶつかる注目区。選挙戦初日の新潟は厳しい冷え込みの上に暴風雨だったが、金子氏は元気いっぱいだった。

「私は市議選でも県議選でも2年前の国政選挙でも初日は悪天候でした。今回は予想以上の大荒れですが、いい前兆だと思っています!」

菊田陣営も負けてはいない。ある支持者は、

「前回は民主党に大逆風だったけど1万4000票差まで迫った(金子約8万票、菊田約6万6000票)。今回も逆風だけど前回よりマシ。いける!」

菊田陣営のイメージカラーは黄色。候補者も運動員も黄色い服を着ていて、事務所内のテーブルには大量のバナナが(笑)。対する金子陣営のイメージカラーはピンクで、支持者たちの口からは「黄色には負けられない!」と威勢のいい声が上がっていた。

大阪では3世代による女の戦いが勃発中

激しい女の戦いは、大阪7区(吹田市・摂津市)でも勃発中だ。

ここは女性候補のみ、それも30代、40代、50代と世代が違う3名が立候補する全国的にも珍しい選挙区。前回は民主の大物、藤村修元官房長官が敗れ引退に追い込まれる波乱が起きた。

注目はやはり、“浪速のエリカさま”こと、維新の上西小百合(うえにしさゆり)候補だ。まだ31歳という若さもあり、アイドル的な支持を集めている。

前回の選挙戦では演説の際に噛んだり言葉が出なくなったりと散々だったが、吹田市内の神社で行なわれた出陣式での挨拶を聞いて驚いた。声は腹の底から出ている低くてしっかりとしたもので、迫力があった。演説の内容は普通だったが、落ち着いていて説得力があった。2年の月日はアイドル議員を急成長させたようだ。

とはいえ、維新旋風があった前回の選挙でも勝利を収めた自民・渡嘉敷奈緒美(とかしきなおみ)候補は今回も本命だろう。しかし本人を直撃すると、慢心は見られない。

「3世代の中でも私は50代(笑)。おばちゃん代表でやらせてもらいます。上西さんは地元で一生懸命にやっているなと思います。新人で初当選して、2年で解散では私ならお手上げだった。

共産の村口(久美子)さんも新人ですが、演説が天才的にうまくてビックリした」

これらの“ビジュアル系”選挙区は、争点に乏しくても見て楽しい。「どうしても興味が持てない」という人は、そこから投票先を考えていくのもアリなのでは?

大阪7区の自民・渡嘉敷候補は「比例区は公明党と書いてください。比例復活をアテにすると甘えが出る」と潔さをアピール

 

(取材・文/本誌総選挙取材班)

■週刊プレイボーイ51号「ビジュアル系選挙区16【現地ルポ】」より(本誌では、このほか北海道から沖縄まで本誌記者が突撃取材で各選挙区の見所をレポート!)